食育が不登校の原因だった
「食育だなんだと偉そうな事を言ったって、あんたの息子は今不登校じゃないか」
…言われる前に、自分で言ってしまおうw
食育なんていう言葉が出来る前に、私はこの子を産んだ。初めての育児に、私は当時のマニュアルどおり、「一日2時間のお散歩」「離乳食は手作りで」を実践した。
もともと、化学調味料は使わない派でもあった。味噌汁でもそうめんつゆでも、昆布と鰹節、または煮干などでだしをとり、鶏がらや牛筋のスープを好んだ。東北生まれの夫は何かにつけて醤油をどばどばかけたが、健康を考えても薄味、本物の味で子どもを育てるのは当然の義務と思い、とことん手作りの離乳食を与え、おやつもまずは赤ちゃん用から。極度に甘いもの、塩や脂の多いものは避けて、慎重に育てた。
息子は2年ほど前から不登校。「あいつら腐ってる」とは言うが、具体的にどうとは言わず、いろいろ途方にくれた。それが最近、娘が学校の調理実習で、「中華くらげ」を持っていく係だと言ったとき。
私「ああ、干しくらげね」
娘(反抗期)「ばっかじゃないの?調理実習よ?味のついた中華くらげだってば」
私「調理実習だから、干しくらげをもどして、味付けするんでしょ?そんなお惣菜を買って持っていくなんておかしい」
娘「調理実習なんて30分しかないのに、いちいちもどして味をつけるわけないじゃない。私は持っていく食材が他の班の子より少ないから、味付けくらげを持っていくの!」
私「ちょ、調理実習がたった30分で、お惣菜を持っていく????????」
そのとき、息子は言った。
「俺も調理実習やったけど、普通にレシピに『味の素』が入ってたよ。腐ってるだろ」
息子が腐ってるという学校や世の中のひとつが、前にも書いたバイキングでの傍若無人な振る舞い、そしてまたひとつが「子どもの調理実習で味の素を使わせる」ということだったのだ。(味の素社さん、ごめんなさい)
私、そんなに、息子に化学調味料を使わないことを強要したかなあ。
まさかそれで学校に行かなくなるなんて。清濁併せ呑む、ということもちゃんと教えてやれば良かったかなあ。
と、複雑な気持ちになる一方、
息子は、ちゃんと、あの頃の味を覚えていた。
小さくて高い所は見えないはずなのに、台所の調味料棚を理解していた。
何より、そんなにお説教した覚えは無くても、母の私の考えを理解していた。
ということがうれしくなった。一時期は本当に、息子が理解できず、自分が生きてきた事さえ何もかも否定してしまいそうだったのだが、私がつけた小さな灯火は、ちゃんと輝いていたのだ。荒れた息子の中で。
この長い不登校で、息子が「しなくてもいい苦労」をすることは明白。今からどう頑張ったって、まともに進学はできないだろうし、もしかしたらもっともっと腐った世界で失望してしまうかもしれない。でも、私は上を向いていける気がする。いろいろ規格外の息子ではあるが、人間の根本的なことは意外ときちんとしているのがわかったから。
家庭がいろいろ破綻してから、私もきちんとだしをとる余裕がなく、だし入り味噌やスープの素、昆布茶などを使うようになった。そういえば、息子、ちょうどその頃から味噌汁を食べない。そして、不登校で祖父母の世話も拒否し、私も仕事でいない昼。彼はうどんを食べる事が多かったのだが、めんつゆが買ってあるのに「おいしくないから」ときちんと昆布と鰹節でだしをとっていた。今は、どちらかというとジャンクフードに夢中なのだが、そのうち落ち着くだろうと思えてきた。
それだけで、今はいい。
| 固定リンク
コメント
息子さんが私(ひきこもり)にそっくりです。突然暴れたり、化学調味料を気にしたり。
ひきこもると共通する行動が見られるようになるのでしょうか?
投稿: 缶 | 2007年2月22日 (木) 18時52分
缶さんようこそ!
おそらく、引きこもる、不登校になる人はとても過敏なのだと思います。普通の人は気にしないようなことがとても気になったり、怖がったり。潔癖であったり、傷つきやすかったり、正義感が強かったり。視野が広すぎて、地球環境とか子どもたちの未来とかを気にしているのが、目先の利益や周囲に迎合することしか考えない人たちの中では浮いてしまう、ということもあるのではないでしょうか。
投稿: 闇鍋奉行 | 2007年2月22日 (木) 20時55分