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2006年5月 5日 (金)

子どもが性犯罪に遭うと 3

現場検証が終わった後、刑事さんに「このまま調書にしますか?いったん帰ってお昼にしますか?」と聞かれた。もう1時近いので、食事する事を選んだのだけど、この口ぶりからなら調書なんてせいぜい1時間くらいで終わるものかと思うけど?

午後、お寿司をたらふく食べて機嫌の直った娘と再び警察署へ。
応接室のような部屋に通され、ソファで二人で座る。

調書を作成するのは若い女性警官だった。

最初から女性を担当にしてくれればいいのに。
男性警官相手に、イヤな記憶を話すのは、被害者にとっては苦痛以外のなんでもない。

女性は一人机に座り、パソコンで黙々と調書を作っている。
…さっき、男性刑事が「あまり調書作成に慣れていないので時間がかかるかも」と言っていたが、たしかにキータッチにあまりなれてるようには見えず、しばらくじーっとメモや資料を見ているので、さらに時間がかかる。

沈黙のまま1時間ほど。

声をかけられたので、「終わったか!」と思うと、質問らしい。
呼ばれた私は彼女のデスクに座り、質問を確認することになった。

…が、ここで驚くことがあった。
彼女のパソコンのそばには多くの資料が乱雑に散らばっていた。
見ると、この犯人の被害にあった少女たちの名前がかなりわかる。

ほぼ全部、知ってる名前だ。

娘の同級生、上の子の同級生、習い事などでいっしょの子…
子ども会などの役員もしているので、もともとこの近所の子どもは、名前くらいは知っている。私に限らず、普通のお母さんならそうだろう。
性犯罪の被害者を匿名に、とは報道では当たり前になっている。
彼女たちの名前も、当然報道される事はないだろう。が、

ご近所の人に知られたら意味がないのではないのか????

呆然とした私の視線が、重要な書類に向けられてるのに気づきもせず、質問は淡々と進み、もちろん書類が隠されることもなかった。

またさらに沈黙の時。娘もかなりいらついている。
見ると、部屋の書棚には子供向けの読み物などがたくさんある。
「すみません、これ、読んでもいいですか」「ええ、どうぞ」
最初から勧めてくれよ(怒)こんなに時間がかかるものなら!
娘と私はむさぼるように、「まんが日本の歴史」などを読みふけった。
働く親にとって、土曜は貴重な一日だ。こんなところでぼんやりすごすよりも
せんごくじだいのおもなぶしょうのかつやく でも子どもと楽しみたい。

6時ごろ、ようやく調書作成が終わり、内容を確認の上、署名・捺印。
文章は、400字にも満たないように見えた。
もしも民間なら、取引先を招いて打ち合わせをし、「ただいまお見積書を作成しますのでお待ち下さい」と4時間放置、途中、他の取引先との資料までぽろりと見せちゃってA4ぺら1枚程度の見積書を持ってきて、さあご契約を、というようなことは絶対ありえないと思うのだが、きっとここでは普通なのだろう。

ああ、キレそうだがとにかく署名・捺印だ。これで解放される。
もう、警察にもこの事件にも関わりたくない。
犯人はほぼ特定できているのに、なかなか検証などしてくれる被害者がいないようなことを刑事さんがほのめかしていたが、これでようくわかった。

被害に遭っても泣き寝入りする被害者が多いこと。

おかげで性犯罪者が野放しになってること。

犯罪は許せない、未成年の犯人だからこそ、エスカレートする前にきちっと対処すべきだ、と捜査に協力してきたが、問題点がいろいろありそうだ。
少なくとも、被害者のプライバシーは、絶対に守られない。
うちの子の資料も、同じように他人の目に平気でさらされる恐れがあるということだ。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

そのあと、公園で別の露出に遭い、その自宅まで突き止めた娘が
「通報?したくないや」と言い出したのは、こういう経緯があったからである。

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コメント

いろいろ考えさせられるお話でした。

投稿: らな | 2006年5月 9日 (火) 15時14分

ちょっと前の記事に書き込みをさせて戴きます。
同じ様な経験をし、現在警察のアンサー待ちです。
ウチは娘2人(もしかすると3人)が被害にあいました。
本当に司法も行政も何もしてくれませんね。
娘さんの今後を影ながら応援しています。

投稿: メフィスト | 2010年6月10日 (木) 02時29分

メフィストさん、ようこそ!
ブログを少し拝見しました。
性犯罪というのは被害者の側が責められたり、好奇の対象にされたりという理不尽な犯罪です。それだけにつけこむ卑劣な輩も絶えないのでしょう。
娘はまだ軽微なものではありますが、捜査に協力するのにも、まるで配慮がされないこと、そしてあれからどこかがおかしいまま、今に至ることを考えても、たとえ当時少年でも、怒りを禁じえません。
ただ、「あまりウチのことをかわいそうだのなんだの言うのって、かえってむかつく!」と言い張るので、彼女なりにいやな体験を適度に咀嚼し、もう自分を取り戻しているのだと思います。
メフィストさんも、お嬢さんたちも、大変なめに…また、進行形なのですね。
泣き寝入りをしては、いけないと思います。

それにしても、今は強姦は、殺人と同じように扱うのですね…強姦は「器物損壊」扱いで、その本人ではなく、「所有者」である父親や夫に対して償うものだった時代を思うと、隔世の感… 強姦は殺人と同じ、と訴え続けた先人の戦いが実った形でしょうか。
本当にひどいめに遭い、人を信じることも苦しくなったお嬢さんを、どうぞしっかりと支え、立場を守ってあげてください。

投稿: 闇鍋奉行 | 2010年6月11日 (金) 21時16分

私に子供はおりませんが、幼い姪がいるので、こういうお話を伺うと、とても心配です。特に、来年の7月8日から在日の徴兵制が始まりますが、そういう人の多い地域に住んでいるので、彼らの理不尽な怒りに巻き込まれないか、地域の知人女性(長幼に限らず)のことも含めて、とても気にかかります。

投稿: まめはな | 2014年12月26日 (金) 08時21分

まめはなさんようこそ~!
犯罪に巻き込まれるのも怖いですし、被害者よりも加害者の人権が守られるのも困ったものです。

投稿: 闇鍋奉行 | 2014年12月27日 (土) 19時14分

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