あいりさんの両親の決断
今朝の朝日新聞の記事に、涙が出た。
広島市で、ペルー国籍の男に殺害され、段ボール箱に入れられて発見された女の子のご両親が、被告の判決を前に、あえて被害女児の名前と、写真、そして具体的にどんな被害に遭ったのかを詳細に公表して欲しい、と訴えたのだ。記事は上のリンクから。
殺害もそうだが性犯罪の被害を詳細に公表するのは、きっとご両親が一番身を切られる思いだと思う。私も、事情聴取で娘が何をされたか知ったとき、ショックでめまいがした。(詳細)娘の被害は、あいりちゃんの被害に比べれば微々たるものだが、それでも犯人への怒りが治まらず、警察が被害者のプライバシーをないがしろにすることに恐怖さえ覚えた。
とくに子どもの性犯罪関係のニュースのスレッドに行くと、おそらく若い人だろうが、「レイプされたのに、なんで『いたずら』なんて軽い言葉で濁すの??」と憤る方をよく見る。すごく気持ちは分かる。が、これは「セカンドレイプ」という考え方が20年ほど昔に話題になり、性犯罪被害者の匿名、また犯罪そのものをあまり詳細に報道しないと言う方針が、報道機関に浸透したのだ(専門家ではないので、いろいろ間違ってるかも)
今では考えられないが、昔の報道は、死体写真は満載だし、性的被害なんて、告発した女性の側が好奇の目で見られて終わりだったのだ。被害に遭った直後に警察に駆け込んでも、「被害にあった部分」の診察を受け、写真を撮られ、と恥ずかしい目にあい、そのうえ裁判では加害者と面と向かわされた上、事細かに証言させられ、おまけに「そのとき感じましたか?」なんて的外れな質問をされたり(もしも検証の上「感じた」ということになれば、たちまち強姦ではない、とされたのだ!)、それが週刊誌にでも載れば、紳士諸君にエロネタとして「楽しまれる」。被害者のプライバシーも平気で明かされ、どちらかというと風俗系のお仕事でもしている被害者ならば嘲笑のネタ。そして当時は、まだまだ処女でなければまともなところに「おヨメにいけない」、女性に厳しい時代。レイプされても、それを告発したら自分の将来まで潰される。だから、泣き寝入りすることを選ぶのが大多数。私が子どものときというはるか古、「リップスティック」という映画が話題になったが、被害を訴えれば訴えるほど、いろいろなものを失ってしまう。で、加害側がますますのさばる…かつてはそういう構図があった。
それで、性犯罪、特に子どもが被害者の場合、被害者の情報が「匿名」「いたずら」などという、ソフトな表現で報道されることになった。それ自体は、当然だと思う。もしも、私の娘のケースで、娘他多数の被害者が実名入り、詳細な情報入りでおもしろおかしく報道(ロリ大喜び)、犯人は未成年だからとあれもこれも「保護」されたら、いかに温厚で行動力のない私でも自爆テロくらい起こす。
被害者保護の名目で、実際の被害をソフトにする風潮の中で、あえて訴えたのは、本村さんの件の影響もあるかもしれない。あの人も、「奥さんが死姦されたなんて、名誉に関わりますよ」などという世論と戦い、犯人がどれだけ非道な事をしたのか、絶対にぼかさず、闘った。身内がそんな目に遭ったのをあえて明るみにするのは、本当につらい事だ。が、それは実を結びつつある。一方、弁護側が「未成年の加害者がうっかり口をふさいで命を奪う結果になってしまった」というストーリーのために、リアルなイラスト入りで会見したのには、神経を疑い、吐き気がした。赤の他人でもこれだけ不快なのだから、本村さんに限らず、被害者を知る人はどれだけ不快だったか。なんで、加害者側から、こんなリアルなイラストで、大切な家族や友人であった被害者が殺されるさまを見せられなきゃいけないのだ。もう、これだけでも犯罪じゃないか?とさえ思える。
そのとき、何が行われたか
これは、被害者側が判断して、いくらでも明らかにすればよいと思う。強姦殺人の加害者には、正直、反論の余地さえ認めたくない。被害者が死んでいる以上、まさに死人に口なし、なのだから。その上、被害者が幼い子どもだったら…一体何の反論ができるだろう?どんな言い訳も、絶対に通用しない気がする。せめて、これ以上卑劣なことをせずに終わって欲しい。
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昨夜のミュージックステーションでのアンジェラ・アキさんは素晴らしかった。あまり歌詞とか気にしていなかったけど、無性にアーシェのことを思い出し、涙が出てしまった…
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