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2006年7月 6日 (木)

ダ・ヴィンチを手に入れました~今度こそリアルで~

警告します。「ダ・ヴィンチ」8月号は、立ち読みなんかするものじゃありません。
学校や仕事の帰りに中を見たいのを我慢してさっと買い、家でゆっくり、それもひとりになれるときに読む。または、近寄らない。ネタバレが怖くて、コミックス収録までネット断ちする覚悟で。

いい大人がコンビニで、一応文芸雑誌とはいえ、中にある漫画を読んで泣いているなんて、絶対絵にならない。涙目で慌てて店を出ても、街を歩いていて知り合いにでも会ったら大変だ。まして、これが通勤や通学の途中、外回りの最中だなんて。

で、まあ、私はそんな愚行をやっちゃたわけだが。

いつもそうではあるが、今号の「テレプシコーラ」も、淡々と篠原家の様子を描いていた。漫画的な、超派手なベタフラッシュもなし、天地が崩壊するような背景もなし。大切な「家族との別れ」を、どこの家庭でもこんなことがあればそうだろうと、納得がいくような描き方だった。それがいっそう、胸に来る。

家族に自殺されると、それは辛いものだ。それも年若い、前途洋洋の子供にだなんて、悲惨極まりない。どんなに良くしてあげたつもりでも、何かと自分を責めてしまう。篠原家の人々は、みな千花を愛していたし、いつも期待し、励ましていた。貝塚バレエの先生方も同様に、期待し、励まし…それを後悔しているかのようだ。誰も、悪くないのに苦しんでいる。しかし千花にとって、自分を大切に思う人がすべて「バレエ」に関係する人だったのも悲劇だったのかもしれない。

うすうす…ずいぶん前から予想はしていたけど、白百合に埋もれ、ジゼルの衣装で旅立つ千花ちゃん。うぐ。立ち読みが辛くなる。

これまた十分すぎるくらい誰もが予想していたのだろうけど、あの世とこの世の境を流れる河トゥオネラで踊る千花ちゃん。あの「くるみ割り人形」以来、久しぶりの彼女の踊りが、肉体を失ってからなんて、皮肉だ。

しかし肉体を失った彼女は、いろいろな呪縛から解き放たれ、もはや重力からも自由になったかのように、伸びやかに、華麗に水上で踊っている……
幸福なのか、哀しんでいるなのか。彼女の表情からは推し量れない。
ただ、無心に、踊る美しい千花ちゃん。

「…ありがとうございましたー」

店員さんの声から逃れるように外へ。「上を向いて歩こう」って、本当に名曲だ。涙をこぼしながら白昼街を歩くなんて、できやしない。…一応、その後の仕事はばっちりこなしたけど。こんなことで失敗したら、情けない。仕事の帰りがけ、同じ店に寄ってダ・ヴィンチ購入。

今、思う存分泣いている。

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