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2006年7月 4日 (火)

だからデスノートはうけるのか~自分ならどうする、ヤギ被告~

まだまだあいりちゃん事件の興奮が冷め遣らぬ私。そして、思うのだ。

夜神月なら、すぐに裁いてくれるだろうな。

超人気(だった)コミック「デスノート」の連載終了後公開された映画が好調だそうだ。まあ、コミック前半が忠実に映像化されていてつまらなかったらそれこそよほどのことだ。藤原クンの字の下手さと、月としては「指」に色気に欠けるのはご愛嬌として。「デスノート」は、よくシリアス版「ドラえもん」といわれるが、まったくそのとおり。もしも「できたらいいな」を、なまけもののダメ少年ではなく、美形の天才少年に託したらどうなるか。犯罪者を自分がノートによって裁き、犯罪のない理想のない社会に、という月と、それは、ただの殺人だとする探偵・Lの対立は、普遍的であり、まさに現代的なテーマだと思う。

古くは、吸血鬼ドラキュラのモデルとなったルーマニアのヴラド・ツェペシュ公。彼は幼少のころの体験により、嘘偽りや裏切りを憎むようになり、長じて親を裏切り自分を苦しめた貴族を串刺しなどの残酷な刑に処したほか、領地ではたとえ泥棒などの軽微な罪でも残酷な刑に処したという。この過激な厳罰主義のおかげで領地では高価な皿を広場においておいたとしても盗むものなどなく、どこに比べても治安のいい状態になり、今も現地の人々は公を英雄とあがめている…という話を子供のころ読んだとき(今は違う解釈らしい)、世をすねていた私は、「これって正しいと思う!」と友人に熱く語った。もちろん、大反論にあった(笑)。たしかに、これはあまりに危険だ。ことに当時は差別や貧困による犯罪や、冤罪も数多く、敏腕弁護士が冤罪に苦しむ囚人を、数多く死刑台の淵から救うのが話題になっていた。冤罪のまま死刑になった人もいるらしいし、なんでも厳罰で臨んでもいいものじゃない。犯罪者にも人権を。更正の道を。

犯罪者に優しい日本は、そのころから始まった。

で、このところは、その犯罪者ばかりに優しい時代。被害者の人権は踏みにじられ、たとえ街を歩いていただけでいきなり殺されたとしても「心神耗弱」「未成年」などの一言で終わってしまう。オウム真理教の松本被告など、狂人じみた振る舞いのせいで、いつまでたっても裁判が終わらない。おまけに、一人殺した殺人犯ならそこそこの期間で判決が出るというのに、何回死刑にしても飽き足らぬほどの犯罪を起こした同被告は、あまりの事件の多さのせいで、これまたいつまでたっても「死刑判決」が確定しないんじゃないか、なんて言われたこともあるのだ。罪を犯せば犯すほど、安寧な生活が保障されてしまうという矛盾。極悪非道なことをしながら、決して刑に服することなくのうのうと私服を肥やす人間もいるし。昔はテレビの「必殺シリーズ」がばんばん現代の巨悪を裁いてくれて、庶民は快哉を叫んだが、夜神月の、若く青いけれど、鋭い視線に快哉を叫ぶ読者は多かっただろう。

一方、それにブレーキをかける天才探偵・L。素性はまったく謎。奇人のようだが、どこか愛嬌があり、これも鋭い推理と底知れぬ財力・人脈で月を追い詰める。いかに、月が極悪人を裁こうと、「それは殺人です」と一蹴。これもまた、正義だ。
凶悪な犯罪のニュースが報じられるたび、日本のどこでもおきそうな議論を、死神のノートという道具、二人の個性的な天才青年で描いたのだから、おもしろくないわけがない。それに、死神のノートにある根本的なルール「相手の名前を、顔を思い浮かべながら書く」ことで殺人が行えるというのが、顔と名前…「個人情報を奪われたほうが負け」という図式にし、現代のネット社会の暗部を浮かび上がらせるようで、またまたおもしろいのだ。

「もしも、デスノートが手に入ったら」

かつてドラえもんの道具に夢をはせたように、おそらく誰もがいろいろなことを考えさせられるだろう。何せ、完全犯罪が労せずに行えるノートなのだ。月はわざと、これが自分の行いによるものだとわからせるような使い方をして世を挑発したが、凡人としては自分に火の粉がかからない使い方をするのがせいぜいか。保険会社は、おそらく成り立たくなるだろう(笑)。また、幼女連続殺人のMとか酒鬼薔薇クンとかオウム関係者とか、いっせいに複数の人が書き込んだらどうなるんだろう。

で、流れ的に、私だったらヤギ被告をどうするか。

え~~と、つづりがわからないので、書けません~~って、逃げる。

たとえ自分が殺人犯に問われる心配がなくても、何の権限も接点もない自分が人を裁けるのか。おせっかいだ。そして、やはり冤罪が怖い。

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