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2006年7月28日 (金)

これが自慢の不登校息子2~太鼓編~

愛娘は今、地元夏祭りのちびっ子太鼓の特訓中。手の皮が剥け、痛々しい状態ながら、がんばっている。…息子にも、参加資格はあるのだが、息子は頑として出たがらない。

ちょっと前のこと。不登校が始まってだいぶたったころだろうか。家族で出かけ、大型スーパーのゲームコーナーを通ったときのこと。息子が珍しくおねだりをしてきた。
「ここの太鼓の達人は100円なんだよ。1回、やらしてくれない?」私はゲームセンターなどをあまり好まず、どちらかというと子どもがゲームセンターに行くのも不快に思っているほうだが、このときは子どもの希望を適えてやった。

息子はアイドルマスターとかなんとかいう、私のさっぱり知らない曲の、一番難しいモードを選んだ。深夜アニメか、ギャルゲーか、というカンジの、いかにもアイドル声優さんが歌ってますというような曲。そして、こんなんアリか???というような狂ったような譜面。ふだんドラえもんの簡単モードを小さな子が叩いているようなのどかなゲーセンで、目にもとまらぬ速さで、しかも正確に太鼓を叩き続ける息子。ドドドドッドドカッドドッ…なんか、すごい。かっこいい。あんた、本気で太鼓習え!和太鼓アーティストは、世界で大人気なんだぞ!

私だけでなく、周りの子どもたちも、その異様な音に注目し始めた。自分の遊んでるゲームの手を止めて呆然と見る子。口をぽかんと開ける子。よちよちと、歩み寄る幼児もいる。

すぐに、親が「シッ! 見ちゃいけません!」てな感じで、幼児を抱きかかえて逃げ出したけど。

たしかに、中学生らしい風貌なのに、髪は伸び放題、ひげの手入れもろくにせずに、とりつかれたようにキ○ガイじみた曲を叩き続ける少年。

それをうっとりと見ている親らしい女。

客観的に見て、たしかに近づきたくない。

だが、息子は、私に本当にこれを見てほしかったのがわかったし、それが必要だと思ったので、私は構わず息子の演奏を見、ほめた。当時いろいろ荒れていた息子だが、少し、うれしそうな顔をした。

息子の困る部分は、きちんと教えを請うということがまったくできないことだ。何もかも独学で、我流でしか何かをできない。人に評価されるのも好まないし、何かを成し遂げようという気概も無い。が、自分が気に入ったことは、とことんやる。うまくいけば、天才と呼ばれるかもしれないし、うまくいかなければ、器用貧乏か能無しで終わる。私もそのタイプで、後者のグループに入る人生の後半を迎えたところだが、息子には、自分の轍を踏ませたくは無い。

というわけで、毎日あがいている。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆

今日のおかずはポークソテー。太鼓の猛練習から帰った愛娘が、それを知って言った。

「やったあ!ぽくそぽくそ大好き!」

そんな略し方はいやだ。

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