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2006年7月18日 (火)

畠山被告に読ませたいコラム~いっそ差し入れさせろ~~

「ちょっと、これ見てよ。泣くわよホント」

とある工場街の地味な食堂で、私がひそかに絶品!とたたえるチャーシュー麺をすすっていた時、おばちゃんが常連らしいおじさんに、読売新聞のコラムを勧めた。

「…ひどいよね、こりゃ」

「本当にねえ、可愛そうに」

ここのチャーシューは、脂も厚さも程よく、何よりくるりと巻いたバラ肉を香ばしく焼き上げた炙りチャーシュー。舌と鼻が興奮したところに、魚介系のスープがあっさりと脂を流してくれる。味付きとろりの玉子もうまい。野菜もたっぷりで、正直、ちょっと有名なラーメン屋でもここまで満足させてくれるかどうか。この街に来ると、つい食べにくる…というか、ここでお昼が食べられるよう、スケジュールを組んでしまう。おばさんも、顔を覚えてくれたようだが、新聞を勧めるほどの常連とは思われていないらしい。

うちは朝日新聞を購読しているので、気になって図書館に寄ってみた。これは、泣きそうになった。以下、読売新聞18日付け「編集手帳」より引用。

 生まれる前の子供たちが、地上に降りる順番を待っている。「時の番人」から呼ばれた子供は船に乗り、おのが命の誕生に向けて旅立つ。メーテルリンク「青い鳥」の一場面である◆皆が希望を胸に乗船していくなかに、ひとり、ぐずる子供がいた。「いやだ。いやだ。行きたくないんだ。生まれたくないんだ。ぼく、ここに残っていたいんだ」(新潮文庫)。理由は語られていない◆秋田県藤里町で近所の小学1年生、米山豪憲(ごうけん)君(7)を殺害した疑いがもたれている畠山鈴香被告(33)が、今年4月に水死した自分の長女、彩香さん(当時9歳)についても殺害を認める供述をはじめた◆一緒に川に行き、彩香さんを持ち上げて橋の欄干に乗せ、突き落としたという。なぜ。供述はこれまでにも二転三転しており、豪憲君を殺害した動機を含めて事件にはなお、幾つもの闇が残されている◆世の中には、おぼれたわが子を救うために、自分が泳げないことも忘れて水に飛び込み、命を落とす親もいる。供述の内容を伝える記事を読みながら、にわかには信じられないでいる。「青い鳥」の子供の声が少女の面影に重なる◆橋の欄干から眼下の川面に落ちていく寸秒の恐怖のなかで、彩香さんは誰に救いを求め、誰の名前を呼んだだろう。「おかあさん」、それ以外にはなかっただろうに。

(2006年7月18日1時49分  読売新聞)

私にはあまり、畠山被告を叩く資格はない。世間的に見たら、「大差はない」程度の人間だから。家庭は崩壊、心身を病み、このままでは破滅だとわかりながら何もできず、ようやく一歩外に出られたと思ったら、方々に迷惑をかけるはめになっている。息子は…やはり、普通ではいられなくなっている。

少し、自分のこと、子供のことなどを冷静に見てみようか。何か文章にしたら、見えてくる道もあるかもしれない。

そんな気持ちで、ブログを始めた。数は決して多くはないが、見てくれる人はいる。もしかしたら「この人ヤバイ!」と思ったら、どこかに通報してくれるかもしれないwうむ、見事なかまってちゃんブログだな。が、幸い、ここのことを知っている息子も、わりと理解を示しているし、恥を忍んで無料でココログさんで遊ばせてもらっている。まあ、そんなことはどうでもよいが。

人生と同様、育児に困難は付き物だ。誰だって、誤解されたり、つまずいたり、間違うことがある。

自分の人生のために、娘が邪魔だったと。多くのシングルマザーが、新しい人生と子供の狭間でゆれていると思う。シングルでなくても「こんな子、要らない!」と、乳幼児に暴力を振るってしまったり、殺意を覚えてしまう親も、決して少なくない。でも、多くはそんな山を乗り越えて、ひとつ大きくなっていくのだ。

「もう男はこりごり!」と言って離婚後の新しい仕事っぷりを見せてくれた友人は、今、良い伴侶と、新しい命を得て幸せにすごしているが、必ずしも、連れ子を受け入れてくれる男性に恵まれるわけではない。でも、そうなれば、親に子供を預けても良かったではないか。「子を捨てる」ようだが、殺すよりはましだ。もう9歳にもなれば、祖母の手を煩わせるどころか、お手伝いもできるし、すぐ大人になって独立できるのだ。

そして、言ってはなんだが、男は、本当に一生の相手になり得るのか。きちんと家庭を営む気などなく、ほんの数年、だらだらとした関係を持つつもりしかないのではないか。

すごく利己的な意味でも、子供は、一生の宝だ。畠山被告も、彩香ちゃんも、孤独なように思えるが、結局、本当に信じ、支えあえるのはどこの王子様よりも、母であり、子であるのではないか。利己的に猫かわいがりし、利己的に殺害してしまった畠山容疑者だが、もう少し欲張りになれば、子供なんか殺せるものではない。

最後の一息まで、きっと彩香ちゃんは、お母さんの愛を求めていただろうから。

容疑者の高校の卒業アルバムには、級友たちによりひどい暴言が綴られていた。そんな心の傷を、彩香ちゃんの存在は癒してくれたのではないか?綾香ちゃんがいることは、それだけで支えになったことはないのか?彩香ちゃん、さらに豪憲君を殺して、本当の孤独を味わうことになったのではないか?

許されるなら、世間にあふれるただの非難の声でなく、このコラムを届けたい。ほかの誰でもなく、「お母さん」しか頼れない彩香ちゃんのことを、本人に思い出してほしい。

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