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2006年7月13日 (木)

不登校息子の主張~円周率編~

賭けに負けた……ので、もう1本恥さらしな日記を書こう。

息子は突然夕方、私の実家に現れたらしい。塾の帰りの娘を送りに行ったら、そこにいるとのこと。「カレーだけど、夕食食べていくか」と誘われて、お言葉に甘える。とにかく、息子と実家で食卓を囲めるのは貴重なことだ。過去記事参照

息子は食卓を前に、やはりマイペースにいろいろ語る。これが美少女ゲームやアニメの話じゃないだけ、よかった。今日の彼のテーマは、初歩的な公式への挑戦のようだった。

「球の体積ってあるじゃん。球って、半円が360度回転してできるから、半円の面積×360で出せないかなあ」

… …  ユニークな息子だ。

実は、私は食事を前に、それに対して反論も導きもできなかった。一応、父は日本でも有数の大学の、理数系の科卒だが、やはりぽかーん、だった。日本一の美貌を誇る母は、「やっぱりマリンちゃん(仮名…過去記事参照)はすごいね」と感心した。彼女だって一応その年齢にしては高学歴なのだが、夫の血をひいた自閉気味3人の子供を育てたキャリアだろうか。ナイスフォローだ。おかげで子や孫の異常にも、まったく気づかなかったわけだが。

息子に言わせると、体積の求め方って、面積×高さ。円がぐるりと回転してできる球って、半円面積×360じゃないのかとか、いろいろ言って来る。忙しいので私は一人帰宅して、家でしかできない残業と、明日の料理。そして入浴して、少し頭を整理して言った。

角度はあくまで角度であって、長さではない。

たとえば、この体積の球(あるいは円筒)を、この角度で切りました、この体積は?

てな時には角度は使うだろうけど、四角形が移動して得られる直方体の体積とは違い、回転運動は、広いところと狭いところがあるわけで、体積を求めるのに360度は関係ないんじゃないの?

息子も、いろいろ話していたが、「じゃあ、体積がわかってる球体を使って実験したい」とか言い出した。一応、スーパーボールやビー玉をノギスで直径を測り、公式で体積を割り出した上で水に沈めて、体積を計りなさい、と言って置いた。ああ一応、スーパーボールは水に浮くから、ビー玉にしなさいよ、などとも。息子、悩んでいるようだったが。

息子、幼稚園のときに素数やら倍数やら理解していたし、ユニークな先生のおかげで中学校で習うくらいの物理の主な法則を3年生で身につけていた。が、おかげで「この公式を覚えておけば点を取れる」ではなく、探求することを学んだのだ。

普通に、球体の面積を求めるなんて、小学生レベルだ。妹も「はあ?」という顔をしている。が、「バカ、公式を覚えとけばそれでいいんだよ」とは、誰も言わなかった。これはいい環境だなあ。点を取るなら、何も考えず公式を覚え、逆らわないのが良し。

でも、みんなが「当たり前」と思うことに意義を唱えるのは、ごく一部の、特殊な思考を持った人間だけだ。私は、その特殊さゆえに、得もしたが損もした。なるべく息子には同じ轍を踏ませずに人生を歩ませたいのだが、どうもそれには高校受験は間に合わないように思う。

一応、いろいろ考えたが、自分のレベルでは答えも反論も出せない。エリートのじいちゃんも、うまい説明ができないようだ。学校に行って、数学的センスのある先生に聞いてみろ、と言った。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

今日は本当に蒸し暑かった。気温や湿度が上昇するのを、不快指数とか言って表現するテレビ局。でも、気温30度、湿度80パーセントでも文句言うのに、

水温40度のお湯につかると幸せな気分になるのはなぜでしょうか。湿度にいたっては、100パーセント超えましたよ。

息子に聞くと

「中途半端はイヤなんじゃね?」

「ちゅ~~~とはんぱは、俺のポリシーにあわねえんだよ!」

「あっちゃんカッコイイーーーー!」「ペケポン!!」

おまえはどこのオリラジだ。

とにかく、いろいろものを考えてほしい。

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コメント

はじめまして。僕は学生ですが、アスペルガーの診断を受けています。僕もこの話は気になりました。書かれている考え方は、360度ではなく、360度を2パイと表す弧度法だとうまくいきます。りんごのくし切りを薄くしたような「半円の面積」(本当は微小な体積)掛ける2パイで球の体積が求まります。計算には、大学1, 2年頃に習う球座標と重積分を用います。

投稿: yule | 2007年3月 2日 (金) 02時18分

yuleさん、ようこそ!
なるほど!と言えるほどわかってるわけではないのですがorz息子の発想はまるっきしでたらめでもないのですね。息子もコメントを拝見して「俺すごくね??」と喜んでますし、私もしばし「うちの子天才!」な気分になれました。
アスペルガーの人というのは、私の想像では「法則」を自分で発見していく能力に長けているのだと思います。数学も科学も、たぶんそういう傾向のある人たちが作り出し、築き上げていったたものだろうと。息子がもう少し要領がよければ、結構こういう分野で力を発揮できるのでは、と親ばかな期待をかけてしまうのですが……。

投稿: 闇鍋奉行 | 2007年3月 2日 (金) 22時15分

お返事ありがとうございます。世間には、数学の話を喜んで聞いてくれる人はあまりいません(笑)でたらめではなく、常套的な方法の一つだと思います。高校では回転体の考え方で球の体積を求めますが、これは直径の異なるバウムクーヘンを重ねていくやり方ですね。最近は国立大学でも一科目入試がありますし、ぜひ理系に進まれるとよいかと思います!

投稿: yule | 2007年3月 3日 (土) 00時32分

yuleさん、またまたようこそ!
数学って、とっつきにくいけどおもしろいところもありますよね。私も息子も、特に数学が得意と言うわけではなく、そういうことを考えるのは結構好きで、理科・数学の先生などと楽しくお話できてしまったりします。息子は自動車整備の勉強をするようですが、その分野でも理数のセンスがあるに越したことは無いので、登校できるようになったらぜひ勧めてみたいと思います。ありがとうございます!

投稿: 闇鍋奉行 | 2007年3月 4日 (日) 08時13分

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