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2006年8月 9日 (水)

2006第1回ししとう勝負~好き嫌いの子のための楽しいお食事~

「さあぁ、遊戯(ゲーム)を始めようかぁ…」

少年漫画の読みすぎな母(って、私か)の言葉から、今夜の夕食は始まった。

今夜のメインは、豚肉となすとしし唐のみそ炒め。みそも、しし唐も、不登校息子の苦手なものだ。

それが嫌いな人間ほど、嫌いなものに遭遇する」。私が生きてきた間に、何度この教訓を得たことか。蛾が死ぬほど嫌いな友人は、毎日のように「昨日も大きい蛾を見ちゃってさあ…」と嘆いていた。蛾が大好きな私でも、あそこまで遭遇できない。私の弟(生きているほう)はとても神経質だが、そんな彼に限って、髪の毛とか、虫とかが食事に混じっていた。

しし唐もまた、彼の嫌いなものだった。1パックのうち、せいぜい1本くらいしか激辛なヤツがないというのに、必ず弟に当たるのである。やがて弟が成人し、辛いもの好きになってからは、息子がそっくり、同じ役どころを受け継いだ。

「オレ、絶対、辛いのにあたるんだよなあ…」早くも涙目の息子。こんな息子のために、ここ十数年、自分ではしし唐を購入していなかったが、いいかげん息子も私より背が高いのだ。大人の階段を上ってもらおうか。「いただきまーす」小学生の娘はクールに食べ始める。「つうっ」息子、いきなり当たりをひいたらしい。…実は私も当たった。かすかではあるが、甘みよりは刺激を感じる。「1本めから当たったよ…」「そう。早くお食べ」もくもくと食べる私たち。ああ、夏野菜の味噌炒め!てんさい糖と味噌と酒をあわせ、肉となすとキャベツをじっくり味(調味液半分)を含ませながら炒め、最後にしし唐を入れて残り調味液を入れて仕上げた、夏の味。これまで息子のために封印してきたけど、こういう食卓が無くて、夏を語れるか。おおっと。私も2本目、ぴりぴり来たぞ。

「いてええええええ」息子も来たらしい。ひらりといすを飛び越し、家中を走り回っている。息子、いろいろ大人びて見られるが、実のところ、まだ3歳児かもしれないという、発達障害の疑いがある。つくづく、それを感じる。確率高いな。安かったせいか。娘は、黙々と久しぶりの味噌いためとモロヘイヤのスープ、大好物のなすの漬物に舌鼓を打ち、バラエティ番組を楽しんでいる。

結果。息子は3本(一応配慮して少なめにしてやったのだ)中2本が当たり。私は5本中3本。「オレ、6割だよ!!ひでええよ!」「ああ、私も6割くらいよ。おんなじね」と私。娘はしれっと言う。「うちは5本中、1本だったわ」

娘、激辛に当たっても、平然と食べていたらしい。さすが、我が家で唯一まともに生まれ、学校その他で女の子にモテモテのクールビューティ。少しは息子も見習え。

「ということは、今日のしし唐大会は、息子くんの勝利ね」と私。「おめでとう、お兄ちゃん」と拍手する娘。「おめでとう(高音)、おめでとう(低音)、おめでとう(普通)」と私。「おめでとう」と、ど低音の娘。パイプ椅子に座らされているかのような、エヴァパイロット世代の息子、「おめでとうじゃねえよ!!なんだよそれwwwww」と泣き笑い。

しかしすごいものだ。息子、通常の料理では、肉ばっかり食べて、野菜が残るパターンなのに、今日ばかりは嫌いなはずのしし唐が真っ先に口に入り、肉ばかりが皿に残っている。

嫌いなものも、細かく刻んだり、好きなキャラクターの形にしてやると喜んで食べてくれます。…てな、軟派な育児雑誌を思い返した。な~にが食べてくれますとか食べてくれないとかだ。子ども甘やかすな!と、当時は思ったが、もしかしたら永遠の3歳児かもしれない息子にはこういうゲーム仕立てが良かったのか。いつまでやんなきゃいけないんだかわからないけど。

「それでは2006年第1回しし唐杯は息子の勝利~~」まあとりあえず、楽しい食事でよかった。また、しし唐食べよう。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆

しかし失敗した…今日の昼食は、とあるこだわりの蕎麦屋の天せいろだったのだ。どこか不器用な、でもとことんまじめな店主が、そばの栽培からこだわり、殻つきの実のまま農家から仕入れ、その日の朝に脱皮、製粉して手打ちにして供するそばは薫り高く、のどが喜ぶつるしこ感。天婦羅も誠実に作られていて美味。この季節では、さすがにそばの薫りが損なわれるし、この天候ではきっと…と思い、のぞいてみたら、案の定お昼時というのに誰一人お客がいなかったのだ。自分的に、昼食に1100円は高いのだが、天せいろを満喫。この内容で1100円、にはまったく不満はないのだが…しし唐になすにと、いろいろかぶってしまっている。美容と健康に良い1日30品目にするには失敗な選択であった。まあ、たまにはこんな夏グルメもよいか。

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