営業で月に一度訪れるところはいくらもあるが、今日の相手は、以前にも猫大好きで頭の下がると書いた女性。一見、かなり派手でドキュ風味の奥様だが、本当の動物好きで、ご近所の事情にもかなり詳しい。彼女のお話はいつも楽しく、仕事を忘れ…いや、ちゃんと雑談の中にも、いつもおいしい情報を下さる、まことに素晴らしい方だ。
今日は、誰と会っても「暑いですね~」で始まる。で、私は、この近所で実際に私が経験した「怖い話」でつかみを狙った。つかみはOK、彼女は、とても乗ってきた。
で、10倍怖い話を聞かせてくださった。
((((((;゚Д゚))))))
そこのお宅からちょっとのところに、古い街道筋の、三叉路がある。その、又のところに立っているビルなのだが、そこがかなりやばいらしい。
彼女の家は土地持ちで、駅前にいくつか店舗用のスペースを持っているのだが、そこを引き払って、安い家賃と、いろいろ良い条件に惹かれてそのビルに引っ越した元店子さん。実はそのビル、昔殺人事件が起こり、現場は血の海とワイドショーなどで報じられ、近所では知らぬ人はいない場所。彼女も知りながら、「余計なこと言っちゃ悪いかと思って…」と、黙って見送った。現場の2階は、今の大家さんが住んでいるそうだが、事件以来、そのビルで飛び降り自殺が4件、起きている。
近くにメンタル系の病院があり、バスに乗った患者が多く通るのだが、そのビルのそばでなぜかバスを降り、上に上がって、飛び降りてしまうのだそうだ。ちなみに、落ちる先は、裏の墓地だ。うわあ、近寄りたくないなあ。
「で、出るらしいのよ」と彼女は言う。その店子さん自身は、見えるほうではないのだが、たとえば人の気配を感じる、誰もいないのにドアノブが周り、人一人分くらいすうっと開く、風も無いのにハンガーがくるりと回って落ちる、くらいはざら。怖いのでいつも音楽などをかけっぱなしにして、明るい時間にそこに入っても、無音なのは怖いから…とラジオをかけっぱなしで夜閉め、翌日出勤すると、高い棚の上において、固定していたはずのスピーカーが、コンセントがはずれ、二つともぶらりぶらりと揺れていたとか。
十分、まずいでしょう、それは!
その店子さん、前に健康上の理由で辞めた店員さんの生霊だと思い込みたかったらしい。が、バイトの人が、「見て」しまったらしい。一生懸命作業をしていたら、背後から視線を感じた。ああ、店長が見守っているのかなあ、と思っていたが、様子がおかしい。で、振り返って………
元店子さん、生霊のことだと思い、「それは、こういう年恰好の人でしょ?」と聞いた。バイトさん、蒼白で「…いえ…」と言ったまま、口をつぐむ。元店子さんも、もう、それ以上は聞く勇気が無くなったらしい。(ある意味、生霊の方が怖いと思うけど)
その近所の人も、怖い目にあっている。「見る」だけでなく、車に乗って出かけようとしたら、いきなり車の中が白くなった。「これはまずい」と思っていたら、出火、炎上。幸い脱出したものの、大騒ぎになったらしい。そんな、奇怪なだけでなく、身の危険を感じるようなことが、そのビルの周辺では頻繁に起きる。
あるときは、店のシャッターが狂ったように暴れだした。あんまりなことに、店子さんは大家さんに携帯で「何とかしてください」と助けを呼ぼうとした。そのときだ。シャッターを支える棒のような部分が外れ、店子さんめがけて飛んできた。
気づくと、携帯電話ははるかかなたに飛ばされていた。棒は、電話を持った左手を直撃したのだ。
まるで、「電話をやめろ」というように。
元店子さんの左手は、以来痛みが走り、動かすのに不自由しているという。
て、どこのホラー映画ですか。
さすがに、なんとかならないですか、と大家さんにかけあうのだが、「そんなの序の口。うちはいつも火の玉がうろうろしてるのが見えるよ!」ととりあってくれない。
て、どこのブラックギャグですか。
で、元店子さんとしても一刻も早くそこを出たいと思うのだが、資金が無くて思うようにならない。それだけ、そこは破格の値段で人に貸しているのだ。勢い、お金の無い人が集まる。正直、夜逃げ寸前の人が。
ビルの周辺にはよく、怪しい車や人が待機しているという。ご近所の人も慣れっこだそうだが、それは、夜逃げしようという住人が用意した車と、それを抑えようと待ち構えている893だそうだ。つかまった住人はどうなるんだ…((((((;゚Д゚))))))
コワイ霊が集まると、コワイ生きた人間が集まるという、恐怖のスパイラル。そういやそのビル界隈、私もそばを何度か通ったけど、何も知らなくてもなんとなく「もう来たくないな」と思ったもの。ビルがあったのは覚えていないが、道の感じが、なんともイヤだったのだ。なんということのない道なんだけど。
この先は、憶測。古い街道筋の、こういうところは、いわゆる刑場に使われたことが想像できる。私も昔ぶらぶら歩きが好きで、都内旧跡などを歩いたり、古地図と照らし合わせてうっとりしてたのだが、なんとなく、いろんな有名なところと雰囲気が似ている、と思ったのだ。ちなみにうちの近くにもなんとなく「こんなとこに家が建ったけど、この家には住みたくないなあ…」と直感した場所があるのだけど、やっぱり、あとでそこ一帯が昔の刑場跡だと知った。もちろんその家は10年たっても売れた様子は無い。
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