殺人依頼事件の詳報?~30万は何の値段か~
先日報道された、少年Aが自分の母親を殺してくれと友人に依頼、30万円で請け負った少年Bが、Aの母親を殺害…という事件で、今日テレビで少年Bに焦点を絞ったルポをやっていたらしい。
らしいというのは、私も見ておらず、ネットで話題になっていたのを拾い読みしたのにとどまるので、詳細を語るのもおこがましいのだが…前に、この事件が「母親の命の値段が30万、というような報道のされ方をしているのに違和感を感じていたので、ちょっと書きたい。
殺人の報酬、というのは、相手の命の価値だろうか?違うだろう。
殺人依頼を受ける、「自分自身の価値」だ。
自分が殺人を犯すことによって失われるものは、人それぞれかもしれない。私など、社会の底辺でうごめく自閉人間で、かなり経済的に苦しんだ時もあったし、年若い頃には人を殺したい、などと思いつめたこともある。それでも殺人などの犯罪に手を染めなかったのはなぜか。もしも自分がそんなことをすれば、兄弟の仕事や結婚は無くなり、親もせっかく築いてきた家や、コミュニティでの位置を失う。子どもも、将来を失ってしまうし、年老いた祖父母はどれだけ悲しむか。疎遠になってはいても、いとこや叔父・叔母にどれだけ迷惑をかけるか。同級生、友人、先生方、昔の同僚、上司、仕事で信頼してくださった方々…どれだけの人を裏切るのか。たとえ殺す相手が、自分にとってとるに足らぬ、「死んじゃったほうが社会のためだ!」などと思える相手だとしても、その相手のために、自分の大切なものを失うのは大損だ。何億円積まれたって、割に合うもんじゃない!
少年Bの家庭環境は、かなり不遇であったらしい。両親は離婚し、借金まみれの父親に引き取られ、自分も新聞配達をしていた。Aとは家庭環境に共通する部分もあり、仲が良かったのだろう。Aの父は自衛官で、AとともにB自衛官にあこがれたそうで、自衛隊への入隊を決めた。その日、Bの父が自殺。経済的にはかなり、困窮していたようだ。
一方、Bは、暴走族に影響された詩を、卒業文集に残しているらしく、人生観は淡白で、短絡的。「咲いて散る」といえば潔くかっこいいようにも見えるが、ある意味自分の人生に長期的展望を持っておらず、本当の意味での責任感を持っていない。
この事件と関係があるのかはわからないが、Bは車の運転免許を取りたがっていたらしいという声があり、30万円の報酬を、その資金に充てようとしたのか、という見方もあるらしい。自衛隊に入れば、ただで普通免許を取れるのに?今は困窮した生活でも、もう少しがんばれば30万円なんて、一月でも稼げるのに?
少年Bは、お金の価値も、自分の価値も軽視している。また、いくら中の良い友人の希望だとしても、それをかなえないほうが友人のためでもあるということが理解できなかった。また、そんなことが教えられてこなかった、という気がしてならない。ある意味、気の毒だ。いくらも可能性のあるはずの自分の人生や、自分を見守ってくれるはずのいろいろな存在を、たった30万円で売り渡し、結局何も手に残らなくなったのだから。
思春期の子どもたちにとって、親や先生などがうざくてぶっ殺したい存在、なのはある程度仕方が無いことだと思うが、そんなときに、何かしら「悲しませたくない存在」を思い出すことができるから、多くの思春期の子は、とんでもないことをしでかさずにすんでいるのだ。
自分では決してそういうつもりはなくても周囲から「情緒に欠け、人の気持ちを理解できず、コミュニケーションがとれない」という評価を受ける私と息子。これが「自閉症」の特徴だと最近つくづく理解したが、それでも、なんとか凶悪犯罪を起こさずにすんでいる。息子も、いつ何をしでかすかわからなかったが、まだ、私にどこか甘え、理解してもらいたくて暴れてる部分が多くて幸いした。タイミングを見計らって、何度かこの「殺したって、自分が損するだけ」という話をしたのが良かったのだと思う。「命を大切に」なんてまともな話を何百回しても、きっと理解できなかっただろうが。
「あいつぶっ殺したい」という息子にこんな話をした。
「なあ、そんなバカなヤツのために、自分が犠牲になるの?ケガさせたって、殺したって、被害者様は『絶対』正しく、加害者は悪いんだよ。自分の人生棒にふり、妹の人生も台無し。親も路頭に迷うし、家はなくなるし、あんたはゲームや漫画も楽しめない、そんな生活が待っている。そうなってもかまわないって、くらい、相手に『価値』があるの?むしろ、不登校に追い込まれて全然勉強してないはずなのに、ちょろっと期末試験を受けに行ったら、軽~くそいつを負かしちゃう、なんてどうよ。そいつ、悔しがるだろうなあ、そいつと一緒にあんたをバカにした連中も、どんな顔するんだろうなあ」
息子、それまで三白眼で殺意むき出しだったのが大爆笑。
「ちょwwwww それ、最高」
この間の抜き打ちテストでは、全く勉強してない国語で平均点以上をとったのだが、それ以外はちょっと…なので、まだまだ本懐は遂げられない様子。ただ、息子は昔から勉強だけはできるバカ、というイメージだったのが、引きこもり生活で筋トレをし、運動部の子も驚くほど、逆三角形の肉体美を誇る、理屈っぽい筋肉バカに進化を遂げたと、今話題になっているらしい。なんとなく、今私がプレイ中のFF3を思い出す(他記事参照)。読書好きで知的で、魔法などに詳しいいじめられっこ・アルクゥが、私によって「モンスターなんて、一発殴ればおとなしくなるんじゃね?」的なちせい最低の筋肉バカになってしまった。怖いなあ、育児に対する姿勢が、RPGでも顕著だぞ!
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