燃やせ燃やせ真っ赤に燃やせ~うちの息子は火が大好き~
前述したと思うが、我が息子は、幼い頃から火に対して非常に強い興味がある。一度は、小火も出してしまったほどだ。
私を刺したとかなんとかなら、まだましだが(資産価値が下がるので迷惑ではあるが)、火を出すのは、うちだけでなくご近所の生命と財産を激しく脅かすので、もちろんうちだって、火の恐ろしさ、勝手に火を扱ってはいけないことなどを教えたつもりだったが、それでも抑えられない子というのは存在する。小火を出したのは、本当に幼い頃であったが、消防署の方が、我が家のいろいろ悲惨な状況を鑑み、後に話を聞きにきたほどだ。
その時は、私は「息子に、蚊取り線香係りをやらせることにした」と答えた。どうせ抑えられない衝動なら、きちんと火の恐ろしさを教えた上で、その有用な使い方を教え、ほどよく火を使わせるほうがよいだろうと思ったのだ。消防士さんも、それには同調してくれた。むやみに取り上げるより、目の行き届くところで、適当に発散させるのがよいのだと。
今も、息子は基本的に「蚊取り線香係り」である。いいかげん大きくなった息子は「またかヨー なんで俺なんだよ~」などと言う。忘れているわけではない。本人は、すっかり大人になり、そんな心配されなくても大丈夫なのに、という気持ちでいるらしい。
が、彼の、紙やら本やらが散乱した部屋には、少なからず、マッチやライターが隠されている。私が蚊取り線香用に購入した、バーナー調のライターに興奮し、鉄人28号の絵入りライターには「欲しい欲しい!」と涙し、かつて売られていたFF7ZIPPOの話になると、うっとりと「いいなあ…」と語る。夢の島のような息子の部屋には飲食物が散らばり、菌を醸し、虫を育んでいるが、その虫を、ライターで焼いて遊んでいるらしい。久しぶりに部屋に押し入って驚いた。最初は、黒かびのコロニーかな、と思ったのだが、天井のいたるところに、直径5センチほどの黒い「コゲ」ができている。炎を、怖れないにもほどがある。が、何を言ったところで、「自分ルール」を至上のものと考える息子には理解できないだろう。反論するならまだまし。
「うんわかった、そのとおりだよね!」と口で言いながら、裏腹に自分ルールで行動する、それが、この手の発達障害の特徴なのだ。
今日も、私は蚊取り線香に火をつけるように息子に言った。だが、私もアルコール漬けと老化のせいか、「えーと、あれ、あれ、火ぃつけて」などと、変なことを言ってしまった。息子は「あれってなんだよw」と言いながら、こんな歌を歌った。
もやせ もやせ 真っ赤にもやせ
いたる~ところに火をつけろ~
って、「闘将ダイモス」か!!!!!wそれは「怒る心に火をつけろ」だ!しゃれにならねえええええええええええ!!!
そして私は返歌した。
「よんでる~ よんでる~
だめですだめです どうしようもない~です~」
(元歌は『呼んでる呼んでるダイモスダイモス闘将ダイモス~♪』)
ここに、平成の世の連歌が完成した。……するなっ!
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「闘将ダイモス」
ロボット版「ロミオとジュリエット」として、ごく一部のアニメファンに人気のあった70年代ロボットアニメ。地球人で、ダイモスのパイロット・竜崎一矢と、地球に移民を申し出ながら、交渉決裂に伴い敵対することになったバーム星人の総督の娘・エーリカとの純愛を主軸に、愛と平和の物語をつむぐ。ロボットアクションとしてもなかなかかっこよかったのだが、エリカの兄で、超絶美形悪役のリヒテルのヘタレ具合、地球防衛長官・三輪の超悪役ぶりも一種のみどころ。ちなみにリヒテルの衣装は、当時人気の出てきたピンクレディーの、「ウォンテッド」の衣装がモデル。だからどーしたといわれれば、それまでだが。
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