いよいよ受験へ~進路説明会に出席しました~
先日、息子の担任の先生とお話させていただいた。息子も私もマイペース、先生も、無理に学校に来い、勉強しろと強制するよりも、本人の自覚に任せたほうが…とゆったりさせてくださったのだが、私が仕事にかまけて最近学校とコンタクトをとってもいないのを気遣い、お時間をとってくださったのだ。
進路希望…?うちは、経済的な理由もあって、公立しか考えられないのですが…
あまりこのブログでは触れていないが、うちは、世帯主であるパパに捨てられた家庭である。一応、少々お金を入れてはくれるが、私がフルタイムで働かなくては、給食費も払えない。それも最近滞りがち。私だって会社がどうなるか、私がリストラされるか、毎日びくびくしながら勤めている。だから、息子が朝だらだらしていても、休むわけには行かないし、たとえ「息子がこんな状態なのに、何のんびりと仕事なんかしてるんだ」などとののしられても、生計をたてないことには、一家餓死するだけなので、聞く耳を持たない。子どもにも、最低限の教育を受けさせたいが、ずっと昔から「公立」しか、視野に入れられないというのが、現実なのだ。
が、先生は暗に「私立」を視野に入れるように勧めてきた。ことに、こういう難しい子に適した教育を、私立がしていることが多いから、と。
それは、息子が小学生の頃にも言われていた。あの時の担任の先生は、毎年数多くの不登校児を輩出、どんどんその先生から逃げて転校しているというのを、恥じるどころかなんとも思っていないと有名な先生で、息子も相当、やられていた。その時息子はまったくへこたれず、不登校にならなかったのだが、見ている他の生徒があまりのいじめようを見せられて、欝になるくらいだったという。
その先生に言われたことは、
「この子は、日本の公立はムリです。海外に留学させなさい」だった。
当時はそれほど「アスペ」を意識していなかったが、まさしく典型的なアスペの息子のような子には、日本の公立は生き難い…いや、それは、自分自身がよくわかっていたし、それでも経済的に余裕が無いのだから、なんと言われようと、安い学費で教育が受けられるところしか、やっぱり考えられなかったのだけど。
が、公立1本というのは、どんなに優秀な子でも現実的ではない選択肢だ。まして、出席日数は足りない、定期試験も受けていない、小さな頃から知能は高かったが、今は遊びほうけていて、まったく中学の学習ができていない息子に、「公立1本」など、言える訳が無い。たしかに、私立、あるいはフリースクールなどを視野に入れて考えなくてはいけないのだ。
で、これまで息子の進路に、本当に私立を考えず、情報のない自分に気づき、学校で行われた説明会に、会社に泣きついて足を運んだのだ。
…正直、息子と同じく学校に行きたくない。
息子がいろいろ小さな頃からおかしかったので、授業参観などは極力顔を出し、そのために就職を延ばし延ばしにしていた身だが、息子がいよいよおかしくなってからは、本当に辛い。スーパーなどで息子の同級生の親に会ったって、こちらは挨拶しても、あちらはなんだか微妙な顔つき。以前のように輪には入れない雰囲気なのだ。まあ、こちらは何事も無くにっこりとしているが、それもかえって「息子があんななのに、何笑っているのかしら」などと嘲笑されてやいないかと、被害妄想に苦しむ。いや、そんな妄想に苦しんでいられるほど生活に余裕が無いので、なるべく考えないようにして、とにかく、笑っている。
人間、不幸になるほど笑い出すもんだ。
で、今日もにこにことしながら、でも誰とも顔を合わせないようにこっそりと席に着いた。
まったくわかっていなかったのだが、説明会には、生徒たちも参加していた。前のほうには、幼い頃から見てきた息子の同級生たち。あら、息子も今日は、朝「学校に行く、給食食う」とか言ってたし、座っているのかしら…とそわそわ、息子の姿を探しつつ説明会を聞く。
ふと、他のお母さん方が持っているパンフレットを、私がもらっていないのに気づき、慌てて受付へ。
「昨日、生徒さんに配り、お渡ししているはずですけど?」と言われた。昨日は息子、あれほど言ったのに徹夜がたたり、起きられなくて登校できなかったはずだ。名前を言うと、「そ…そうでしたね…そうでしたね」と、慌てて予備のパンフレットをくださった。惨めだ。とことん、惨めだ。が、自分を哀れんでいる場合でもない。とにかく、今日は情報を得て、息子に最適の道を示してやることだ。そうでなければ、息子もやる気を出さないだろうから。
結局、生徒たちが椅子を持ってクラス順に退室する時間になっても息子の姿は見つけられず、質疑応答も終わって(と言ったって、『不登校の子はどうすればいいんですか?』などと質問することもできなかったが)ああ、とにかく自力で道を切り拓くしかないのだなと自覚しながら仕事に戻った。
帰宅後、息子に「今日あんた何してたの?」と聞くと、「説明会にいた」という。見かけなかった、というと「ああ、不登校組は、2階にいた」という。体育館の、2階席に、不登校組が鎮座ましましていたというのだ。
隔離?ていうか、こんな特等席であんたがた、どこの皇室ご一行様だ。
「Mなんか、隣で寝てたよ」
M君は母子家庭で、小学校の頃から不登校気味のナイーブな子だ。最近、お母さんに良いご縁があり、ずいぶんいろいろ恵まれているように聞くが、まだ学校にはなじめないらしい。私は、彼のお母さんが一生懸命働いているのに接したことがある。…少し、彼にその姿を見せてあげたいと思ったのだが。
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