なんだか不思議なものをみた~この足跡は一体…?
その道は、大型トラックなどが激しく往来するところだった。
田舎といえば田舎だが、車は多く、それほど牧歌的だとは思えなかった。
よく、セメントが生乾きのうちに犬やネコが歩いたり、子供がわざと踏んで足跡を残すことはある。私も小さなころ、ネコらしき小さな足跡が残っているわずかなスペースを見て、「どこのネコだろうか」「今、そのネコは生きているのだろうか」「もしも死んでいるとしたら、もしかしたらこれが唯一のそのネコが生きていた証かもしれない」などと想像を膨らませ、友達の家で工事をし、セメントを塗ったとき、「踏んで足跡を残したい」という衝動に駆られそうになった。今も私は生きてるんだから、いいんだけど。
が、この足跡はなんなんだ。
ヒトらしい足跡のあとを追うように、トリの足跡が。大きさ、歩き方からみて、ニワトリ?セキレイよりは大きそうだし、ハトはこのあたりでは見かけない。いや、ニワトリだって、見掛けはしない。前述のとおり、そこは車の往来の多い場所で、ついでに昔はにぎやかだったろう商店街との間にある、わずかなスペースだ。そこらを野良ニワトリが歩いているような雰囲気ではない。
が、過去にたしかにそこを、ニワトリが歩いたのだ。いくら昔でも、その道には車が多かったろうに。そして、そのトリが、今も生きているとはあまり思えない。このわずかなスペースに、ささやかながら生きていた証を残したのだ。
そりゃあ、何百万年前も昔の化石などに比べたら、小さなロマンだ。
しかし、現代に生きる私たちも、大昔の三葉虫などと同じく現れては消えるはかない存在だけど、思わぬことで存在の証を残すことがある……そう思うだけで、楽しい。 もちろん、セメントの足跡以外で、何か残せたら最高なんだけど。
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