コスプレに異変あり?
盆と暮れには海辺の市場に行って、本とコスプレを鑑賞するのを、何よりのリフレッシュとしている。
しかし、「このところコスプレが減っていないか?」という感じがしていた。
最初は同人誌を売るサークルのパフォーマンスという意味もあったり、同人誌サークルとコスプレとの境界などもなかったりで、ちょっと前まで会場にはものすごい数のコスプレイヤーがひしめいていた。今の有明ビッグサイトの会場になって、コスプレとサークルを分断する方向になったが、それでも同人誌とコスプレの境界は不明瞭で、コスプレ会場にはもちろん、サークルオンリーの東地区、東と西をつなぐ通路を歩いているだけでも、華やかなコスプレイヤーが、山のように見られたのである。
それが、がっくりと減った。前回は同行した娘がコスプレ会場で体調を崩してしまい、ゆっくりとそこで見られなかったのだが、それにしても「少ないなあ…」と思いながら、娘の具合がよくなるよう、休めるところを探し、有明をうろついていた。そこで見たのが「となりでコスプレ博」というイベントだ。
コミックマーケットが行われる、まさにほんのお隣、ガラス張りの会場で、コスプレイヤーがひしめいている。雑誌などでもみかけるような、超絶美形、衣装やメイク、髪型などは言うに及ばず、武器などの小物大物にも妥協の無い、テレビや漫画から飛び出したようなコズプレイヤーさんたちが、楽しそうに撮ったり撮られたりしている。うわああ、なんだこりゃあ。
と、帰って調べてみると、今までにもコスプレ専門のイベントは数多く行われてきたが、このイベントはその名のとおり、オタクのビッグイベントのまさに「となり」で行う、コスプレ専門イベントのようだ。
コミケがテレビなどに出れば、まず真っ先に出るのがコスプレ。普通の人には、もしかしたらコミケ=コスプレイベントというイメージなのではないかというくらい、コスプレは華やかにイベントを彩る。
が、実際にはコミックマーケットは「あくまでも同人誌イベント。コスプレは徒花、禁止してもいいくらい」という声もあり、また世界的にも類を見ない混雑問題を抱えるだけに、コスプレには規制だらけだ。
たとえば、ゲームなどのキャラクターが持つ、剣や刀などの武器は、間違いなく禁止。最近はそういう小道具に何十万もかけるコスプレイヤーがいるのだが、コミケ会場では、それらを持ってかっこよくポーズをとることができない。着ぐるみなどにも規制が厳しく、とがった形状のものなどは待ったがかかることが多い。
漫画やゲームのキャラクターデザインでも、コミケでコスプレする際、ひっかからないようにとデザイン変更があると聞くくらいだ。
おまけにコミケは夏は暑く、冬は寒い屋上でしか実質撮影ができない。会場の飲食店はコスプレイヤー出入り禁止(今は緩和された?)で、過酷な状況。せっかくの、世界一コスプレイヤーにカメラが向けられる舞台で、思う存分パフォーマンスしたくてもできない。いつか、こういうときがくるのではないかと思っていたのだが。
冷暖房完備、強い日差しに悩むことなく、思う存分好きなポーズをとり、仲の良いもの同士交流を楽しんだり、やっている作品のキャラクターを、何十人でも集めて楽しむことが可能な場所があれば。そういうコスプレイヤーが、明らかにそのイベントに流れている。
今日も、屋上広場が終了したあと、コスプレイヤーらしき人々(メイクでなんとなくわかる)が、ぞろぞろとそちらの会場に向かっていた。呼び込みもあった。この人たちは、コミケの独特な雰囲気を愛しながら、それでも思う存分コスプレを楽しみたいのだろう。「やだ~もう混んでる~」と、会場を目指していたが、大道具を持ち込みたい人、早く良い場所を確保したい人は、もうコミケにこだわらずに、先に会場入りしている可能性もある。
ライトなコスプレウォッチャーとしては複雑だ。キャラ大集合や、武器を持った最高の写真を望むのは無理にしても、これまでコミケにいけば、大体、「今のコスプレ」が鑑賞できたのだ。また、それこそがコミケという、世界でも類を見ないイベントだという認識もあった。だが、いよいよコスプレとコミケ分断か…?
これもまた仕方が無いかもしれない。どうあったって、ものすごい勢いで膨らむコミケと、違う方向も含めて進化するコスプレ、ずっと前から仲良く収まっていられる状態ではなかった。自分自身、「コミケの近くでいい会場があれば分離しちゃえばいいのに」とさえ、思っていた。今、オタクを囲む業者が数多くいるのだから、それが実現されるのは当然の事なのだ。
一方、すっかり空いたコミケのコスプレ会場だが、それで寂しくなったかというと、そうでもない。妙に「コミケっぽい」雰囲気が戻った感じがする。人気のキャラに扮する人もいるが、「誰がやるんだよw」というようなマイナーキャラ、懐かしキャラに扮する人もいる。ジャンルも多様で、芸能人、知識人、CMキャラ、何でもありだ。
この人、昨年姉歯・小嶋の二役をやっていた人だろうか。今年は某国の総理である。¥105のブックオフ値札が泣ける。昨年よりずっとレベルアップした。
こういう表現、ちょっと他のコスプレイベントでは見られない。
コミケは年齢幅もかなり広く、下は乳幼児、上はお年寄りなので、一体どんなコスプレイヤーが出てくるか、正直予想もつかない。中年体型やはげた頭も、これがかえって味になる。むしろ、そういう役をこなせるコスプレイヤーに人が興奮する。
すっごくいけてる、むしろ被写体になりそうな美人コスプレイヤーが、「すごいっ!一枚撮らせてください~~~!」とはしゃいでいた。若いが、この遊び心がわかる人なのだろう。
そのほかにも、わかる人にしかわからないような素敵なコスプレが結構ゆったりとした会場で鑑賞できた。気のせいか、撮影者に、自分くらいの年の人が目立った。…もしかしたら、撮る人も、淘汰されたか?どう見ても60以上の女性がいらしたのも、これまであまりの人ごみに気づかなかったのかもしれない。
コミケは、やはりコミケだ。世の中がいろいろな方向で「萌え」やらなんやらとオタク世界を消費していても、商業の場には当てはまらない、「自由な表現の場」を提供し、新しいもの、あるいは古くても平気なものを大いに受け入れ、発信するのはここなのだと思う。
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紅白ではサブちゃんが熱唱中。今年はお世話になりました。来年も、この恥さらしな日記をよろしくお願い申し上げます。
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