「無人島で0円生活」を鑑賞~現代の美しいファンタジー~
娘が目をきらきらさせながらテレビに見入っている。
大好きな、よゐこによる狩猟とサバイバル生活を追う人気シリーズ「無人島0円生活」のスペシャルらしい。
もともと「一ヶ月1万円生活」を競う番組で、どういうわけかよゐこ濱口が銛を片手に海へ潜り、魚やタコなどの魚介を獲るという異能を発揮したことからこのシリーズは始まった。ニワトリと共同生活をして玉子を産ませてみたり、巨大魚と格闘して討ち取り、「●●獲ったど~~~~!」と叫びながら、基本的に全部豪華に油で揚げるだけだったり、というワイルドさが受け、肝心の節約生活では勝てていないようなのに、とうとうこんなシリーズまでできたか。しかも相方の有野も巻き込まれ、こちらは家を作り、料理をし、の良き女房役状態。今回は逃げ場も無いような吹きっさらしの無人島で、初めてしっかりとした柱を立て、家具を作り、なかなか快適そうな住まいを実現している。いや、まずは屋根や壁を確保すべきだろうと突っ込む視聴者を尻目に、とてもおしゃれなパーゴラを作り、雨に打たれながら都内で食ったらいくらするよ?????な、巨大天然ヒラメのお造りに舌鼓。
実にうらやましい。
もちろん、無人島といえども漂流生活などをのぞいてこのように好き勝手に漁をしてよいところなどどこにもなく、(最近はノロウイルスを恐れて無人島で養殖されるカキもあるようです)制作会社がちゃ~~んと根回しして撮影場所を確保、画面には映らないもののそれなりに多くのスタッフがこの冒険生活を支え、見守っている。だから、一般人にはマネのしようもないのだが、これは人間が数万年以上営んできた、原初的な生活だ。電話とパソコンで生活できるような現代人に「忘れるな」と、呼び起こされる本能のようなもの。
こんな便利で、狩猟に命をかけなくてもよい現代日本でも、この「本能」が実に魅惑なのはRPGが大人気なことでわかるだろう。人間は少しでもよい武器を取り、獲物を探すのが快感なのだ。スライムやゴブリンで得た快感が、実際に生きている魚介を狩り、調理して食うことに変わる。
最高の、ファンタジーだ。
今日のボスキャラはクエらしい。おもしろい。つりたてのカワハギやイシダイさえも、ザコになるか。
「うわあああ!今、ぶつ切りにしてカレーに入れた魚に、イシダイ、いなかった?」
「うん、あのしましまのお魚でしょ~2匹釣ったらしいよ」
「超!高級魚だよ~釣りたてだなんて… ママは昔、生簀からあがったイシダイを活作りで中華風刺身で食べたけどなあこれはもう…」
海原雄山は中華風刺身を評価しないようで、私も「こんな良いお刺身に、あんなことしなくても…」と思ったものの、食べるとこれはこれで良い。しょうゆとわさびが最高の調味料と崇め奉る盲を開いてくれた。が、普通に日本刺身でもいただきたいのだが、貧乏生活ではそんなこと、夢のまた夢だ。
「何?そんなおいしいものを食べたって、自慢したいわけ?」
娘が怒っている。しょうがないよ、あんたの生まれる前の話だ。まあ、世の中にはそういうものがあることを知って、今日の番組を元に、なんらかの夢を持ってくれればいい。
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