息子との会話~永遠のチキンゲーム~
今日はテレビなど見ながら楽しく食事。良い契約もとれたし、私は上機嫌。大盛りのカツカレーはうまそうだと、二人意見が一致して「一卵性親子だね」と盛り上がる。アメ横の魅力で、また盛り上がる。「どっちの旅」で、妙に盛り上がる。ええ、本当に妙に。
美しい日本の城を見て、私がふった。「そういえば今度の大河ドラマ、ガクトさまwが上杉謙信役をやって、どう考えても腐女子狙い、どこの炎のミラージュだよ、という状態らしいね」日ごろ歴史は嫌い、時代劇とか大嫌い、という息子、謙信と聞いて、まっさきに「るろうに剣心」を連想したとかで、まったくわからないのだが、あのガクトさまが戦国武将をという段階で、十分吹けたらしい。「さすがはNHK、日本ホモ協会だね」と私は続けた。実際、お堅いといわれながら、NHKは今でいう腐女子が大喜びするような、ホモくさい番組を提供し続け、暗にそう呼ばれていたらしい。最近では、中学生日記が記憶に新しい。
「NHKの意味ってなによ…『日本ひきこもり協会』しかしらねえよ」おお、久々にそのネタがきたか。「NHKにようこそ」最新刊を予約したとかいいながら、全然みせてくれないな、本も、特典のエロゲーも。
「日本放送協会だよ。常識だから覚えとけ」
「え~?日本ほ~も~協会?」わざとだな、てめえ。「放送。NHKが発足した時代や意味を考えれば、わかるだろう」少しは歴史に興味を持ちやがれ。こんなおもしろいものもない。ざっと日本史、世界史を知らなければ、「鋼の錬金術師」も「ファイナルファンタジータクティクス」も、十分には楽しめないぞ。一応「荒唐無稽なファンタジー」でも、意外と歴史を勉強している人ほどおもしろい!と言える作品があるのだ。少女マンガでは、「日出処の天子」とか、「ベルサイユのばら」とか。あんたが夢中な「赤ずきん」だって、私はそれぞれの原作を昔岩波で読んだから、きっとあんたより楽しめてる。「ペドい」とか以上に。
テレビには、松本城下を旅する女優・杉田かおるさん。息子は言った。「てめえなんざ、とりのうたでもうたってやがれ~~~」……さて、息子、意外な教養をもっていたな。息子の世代では、「とりのうた」と言えば、某エロゲのテーマ曲だ。私も何度も聞かされたが、歌だけは実にすばらしい。内容もいいのだとは聞くが、未プレイ、未視なのでなんともいえない。その前に、なんでまだエヴァに乗れる年の子に、エロゲのすばらしさを説かれなくてはいけないのかという、理不尽さだけを感じる。
で、「杉田かおるさんがかつてとりのうた、という曲を歌ってた」というのは、息子の年では知らない情報のはずだ。ついでに、今「14才の母」というドラマが話題だが、四半世紀前に、彼女も同様の役に取り組み、天才子役として名声を得たのだった。
「さ~、そういう話題は興味ないけど、俺、両方の『とりのうた』好きだし」知ってるのか。意外と、このキーワードは親子世代をつなぐかも。ただし、うち限定。
「でもさ、あのとりよ~とりよ~とりたちよ~♪(一応モノマネ)の、あの清純な美少女は、今ああなんだよ」
テレビでは、長野でも有名なお蕎麦屋さんに来て、杉田かおるさんは「あの…おいしいお酒は…」と、幻の蕎麦よりお酒にご執心。くいくいと飲み干して、いいやさぐれっぷりだ。志田未来ちゃんの将来も気にかかる。
「わかってるよ」息子は言うが、息子がふったネタがわかるのは、40歳オタクくらいだ。昔、息子が小学生時代にネットで「おまえ小学生だなんてうそだろう」と言われたことがあるらしい。で、冗談で「実は40歳です」と書き込んだら、「やっぱりなw」と納得されたとか。
一方、対する熊本城の旅人はえーと、ごめんなさい、知らない人でした…何か、性格俳優らしく、有望株な人のよう。その人の出演作品として映画「模倣犯」が紹介される。模倣犯。…私は何も言わず、食事を続けていたけれど、息子がつい漏らした。
「モーホー犯……」
はっと、息子が恥ずかしげに目をふせ、ちらりと私を見た。体は大きくなっても、ママの目が気になる…そんな、息子の幼児性が感じられた。
「……ああ、思いついても、言わなくてよかったよw」と私。
「思いついたのかよ!!!」
なにか、恥ずかしさにもだえながら私をなじっている。畜生、おんなじことかんがえるなんて~!とかなんとか。知るか。世の中、バカ正直に口に出してよいというわけではない。母は、これでも一応いろんな世界で社交なんかしちゃってるからな。
「畜生!言わずに後悔するよりも、言って後悔するのが俺だからな~~~!」
いやもう、言わなくて大正解でしたから、と言っておいた。これも社会勉強だ。
ああ、仲のいい時にはザ・たっちのごとく恐ろしく息の合う母子の私たち。一方で、高校受験を前にいろんなかけひきを水面下でしている。
一応、私はできるだけのことはしたと思っている、本来能力はあるのに、まったくやろうとしない息子のために、相当な額もかけている。声もかけた。が、それはことごとくマイナスな結果に終わっている。
たとえば大切なテストがあるとする。私は、彼の性格を重んじ、ゆったりと見守る。うっかり声をかけると、機嫌を損ねるという、困ったやつだ。ぎりぎりまで…ぎりぎりまで待つ。しかし、大事なテストの前日…というか当日、午前2時まで遊びほうけられては黙っていられない。私も就寝できないくらい、騒がれて。で、「いいかげんにしなさい!」と切れる。正直、そこまでいいかげんにされたら、「じゃあ、満点でも取れるんでしょうね」くらいは要求したくなるだろう。一生懸命やっている様子を見せられたら、どんな点数でも文句言わないけど。
息子は、そこで「あんたのわけわかんない理屈のせいで、
俺は学校に行く気がなくなったよ」という。
あんまり毎度、タイミングよくやっちゃうんで、第三者的に思う。
ああ、ママをダシにして、何もかもママのせいにすれば
逃げ切れるんだと思ってるんだなあ…と。
たしかにこれは、チキンゲーム。先に悲鳴をあげたほうが負け。
負けるのはいつも私。でも、
後で本当に困るのは、息子自身。
息子、いつまで自分を消費しながらごまかしていくんだろう。
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