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2006年12月16日 (土)

正しい「営業」の断り方~営業さんは見てる~

一応私は今、生まれて初めて「営業」という仕事をしている。

「アスペ」でも「発達障害」でも、息子同様どんな病名がついてもおかしくない、著しくコミュニケーションに欠け、人の顔もおぼえられない人間で、ついでに損得勘定ができない。かけひきとか、人の心を読むとか、あ~もう、そういうことができていたらこれまで苦労はしてないよっ!という人間だ。

しかも私の仕事は「飛び込み」中心。辛い。いかにも不審そうに自分を見る人に、自分と、商品を売り込むのだ。まったく赤の他人でどこの誰とも知れない人とでも、コミックマーケットや2ちゃんねるのようなところなら意外と楽しく会話できるし、デパートなどでお客様とおしゃべりするのもそつなくできるのだが、かえって「どこの誰」とお互い理解してかけひきするのがものすごく難しい。

「ごめんくださ~い」と、飛び込む。

お客さんは、お店の人とかいろいろだけど反応がおもしろい。
無言で、蚊でも追っ払うように手を振る人もいる。ああ、人間扱いされなかった。
とっても親しげにおしゃべりしてくれる人もいる。私もまあ、ここは雑学の多さと人柄を披露して気に入っていただければ、とたっぷりおしゃべりの相手になる。それが良い方向になり、素晴らしい顧客になってくださったこともあるけど、「私もしかしてただの暇つぶしの相手?」という関係の方々も多数。そのまま暇で店が潰れた人もいるけど、いつかはわかってくれるはず~と、がんばっていく。勉強の場でもある。

さらに親しげに、ご丁寧に断る方もいらっしゃる。以前通っていたところだが、その店長に会うと、まことに申し訳なさそうにくねくねしながら「う~~ん、僕としてはねえ、こちらを使わせていただきたいんだけど、上がねえ…」といろいろおっしゃる。「それではどうすれば」と何度も何度も提案に伺った。ちなみに、前任者も「いつかは出してくださいそう」と引き継いでくださったので、私も気合を入れていた。が、何度通っても同じ調子だ。また店長、「僕は使いたいんだけどぉ、上が…」と言いながら、絶対に私の目を見ない。

だめなんだな…

とは思うのだが、そういうお言葉をいただいては、また次も伺わなくてはならないのが営業だ。いっそ、これこれこういう理由で使いません、と明言してくれれば、それを報告できるのに。
突然、そこの店長が交代した。新しい店長に気合を入れて挨拶に伺った。新しい若い女性店長は、すごかった。

「何度も来ていただいているようですが、こちらとしてはお願いすることがないので、もうお越しくださらなくても結構です」

と、名刺交換もしてくださらなかった。私としては、このお店にとても期待していたので落胆もあったが、いっそそう言ってくださって「ああ、開放された」と思った。

最初「使わないわよ~」と、きついことを言うところでも、何度かお話をしていると、意外と話を聞いてくれ、なんだかんだで力になってくれるところもある。だから一度こっぴどくやられたところでも、何度か飛び込むこともある。もちろん、「あんたもよくやるねえ」と、暇つぶしに話をしてくれるところばかりでなく、辛いこともあるのだが。

真摯に受け止めて、真摯にお断りしてくれる店長さんもあるし、何度も何度も詣でた挙句「いっりませ~~~~ん♪」と軽く馬鹿にしてくれる店長さんもある。正直、前者のお店ガンバレ、後者のお店、潰れろ、だ。

コミュニケーション能力の欠けた自分にもおどろいた事例が二つある。「ごめんください」などと声をかける。店長が出てくる。売り込みの文句を言う。
すると店長はまったく無言でくるりと背を向け、奥にこもってしまう。

……こちらとしては、「断るということ?」のほか、「改めて他のところから出てくださるかも?」「責任者の方を呼びに言ってくださったのかも?」と悩むことしきり。しばらく、そこに立ち尽くして、次のアクションを待つしかない。

断るなら、せめてそうアクションしてくれよ!

悪いけど、最後の事例をだした二つの店に関しては、本当に呆れている。もしもこれらのお店がネットで叩かれていても、擁護する気はない。叩かれるだけの理由があるのだと思う。

今週、長年通っていたところで、もう少しで契約…というところにいったお店が、上司に直接私に対するクレームをつけた。私としては精神誠意をもって接したつもりであったが、ちょっとしたことが不審につながったらしい。社長を呼びつけ、話をした。いろいろあり、誤解は解けた。そして…私は、このクレーム主にも、いつもきついことを言う社長にも感謝した。

「愛」の反対は「憎しみ」ではなく、無関心。

叱ってくれるだけ、ありがたい。

このクレーム主へのお礼とお詫びの電話でも、私はちゃんとできなかったんじゃないかと思う…何せ、十代まで、まともにしゃべれず、まともに誰ともコミュニケーションできず、ことに電話に対しては今も恐怖心まで感じている人間だから…

でも、無言で奥に引っ込む人に比べたら、まだましかなと思っている。

☆  ☆  ☆

15日は『エロイカより愛をこめて』と『絶望先生』の新刊発行の日であった。日であった…日であった…

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コメント

はじめまして
お断りするのは難しいことです。下手な私にはとても勉強になりました。ありがとうございます。
人には、内心を話さない方と、たえず考え話して自分を保つ方があるようです。闇鍋さんは語ることでリラックスできるのかも。私は小学生の時、小説家になりたいと言ったところ母に「いつか家族の話を書くようになる。それはやってはいけない。」と静かですがきつく言われました。結婚後もそんな家族です。でも、そんなに先があるわけではないので自由にやろう。
闇鍋さんの一所懸命なお姿に励まされました。元気をいただきました。
大変読書家で、思慮深い、健筆な闇鍋さん。
ますますのご活躍をお祈り申し上げます。お元気で。

投稿: アスぺの奥 | 2012年3月 9日 (金) 18時26分

アスペの奥さん、ありがとうございます。
懐かしい日記を読み返し、「ああ、そんなこともあったっけ」と振り返りました。今は、担当が複数いるなどだと苦手意識はありますが、何人もの顧客と楽しく談笑し、飛び込みだってほいほい出来るまでなりました。
相変わらず社長にはきつく言われることもありますが…自分の苦手意識から逃げていてはだめですね。
そういう自分を見つめて、どうすればうまくいくのか考え、実行していけば誤解されることも減るし、居場所が作れるなと思います。

小説家とか、エッセイ関係の人の家族や友人は、確かに大変なようですw

投稿: 闇鍋奉行 | 2012年3月10日 (土) 10時56分

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