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2007年1月22日 (月)

麻生美代子さんの素晴らしい芸~若手萌え声優もかなわぬ色香~

子供の頃は、「サザエさん」があまり好きではなかった。コンプレックスと言っていいかもしれない。自分とは正反対の要領のいいカツオ、どうにも自分とはあわなそうなサザエ、最近は丸くなったように思うが、昔の波平さんはいかにも古めかしく封建主義な明治男で、家庭的な女性になれそうにない自分には、天敵にさえ思えた。

そんななか、唯一尊敬できたのがサザエの母で波平の妻・フネさん。今、平成の世にあって、最後の「明治の賢婦人」である。黙々と地味に自分の仕事をこなしながら、時には家長たる波平もいさめるほどの人徳者。父親や姉の顔色を伺い、ごまかそうとするカツオも、母の目をごまかすことはできない。

その磯野フネ役を演じているのが、麻生美代子さんだ。フネ役だけでも38年目。私の子供の頃を思い返しても、古く偏ったしつけ観でハイジを抑圧するロッテンマイヤーさん、口さがないところもあるけれど、結構人情家の赤毛のアンレイチェル・リンド夫人、ロボット版ジュリエットであるヒロインをひたすら滅私奉公しながらも、葛藤に苦しむ闘将ダイモスのマルガレーテ役…など…などなどなど!

どちらかというとあまり表に出ないものの、重要な役どころをいくつも演じ、80を過ぎた今も積極的にアニメの新しいお仕事、主に老け役を演じて最高峰と言えるお仕事をしている方である。

ロッテンマイヤーさんなど、どれだけ当時の子供たちの憎まれ役になったんだろうか。ハイジの個性をまったく認めなず追い詰める、ゆがんだ教育者という役どころであるが、大人になってみると、彼女の言い分は至極真っ当で、当時の婦人として何も間違ったことは言っていない。またハイジのことを思えばこそ、あれだけきっちり言うのであって、ハイジも苦しんだだろうが、まったく理解できない野生児ハイジに、ロッテンマイヤー女史も相当精神的に参っている様子がわかる。また、麻生さんが素晴らしい演技をしている。ただの悪役ではない。いわば、「正しい母性」の塊となって、ハイジと傷つけあうのだ。狼狽し、怒り、呆れ、悩み苦しみながら雷を落とす。主人であるクララお嬢様と、それに悪影響を与えかねないハイジの両方に、彼女なりに注いでいるのに、伝わらない愛情。しみじみ、良い。

良識ある婦人役。これが一番のはまり役なのだろうか。家庭教師や乳母、お隣の主婦など、いずれもそんな感じだ。なのに、今日の放送で、波平さんと床に入っての会話シーンにうっとりした。

「お父さんは、ボクやねえさんがこんなせいで怒ったり心配しているから、今も若々しいんだヨ」と波平の怒りを鎮めたカツオ。同じことをフネにも仕掛けたが、フネはそんなことでごまかされず、きっちりカツオを叱った。そんな話を床でしながら、波平が「しかし、母さんは本当にそのおかげで若いのかもしれんな」などと、子供たちの前では決してしないような言葉を口にする。フネはそれを聞いて「まあ」とほんのり笑うのである。

この「まあ」に、ものすごい艶を感じた。これは、波平さんも頭が上がらないはずだ。

誰よりも賢く、誰よりも色めいていて、それでいて、そんなそぶりは決して見せない。

そんな役を演じさせたら唯一というくらいの存在感を見せる名優だ。

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「テレプシコーラ」10巻の発売前夜祭ですが、本日ココログのメンテナンスが今日予定されています。コメント等に支障が出たり、新しい記事が書けないこともありますので、ご了承ください。

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