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2007年1月20日 (土)

アスペの子のしつけって~普通のことほどわからない人たち~

昨日は息子の学校に赴き、カウンセリングの先生、保健室でいつも息子と接している養護の先生、担任の先生と、さらに本人も加えていろいろお話した。今更だが、おかげでようやく息子も進路に向かって動き出せた。「早く学校見学や体験入学に行こう」と何度行ってもだめだが、さすがにこれだけの面子に囲まれ、また臨床心理士の先生が上手に「早く決めなくてはいけない、動かなくてはいけない」ということを理解させ、体験入学を一件申し込み、また受験予定の公立校も見に行く気になった。1月も終わりになるというのに。

息子がいないときに、臨床心理士の先生にこんな話を伺った。2年生の終わり、卒業式に息子は友人とともに大幅な遅刻をしてきたので、厳しく叱ったのだという。前日くらいに「ちゃんと来るように」とあれほど言ったのに、「式典にこんな時間に来るなんて、失礼でしょ。だったら来ないほうがましだよ」と。すると息子は反論した。

「式典に時間通りに来なさいとは、誰も言わなかった」と。

私もその話を聞いて驚いた。そんな、あたりまえのことがわかってなかったのだ。普通の人なら言うまでもないことが、わからない。こんなところもアスペルガー症候群といわれる人の大きな特徴だ。

先生は、それを言わなかったのは悪かったと、すぐに息子に謝り、次から始業式などにはきっちり来るようになったというが、すごい。私なら、「そんなこと常識でしょ!」とキレているだろう。「常識」がまったくわからない子。アスペルガー症候群は、そんなことが積み重なって周囲も本人もストレスをためがちだ。

今日も、こんなトラブルがあった。娘が昨週のバス旅行で、おこづかいを出して買ったお菓子。これを今日のおやつでみんなで食べようとしたら、息子が、すでに全部食べてしまっていたのだ。娘は大粒の涙をぽろぽろ流して嘆いた。実はこんなことが一度や二度ではない。「これまでも何度も怒って、それでも許してきたけれどあんまりだ!」……娘の嘆きはもっともである。

息子も負けずに反論する。「大事なお菓子ならちゃんと管理しとけよ!ほうったらかしで、箱も潰れてたし、大事なおみやげとは誰も思わねえよ!」

それは違うだろう、と私も怒った。どう見ても普通のおやつ用でなく、箱に入った観光地のみやげもの風なのだ。よそに差し上げるものかもしれないし、家のために買ってきたものだとしても、それはみんなで旅の話題でも楽しみながら、楽しむものなのは明らかだ。たとえそうは見えなかったとしても、どうして箱入りのもったいぶったお菓子を、自分ひとりがもさもさとあっという間に食べてよいものだと判断できるのだろう。一言「これ何?食べていいの?」のな一言くらいあるだろうと言うと、

「誰もいなかったから」

で終わりだった。だったら、余計食べてはいけないのがルールだと思うのだが、息子はがんとして「置いとくのが悪い、いないのが悪い、誰も食べてはいけないなんて言ってない、普通誰でもそうする、俺は悪くない、むしろ俺が常識を教えてやる」の一点張りだった。

幼い頃から万引きや、親のお金を盗むなど困った行動が多かったが、少し判った気がする。「誰もとっちゃダメだと言わないから」「置いてあるから」「捨てられているように見えたから」「汚いから」などの理由で、本人としては善意で持っていくつもりのこともあるようだ。それが「非常識」とか「犯罪」などという発想がまるでない。

今日も何度も、それはいけないことだと教えた。娘も兄の病理を理解し、説得したのだが、息子にわかるようには、話ができなかった。仕方ないので「じゃあ、わかるまでうちにあるものは確認しない限り勝手に食べないで」と言い渡した。

言うことを聞くとも思えないけど、このままじゃ息子、絶対社会に出られない…

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