ピタゴラ装置を親に見せてみました
「ピタゴラスイッチ」は、「大人が人に見せたくなる」幼児向け数学番組である。
その人気コーナーである「ピタゴラ装置」がDVDになっていたのは知っていたが、今日街を歩いていて、とあるCD屋さんが特設会場を作り、「立ち見歓迎!絶対見て欲しい!儲け関係無しで、今日まで10パーセントOFF!」と店長の名で熱くキャンペーンしていたのにほだされた。私も、そのコーナーの前に人だかりができて「うわ~」「すごい~」と嘆息しているのが、妙に(全然関係者でも無いのに、ただ、番組のファンだというだけで)誇らしくさえ思え、また店長の心意気も感じられたからだ。もっと安く入手もできるが、こういう心意気に応える消費者がいないようでは、日本の経済は終わりだ!
と、ちょっと家計が安定したくらいで気が大きくなり、2600円もはたいた私。娘には「はあ?無駄使いよね」と笑われた。彼女は、そんな金があるなら自分においしいものを食わせろというのだろう。この番組大好きな息子は、「えっ買ったの??」と、日ごろDVDなどを買わない節約ママの思い切った買物に驚きながらもうれしそうだ。
で、みんなしてはまる。娘よ、案外あんたが一番楽しんでいるではないか。
娘を実家に送り届けるついでに、私は父にもぜひこれを見せたいと思った。
私の父は、同窓生にノーベル賞受賞者もいる有名国立大学の理系出身。この間も、ファイナルファンタジーというテレビゲームのおもしろさを説明するのに、「通常のRPGは足し算、引き算がわかればOKなんだけど、FFは割り算も使う。さらに倍数や素数を使って攻撃する(される)こともあって…」という説明をしたら、妙に乗ってきた。少年時代から定年後の今も、素数大好きなんだそうだ。
こんな理数人間に、見せずにおくものか。
娘の来訪に、酒肴を用意しながらん~?なんだ、DVD?見てもいいぞ~てな感じで受け入れてくれた両親。不登校息子が一歩前へ進んだことも興を添え、祝賀ムードでわいわいと。で、いつしか両親…いや、特に父がはまることはまること。
素直におもしろく見た1回目(19分)。
「この、磁石が」「この仕掛けが」とこだわり始めた2回目。
「ちょっと!今のとこ巻き戻して!」という3回目。
巻き戻すも何も、ビデオじゃなくてDVDなので、前のところにサーチするボタンを押すと、これまた感激している。長年ビデオに親しんだ父。DVDプレイヤーを何台も揃え、大型ハイビジョンテレビも買って、素晴らしいホームシアターで暇があれば録画した番組を見ているという父なのだが、意外とこういう機能は使いこなせてなかったようだ。また、ネタのひとつひとつが短いこのDVDでは、この機能が最高に使いやすい。
そして何度も見ながらいろいろ検証する老父娘。「落下エネルギーが…」「慣性の法則が」「ここで運動エネルギーを」「磁力が」「弾性が弾性が」「摩擦が摩擦が」
なぜか、唐沢なをきさんのマンガのような雰囲気になってしまった。
何度も何度も同じ映像を見て熱く検証する父。やはり同じように「人に見せたい」衝動に駆られたようだ。私の従姉妹が不倫の末子供をもうけているのだが、この子が非常に頭がよく、父も何かと可愛がり、援助しているようだ。その子に見せたい!絶対喜ぶ!と思ったらしい。
「これ、ダビングしてくれ」…それはちょっとwラスト、「無断上映、いかなる複製もお断り」のメッセージに、両親も唖然。まあ、これを見るとNHK受信料を払う価値あるかなと思えるくらいの出来。買っても罰は当たらないだろう。DVDブック制作は、ポニーキャニオンと小学館なんだけど。
父も入手先や値段を聞いていたので、もしかしたら購入するかもしれない。そして配ったり、人に見せて自慢するかもしれない。父の交友関係だと、結構エリートが多いので、それこそ「摩擦が摩擦が」「磁性が磁性が」状態になること間違いないだろう。いや、そんなエリートではない私も、このおもしろさは太鼓判。「え~~これつくったひとあたまいい~~~」と、感心するだけでも十分だ。
ピタゴラ装置DVDブック1 販売元:ポニーキャニオン |
同じ「ピタゴラスイッチ」内で人気のコーナー「アルゴリズム体操」も絶好調。この番組の良いところは、とことん計算された、数学的なエンターテイメントは、軽く国境を越えるということだ。言葉不要。ひたすら、計算の妙味に酔えばいい。今、この体操はネットのおかげで世界を駆け巡っているようだ。そのなかでも圧巻なのは、フィリピン刑務所内らしいアルゴリズム体操。徐々に参加者が絶妙なタイミングで絡んでいくマスゲームに感動。
| 固定リンク
コメント