娘がまたカミングアウト~オタクを馬鹿にすると許さない~
日曜夕方、天声慎吾をなんとなく流しながら内職をしていたら、香取慎吾さんとお笑い芸人さんたちが秋葉原メイドカフェに潜入、という、ちょっと懐かしめのネタをやっていた。全員チェックのシャツにバンダナというアキバ系ファッションに身を包み(でも、香取クンだけちょっと高級そうだ)、まずはお笑い芸人らしい、太った男性がお手本を示した。
男性は、「萌え~~」とか「キボンヌ」とか、こういっては何だが、痛い2ちゃん語を連発しながら、キモく、ものすごくキモくメイドさんに迫るオタクを演じた。これを、順番にやらなくてはいけないらしい。次々に、イタく、キモいA-BOYを演じる芸人さんたち。
「ふざけんなよ!オタクを馬鹿にして、イメージを落として笑いをとろうとしてるとしか思えない!」
と、怒り出したのは、なんと小学生の娘だった。。私もそのあまりのキモさに、たしかにそういう人もいないとは言えないけど、全部がこんなだと思われたらきわめて不快だ、悪意に満ちた表現だとしか言いようが無い、メイド喫茶に行ったことはないけど…と思ったのだが。
「まあ、落とそうにも、最初からオタクのイメージっていうのは地の底から始まったようなものだし」となだめたが、彼女の怒りは収まらない。「大体さあ、うちの学校でも秋葉原に行くのがアキバ系とか、みんな間違ってるの。アキバ系って、そういうことじゃないのに!」と、怒りに柳眉を逆立て、涙を湛えて叫んでいる。
「そ、そんなに怒ることもないじゃない」そう、昔からの報道を思えば、このくらいまだまだだ。「別にあんたがオタクだというわけでもあるまいし」すると娘は目を見開いて叫んだ。
「はあ?あたしはオタクだよ!?」
……へ? 私や息子はしょうがないかと思うが、娘だけは我が家で奇跡的にオタクじゃない子だと思っていたのに。きょとん、とする私を、冴え冴えとした顔で見る娘。うわああ、前の「あたしは腐女子」発言に続いてのカミングアウトか。
オタク=アスペルガー、などというのはいささか乱暴だが、私はいささかそれに近いものをずっと感じている。どんなに漫画やアニメが好き、と言う人でもどこかで「自分と違う」と感じる人は多かった。一方興味の対象が違っても、同じ性質の人とは、どこの誰かはわからなくても幼馴染のように熱く語り合えた。
息子は、生まれてすぐ顔を見た瞬間から「この子は、私と同じ世界の人間だ」と直感、逆に娘は「あれ、この子、全然違う!」と感じた。こんな家庭環境だから、娘は幼い頃から漫画やアニメ、ゲームに触れ、たぶんおなじ年の子のなかでもそういう世界に詳しいほうだと思うのだが、その楽しみ方とか、解釈の仕方とか、極端な話「言語」が違う、というくらい、娘と息子とは違っている。実際、娘は普通の世界で評価され、交友関係も幅広く、きちんと人間関係が築けている。親の私が一生かけてもできそうにないことが、よちよちの頃からできている、「健常者」なのだ。
しかし、その娘が「私はオタクだ」と言い、こんな番組に真剣に怒っている。思いは複雑だ。最近彼女は荒れ気味で、いろいろ話を聞いていると徐々に他の子たちと距離ができているように思え、意外と「こっち側」の性質があったか、我々の影響を受けてしまったか…と思う部分と、あえてマイノリティーに身を投じ、しっかりと意見が言えるすごい子になったのか、という思いと。
また自分を「腐女子」で「オタク」と言い切るのもなんだか頼もしく感じた。「腐女子氏ね」というオタク、「オタクキモ!」という腐女子。でも世間から見たら同じようなもの。近親憎悪してる場合ではない。彼女の心中をすべてわかっているわけではないけれど、彼女が腐女子で、オタクであるというのなら、それはそれでいいな。
☆ ☆
息子は息子でぼやいている。保健室登校になってから、それほど「いじめ」の話は聞かなかったが、先日こんな話をした。学校の通用口で、級友たちがどうも自分のうわさをしていたように思った、というのだ。それが
「週一回、メイド喫茶に通ってるらしいぜ」
俺は行ったこともねえよ! そんな行く金もねえよ! wwwwと、荒れていた。
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