不登校息子って大物かもしれない?~親バカだと笑わば笑え~
一喜一憂、悲喜こもごも、オタクで不登校でたぶん発達障害の息子の観察日記を今夜も書こう。
志望校、といえる進路を見つけて最近意欲的な我が息子。なかなか中学にはいけないながらも、がんばって夜寝て、朝起きる習慣を取り戻そうとしているし、私や祖父母のお手伝いも積極的にするようになった。一時期は、私にも祖父母にも殺意を叫んでいたというのが、嘘のようだ。定員割れするようなところだが、こういう子にはレベルやブランドよりもいい選択なのかもしれない。前に書いた、発達障害のNPOをしている方にも報告したが、何よりだと喜んでくれた。こちらのお子さんは、とにかくいろいろあって、親子ともども落ち込んでいるらしい。うちの息子は、初めて半田付けをし、ツナギを着て溶接をしたり、エンジンのボルトを緩めたりする体験を通してみるみる生気を取り戻したのだが、あちらのお子さんにはその瞬間が得られないらしい。「なんだか生き生きしていると思ったら、そういうことだったのね」と言われた。
うん、これまでこのブログでも「もう大丈夫かも!」と書いたら、のちにとんでもないことを書くことになったので、まだまだ気苦労は絶えないことだろうと思うのだけど、「4月からは女手ひとつで『無職少年』を抱えなくちゃダメかも」と絶望していたのが、「もしかしたら、あと3年は息子の居場所があるかもしれない!」と思えるだけで、顔色も血行もよく、少々は若返れる。
さて、祖父母のお手伝いをし、私のお手伝いをするうちの自慢の孝行不登校息子。ひょんな話題から小学校の担任の先生の話題になった。3年の時にお世話になった■先生はとてもユニークな先生で、独自の理科の授業を行うのだった。実験を通して児童に考えさせ、討論させ、1年間の授業の中で、中学くらいで習う物理の法則をほとんど自分たちで発見させてしまうのだ。今、息子は「まんがサイエンス」とあの授業のおかげで、授業にまったく出ず、ほとんど学習しないでも、結構中学の理科がわかるという。
「本当にあんたには恩師だったね、■先生」と私は言った。すると、息子は意外なことを言い出した。
「何言ってんの。恩師と言ったら▲先生でしょ」
▲先生とは、小学2年生の時の担任だ。厳しいことでは「悪名高い」レベル。「とんでもない先生だ」と、前にいらした学校の保護者からもうわさを聞いていたし、近所の方にも「これまで不登校の子を何人も出している。いやがって転校する子がいても意に介さない」と言われた。
たしかに、「何もそこまで言わなくても…」というような言動が目立ったようだ。また、算数の曲がり角・九九を習う学年だけに、容赦ないくらいに厳しかったという。
で、息子は、この先生のクラスで異彩を放ち続けた。授業は聞かないし、課題も提出しない。地獄のように厳しい授業のなか、紙飛行機を飛ばし、床を掘り、へらへらしていたらしい。当然先生の雷が落ち、いまどきありえないようなありとあらゆる罰が与えられたという。その様子を見たお友達の方が、精神的に参るくらいの状態だったそうだ。「なんとかしないと」という助言を同じクラスのお母さんからも受けた。それどころか当の先生から
「この子は日本の公立は無理です。海外に留学させなさい」
という助言をいただいた。 先生、それ、無茶です。だが、この怖い先生と怖いママが同時ににらんでも、へらへらしていて、「だめだこりゃw」と、先生と私が笑うシーンもあり、意外と▲先生と私と息子の関係は悪くなかったのかもしれない。また、当時息子といろいろ話してみたが、全然この先生を嫌っても怖がってもいなかったようだ。
「あの先生、九九は本当に熱心に教えてくれたもんなぁ」と、息子が振り返る。意外だ。息子、幼稚園で倍数や素数を理解できていた(FFTのせいだ)ので、てっきり小ばかにして九九のしつこいくらいの課題を提出しないのかと思ったが、自分は課題を提出しなくても、先生のなさったことは理解していたらしい。なんと賢い息子だろうか。その、賢い息子が続けて言う。
「それに、あの先生のおかげで俺、逃げ足が速くなったんだぜ~?」
ちょっと、職員室に来いや。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
NHK-BS2で「2001年宇宙の旅」をやっていたので、ちょうど夕食の時間とばかりに息子に見せてみた。これが1968年の作品だろうか。頭の弱い私には、何度見てもさっぱりわからないのだけど、卓越したデザイン、さりげなくすごい特殊効果、宇宙空間の描写の美しさにはため息が出る。仮にもオタクだという息子には一度は見せなくてはならない名画だ。これに影響を受けた日本のマンガやアニメ、ゲームなどは、数多いのだから。
息子も早速啓示を受けた。最初の、サル同然の人類が「モノリス」に影響を受け、大変な進化を遂げるところだ。それはまさにエデンの園のリンゴ。「道具」を使うことを覚え、獲物どころか同胞をも殺すことを覚えたサル。そしてシーンは宇宙時代へ…「星野之宣さんの『2001夜物語』は、まさにこのシーンから始まる。ガンダムやプラネテスを語る上でも、この映画ははずせないよ」と私は熱く、70年から80年代、そして現代のSFを語った。
息子は、「モノリス、なつかしー!」
と、これもまた懐かしいテレビゲーム「モンスターファーム」を最初から始めてしまった。そりゃ、懐かしいけどなあ……
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