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2007年3月21日 (水)

漫画・アニメに世襲はあるの?

宮崎駿監督の新作「崖の上のポニョ」が発表された。主人公の5歳の男の子は、宮崎駿監督の長男で、近頃「ゲド戦記」でなにかと話題になった吾郎氏がモデルだという。まだまだ「親子鷹」物語を演出するのだろうか。CGを一切使わないとか、「長男の育て方を反省した」という物語だとか、パパ監督の気概を見せてくれそうで、ここ10年くらいでは一番期待できそう。

で、そんなニュースを朝見ながら息子とこんな話題になった。

J( 'ー`)し「そういえば、漫画家って、子どもがデビューしたとか、聞かないよねぇ…?」

政財界や芸能界では親の七光りはザラである。七光りでなくても、話題のアーティストが実は有名人の子だったなんていうこともあるので、やはり才能を受け継いだり、環境に恵まれたりということはあるのだろう。画壇、文壇などでもその傾向は顕著だ。子どもなら誰でもなどという甘い世界ではないのだが、やはり親子揃ってその世界で大成している例は少なくない。

漫画家の場合、私が知ってる限り、親子で大成している例は聞かない。兄弟姉妹なら、それなりにあるけれど。自分の子どもの頃を思い返しても曽根まさこ・志摩ようこ姉妹とか、ちばてつや・あきお兄弟とか。もう少し時代が下って、うぐいす姉妹か。

「さいとうたかをさんの奥さんと娘さんは、揃って同人作家ですよ」

同人をやっている友人が教えてくれたことがある。同人の世界では、結構親子同人とかあるようだし、ゴルゴ13一家のように、奥さんと娘さんがそれぞれ活躍していることもあるそうだが、奥さんはともかく、私のような普通の人の目に「あのさいとうたかをの娘デビュー!」というようなふれこみを見たことは無い。

「世襲っていえば、マコちゃんがいるじゃない」と、元中学不登校息子が言う。15やそこらの子に、この甞められっぷり。漫画の神様・手塚治虫の息子、眞氏のことだ。

たしかに眞氏は、故・治虫氏の遺志を継いでか「映像作家」の道に進んでおり、昨今、あの手塚漫画の最高峰と言っても過言ではない「ブラック・ジャック」のテレビアニメの監督を勤めた。もともと手塚治虫はアニメーションを作りたくて漫画を描き始め、日本の漫画の基礎を築いた人だ。映像作家・手塚眞はこの問題作をどう映像化するのか??

たしかにすごかった。「命の重さ」を問う天才モグリ外科医の物語は、「何でも治す!助ける!スーパーかっこいい外科医」の物語に変わった。「天使か悪魔か?」などと問うまでもなく、このブラック・ジャックはただの正義の味方だった。約一年間、犬やシャチなどを含めて死人なし!本来ブラックジャックと関係ないような人物も助けまくった。原作では空しく死んだはずのキャラクターも、犬も、シャチも、ブラックジャック先生のおかげでぴんぴんする。

ああ、人間、多少間違ったって大丈夫。ブラックジャック先生がいれば。病気になっても、事故を起こしても、ちょっとむかついて人を刺しちゃっても、ブラックジャック先生がなんとかしてくれれば。命って、なんて軽い!

てな方向に解釈するしかない物語が延々続いて悲しくなった。「幼稚園の子が見るかもしれないから」と、人や動物が死ぬようなシーンを避けたそうだが、幼稚園の頃から「ブラック・ジャック」を読んでいた、まだまだ未成年のうちの子たちも、このアニメにはあきれ果てていた。「それじゃ、ダメじゃん!」ラルゴもトリトンもほのぼのと存在しているような世界を、子どもだって望んでいない。子どもだって、あの過激な原作は理解できる。できない子もいるかもしれない、というのなら時間帯を変えるか、「子どもも見てるのに!」という非難を一身に受けて戦ってこそ、「手塚の息子」。じゃなきゃ、いっそ「この時間帯でこの作品をこの時代にアニメ化するのは無理です」と言い放って欲しかった。

少し、話題がそれた。この眞氏、アニメ化に伴うブラックジャック祭りに、漫画家としても担ぎ出されている。Makochan

…いや、なんというか、これはこれでいいかな…

エロティックと言っても過言ではないような、美しい曲線にこだわり、まるっこいキャラクターでもものすごくヘビーな物語をつむいでいた手塚治虫氏。

それを変にまねようとせず、わが道を行くような美的感覚を持つ眞氏。

ブラックジャックを描けと言われたから描いたけど、この人、意外とまったく違う物語を内に秘めているんじゃないかな、とこの作風を見て思った。

正直、お父上よりはるかにブラックですね。

1年間、全クランケ皆殺し!な展開でもおもしろかったじゃないですか。

と、無責任に語ってみる。

まあともかく「神の子」でもその「後継者」にすっぽり納まるわけではないのが漫画の世界。これまで、たとえば亡くなった漫画家のあとを子どもが継いだとか、有名漫画家の子がデビューとか、実際にはあるのかもしれないけれど、私レベルの一般人にはわからないのが漫画の世界!

件の友人(やおい同人作家)の息子が、うちの息子に電話をかけてきた。

「●山(仮名)です。もこみち(仮名)クンいますか」

あ~はいはい、と息子に取り次いだが、……はて、●山とは、彼女の同人ペンネームの苗字ではないか。本名は、●沢。

ペンネームの世襲は、ありなんですか????

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