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2007年3月25日 (日)

「いとしの儚」を観劇~横山智佐さん体当たりの演技~

友人に誘われ、広井王子さんプロデュースの「いとしの儚」を観てきた。

最低の人格を持つ博打うち・鈴次郎が、赤鬼に博打の形として手に入れた絶世の美女「儚(はかな)」。しかしそれは人の死体を寄せ集め、死んだ赤ん坊の魂を入れたもので、100日立つ前に女として抱くと、水となってしまうという。赤ん坊同然のはかなを育て始める鈴次郎。だが、それまで鈴次郎を支えてきたツキの神は離れてゆき…

人が人であるために必要なものは何かを問う伝奇ファンタジー。

この役を熱望したという儚役の横山智佐さんが、文字通り体当たりの演技で魅了。
素裸の赤ん坊状態の儚。
鈴次郎のために野放図育った、体はオトナなのに幼児同然の儚。
ホモの僧らに教育を受け、歌や舞に通じ、大人の女性としての知性と教養を持ち始めた儚。
自分よりも高い精神を持った儚に対して怒り狂う鈴次郎に、一途に夢を説きながら、愛そうとする儚。
鈴次郎に売りとばされ、女郎となりながら必死で身を守り、体は許さず男たちの欲望を満たす術を使って売れっ子花魁になっていく儚…。

どのシーンの「儚」も見事。自我を持ち、鈴次郎を諭すほど人として成長するかと思うと、天真爛漫に銀次郎に甘え、愛を求める姿が、とても魅力的だった。声優さんだから、というのも変なのかもしれないが、大変声がかわいらしく良く通り、ことに生まれたての赤子の鳴き声には体が震えるほどうまいと感じた。

また超売れっ子声優の山口勝平さんも楽しみにしていたが、なんと2時間10分、ずっと舞台にいるなんて。こちらもさすがに巧みだ。いや、他のキャストの皆さんもうまい方ばかりで泣いたり笑ったり、楽しい舞台だった。

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