地図が読めない女たち~娘、闇にとらわれすぎ~
「卒業式のあとは直行で、友達とカラオケに行くの」
最近の小学生はアクティブだ。カラオケなんて、オトナの社交場だという認識の私や祖父母は猛反対。でもまあ、折れた。
お兄ちゃんの小学校卒業はお友達と某ねずみーランドへ。これも「子どもだけでそんなところへ!」と反対したのだけど、結構この辺の子は行っているらしく、帰宅時間を守ることを条件に、卒業ねずみーランド詣でに行かせてやったのだ。最寄り駅にも一人でいけないくらい、引きこもり体質だった息子だが、それなりに楽しかったらしいし、ひとつ成長した感があった。
娘たちも、昨年から「卒業記念に子どもだけでねずみーにいくから」と宣言し、お小遣いを貯めていたのは知っていた。が、部活の関係などから「ねずみーはやめて、カラオケしない?」となったらしい。
娘たちが狙うのは、私と息子が行き、また最近も私と友人が利用した店だ。低料金でフリードリンクなどのサービスと明るい雰囲気がよろしく、先日行ったときも子連れや超若いグループでにぎわっていた。電車に乗ってそこそこ距離はあるが、まああそこなら…という明るさ。しょうがない。帰宅時間厳守の条件で、クーポン券まであげてしまった。
「うち、ねずみーランドだと迷子になりそうで」と娘が言う。
「ねずみーランドって、表の部分は本当に楽しくて光に満ちているけど、裏の部分は闇なのよね」なんか、すごいことを言っている。そんな心配は、そこにバイトか何かで入る時にでも心配すればよいと思うけど。
「ほら、うち、前にも迷子騒ぎ起こしたから…」
娘が言うのは、昨年末のことだ。教室のクリスマスパーティとかで隣町に出かけたのだ。
私は一応、会場と駅とを結ぶ地図を書いてやった。これでも、そこらあたりの地理には詳しく、仕事で地図を書くことも珍しくない私。「これなら迷うはずも無い!」という完璧なものを渡してやった。が、誤算もあった。会場まで、お友達の親が、車で送ってくれたのだ。土地勘も何もないまま、暗い道を歩き始めた娘たち。
途中までは…いや、ほぼゴール寸前まで、隣町の駅に行けたのだ。。
イメージしてほしい。暗い道を抜け、徐々ににぎやかになっていく。交差点に着くと、右手にはにぎやかな通りに、華やかなイルミネーションが印象的な駅前大手デパート。
左手には薄暗くなるばかりの道。
ここでなぜか、彼女らは道を見誤った。見誤りようの無い場所なのに!
彼女たちは左手へ。少し進むと、大きなお寺がある。この街の喧騒がうそのような静寂が現れる。墓地だ。墓地だらけだ。さらに進むと、下り坂があり、そこは工場と住宅しかない。寂しく、暗い道だ。
どちらが自分たちの目指す駅なのか、恐らく小さな蛾でも見極められるであろう。明るいほうへ、明るいほうへと進んでいけば、たいてい駅だ。走光性というものがないのか、あんたらは!
あ~心配。娘が行こうとする店は駅のまん前なのだけど、ちゃんと帰れるだろうか。
その店の反対側は、昼間はひっそりとしているが、夜は別の意味で盛り上がる場所。オトナの私でも歩きたくない。時間厳守!それから、今度こそ駅を見誤るな~~~~!
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