アスペが入社してきたかも?~成績優秀3歳児
この春入社した大卒男子がヤバイ…と、会社がパニックを起こしている。
自分の好きな仕事には必要以上の情熱を持って取り組むが、基本的なことがまったくできない。たとえば電話を取ると何度言っても「ふぁ~い」だ。「ちゃんと社名、部署、名前を言いなさい」といくら言ってもわからない。「だって、社内の電話だって、ディスプレイを見ればわかるっすよw」だ。わかってても、最低限のマナーはあるだろう、と言ってもまったく改善されない。
指導する先輩にはタメ口。親ほどの年の相手には反抗する。指導すると「大丈夫、バッチリ!」と自信満々だが、好きな仕事を取り上げて嫌いな仕事(それが、一番大事な仕事なのだけど)をさせようとするとダダをこねる。ぷっとふくれてすねる。返事さえせず、ドアをバターーン!と閉めて去ることもある。そして音信不通になる。これはもう、辞めるかなあと誰もが思うのだが、本人いたって平気で、やっぱり好きな仕事だけはしようとする。周りは振り回され、呆れ、怒り、驚いているのだが……。
営業の仕事も、通常新入社員には何度か先輩が同行し、大丈夫となったらひとりでさせるのだが、彼はいつまでたっても独り立ちできない。させようがない。何せ、先輩の顧客のところに連れて行っても、名刺交換さえまともにできない。飛び込みに行くにも、まあ最初の1,2回は先輩が先導して飛び込むものだが、彼は何度「さあ、今度は君が先に飛び込んでみて」と勧めても「いいです」と、しり込みする。仕事なので、遠慮されても困るのだ。「これは仕事だよ」とどの先輩も怒るが、するとふてくされる。そのくせ同行されるのを極端にイヤがっており、独り立ちだけはしたがっているのだ。
「何なのこの子」「どうすればわかるのか…」一応、その新卒の彼は大学を大変優秀な成績で卒業。アタマは悪くは無く、それどころか優秀なくらい。なのに幼児でもわかりそうなことが全然できない。それがアスペルガー。
で、私はひと目で「あ、この子、アスペかも」と思った。アスペはアスペを知るのである。この自信満々な態度からこれまで就職試験に落ちまくるくらいしか挫折を知らず、当人は何も気づいてなく、したがって病気でも障害でもなく、もしもこの会社でとことんやられて問題を起こすと、そういう認定を受けることになるのだろうな、と思う。
実のところ、20年位前に私がいた会社でも、こういう人はたくさんいた。いずれも有名大学の出なのに就職には苦労し3流会社に入ってきたのだが、みんな基本的なところが壊れていた。まあ、良くて早々に円満退職、新天地で伸びたりダメだったり。ひどいのは、完全に精神を病んでしまった。そうなる前に、自分が精神的に超未熟であると気づけば良かったのだけど。
先輩方がかわるがわる「子守」をし、もう不平タラタラ。幸い私は今月に限り売れ行きがよく忙しいことと、恐らくヘタレで同じようなオコチャマおばちゃんだから子守をさせられなかったのだろうが、思い切って発言してみた。
「あの人、精神的発達が3歳くらいで止まっています。うちの子に似ています」
一瞬の沈黙のあと、爆笑で受け入れられた。たしかに、「うちの4歳の子の方がまだまし~」と盛り上がっていたところなので感覚的に「3歳児」は合っていると思われたらしい。これまで、自分の不登校児と、自分について「アスペルガーです」と告白していたが、「そんなことで逃げるな」と言われ、そんなものがあるのか、と言われていたのだ。が、こういう人物が現れたことで、ようやくそれが現実的に思われたようだ。
私の仕事先にちょっと行ってもらったこともある。「お疲れ様。ちゃんと、『うちの闇鍋がお世話になってます』って、挨拶できた?」と声をかけたが(いや、それ自体ずいぶんお子様扱いだなと思うのだが)「ばっちりッスよ!ちゃんと『闇鍋さんがお世話になってます』って言いましたよ!」………「さん…?ちょっと、社内の、身内の人間は、たとえどんなに偉い社長だって、『うちの○○がお世話になっております』『○○はただいま席をはずしております』とか、へりくだるものよ。身内に『さん』はつけないで」と言うと「マジっすか~?」と驚く。……ちょっと…昔々、バブル時代によくそういう非常識新入社員がネタにされたけど、21世紀の世の中にもいるの?「ねえ、マジっすか、アニキ~」と、同時期に入った30代男性にふる。アニキ、「…うん、そうだねえ……」と力なく微笑む。
「尊敬語、丁寧語、謙譲語、ここからレクチャー始める?」と向き合うと「いいえ、それはもうバッチリ!」……本当かなあ…今、入社したばっかりのころの方が、いろいろ教わっても恥ずかしくないのに。俺、国語の成績はトップだったんすよー(常識テストは受けたことないっす~)なのが見えているので心配だけど、最初から「一人前の男性」として接して怒る先輩よりも、先祖代々アスペ、今も天才的な永遠の3歳児を育てる私の方がなんだか馬が合うのか、今日は妙になついてきた。
しかし、なんだかんだいいながらも、会社は私にこの子と触れさせるのを警戒しているよう。そりゃあね…大卒3歳児と、すこ~し社会勉強して、40歳代で「電脳コイル」に大喜びしている「ようやく12歳」。こんなあぶなっかしげな遠足をさせられないのもわかるわ……
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コメント
自分もまだまだと思ってる割には部下をすごい批判してるね
あなたの人間性を疑うわ
投稿: | 2013年10月 7日 (月) 02時50分
名無しさんようこそ。
あれから彼は懲戒解雇になりました。もっと厳しく教えてあげればよかったと思ってます。
投稿: 闇鍋奉行 | 2013年10月11日 (金) 09時43分