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2007年6月29日 (金)

アスペ息子のものまね修行~蓄膿症がすごすぎる~

アナゴさんで知られる声優の若本規夫さんと、中の人などいないミッキーマウスの声色を自在に使い分ける我が息子。

先々週、テレビで「天空の城ラピュタ」を放映していた。「もうジブリはいいよ~クソだし」とかいいながら、いざ見始めると「やっぱりこの頃のジブリはすげえな……」と大絶賛。「本当だね。未来少年コナンやカリオストロの要素を盛り込んで、どっかで見た感はあるものの、それだけ練りこまれて魅力的なシーンが続くよねぇ。この頃はほんとに良かった。20年以上昔のアニメとは思えないね」と言うと「え……俺が生まれる前の映画だったの……?」と絶句していた。子供の頃に見せてやったが、当時の新作だと思ったらしい。

そして後半、妙に魅力ある冷徹な悪役・ムスカのモノマネに挑戦し始めた息子。しかし、うまくいかない。私は「鼻をつまんでみたら?」とアドバイスした。鼻をつまめばだれでも簡単に「黒柳徹子でございます」ができる。系統としては似た声質だと思う。

息子は言われるままに鼻をつまみ「人がゴミのようだ」と言った。……この驚きを、どう表現しようか。普通、それなりに鼻声が出るものだと思う。しかし、息子の声は、まったく変わっていなかったのだ。

蓄膿症。

アスペルガーとかなんとかいう障害があるらしく、いささか個性的な息子だが、そういえばアトピーに喘息、花粉症、そしてひどい蓄膿を小さな頃から持っている。ずっとあちこちの病院に通い、よくならなくて本人はすっかり病院不信で、いくら言っても医者にいかないのだが、息子の鼻はたしか幼児の頃腫れでほとんど穴がふさがっていた。そのためいつもぽかんと口を開け、そのため風邪をひきやすく、風邪を引くと喘息発作を起こし、常にアトピー……中学の頃不登校であったが、小学校に通えたのがすごいと褒めてやりたいほどだ。

息子の地声は普通の高校生声だが、少し腹に力を入れればなかなかの二枚目声だ。若本ボイスも軽く出す。しかしこれが、ほぼ完全に鼻の穴がふさがった状態で出せているとは、親の私さえ気づかなかった。というか、いつの間にか治ったんだろう、という認識だったorz

あれから2週間。息子は努力を重ねたのか、鼻をつままないでも「君はラピュタ王の前にいるのだよ」と、硬質な悪役声で語れるようになった。副産物として、「むかつくえなりかずき」の芸風までマスターしていた。鼻をつままずとも鼻声が出せる芸人は多いだろうが、鼻をつまんでも普通の声が出せるっていうのはさりげなくすごいな。それはそれで普通はできない芸のような気がする。

「昔、竹中直人は美声で声の仕事を細々とやっていたが『笑いながら怒る』という芸などでなんとなく注目され、今や押しも押されぬ名優であり、文化人だ」という話をした。あれを彷彿とさせるくらいの変な特技(?)だと言いたかったのだが息子、それに挑戦した。

……軽く、やってのけた。竹中芸では不自然に顔が揺れる癖があったが、息子のそれは完璧に、あどけなさの残るさわやかな少年の笑顔を浮かべながら、聞くに堪えない怒声を叫んだ。いきなり竹中を越えるとは…恐ろしい子(白目)!

でも、ぜんっぜん役に立たない天賦の才能!!

☆  ☆  ☆

声優の中江真司さん死去のニュース。トリビアの泉などで重厚な美声を楽しませてくれていたがもう72歳であられたか。名ナレーターとして、超遅咲きのブレイクという気がするが、まさにこれからというときに……ご冥福をお祈りします……

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