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2007年6月22日 (金)

蟲愛ずる少年

息子がバイトから帰ってこない。

心配して携帯に電話をしたりしたが、まことに夜遅く、帰ってきた。

理由はいろいろあったが、中でちょっとおもしろいことを言っていた。スズメバチらしい虫を、追い出していたというのだ。

息子は、アスペによくあることだが、虫が大好きな子どもだった。一度、ハチにちょっかいをだして痛い目にあっているのを本人も覚えているが、それでも虫を必要以上に嫌ったり、恐れたりすることなく付き合っている。

「先輩、虫ダメらしいんだ。俺と友達で、追い出してた」

おいおい、スズメバチは本気で怖いぞ、と念を押したが「俺は虫の扱いを心得ているから」と涼しい顔。手塚治虫著「ブッダ」の登場人物タータは、動物の心に同化して思うとおりに動かすことができるという特異な能力を持った男であったが、彼は虫には同化できなかった。「あいつら、人と心の作りが違うみたいなんだ」たしかに、生物の進化としては、心を共有できないだろうと思えるくらい虫と人とは違う。脊椎か、外骨格か、体を支えるシステムをこれだけ違う選択をしたのだから仕方がない。

しかし、息子は虫の心に反応し、理解するという。その命をいとおしいという。

「こないだ電車の中で、クモを見たんよ」息子が語る。「こんなところにいても将来はないだろーと思って、手ですくって、居場所を探して駅を歩いていたら、人がぎょっとしてこっちを見る。何度も何度も振り返る。あー、俺、すごい異常なヤツに見られてるんだなーと思った」うん、もしも君が何かやっちゃったら、「クモを手に持って駅を歩いている気味悪い少年だった」などといわれちゃうんだろうね。わかるよ、私もそういう子だったから。

電車の中でお年寄りに席を譲るのと、電車の中で明らかに飢えているクモを、なんとか生きやすい環境に運んでやろうと思うのと、私たちにとっては同じことなのだけど、人から見たら「異常」。そういうことなんだよね。

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