萌えと受けと共感と~オタク心をつかむのは何
夕べ、なぜか息子が私のところに「ドージンワーク」コミックスを持ってきた。
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ドージンワーク 1 (1) 著者:ヒロユキ |
読め、ということらしい。「ああ、これなら読んだ」先日、息子の部屋に放置されている古いPCに用があり、立ち上げに行ったのだが、何せ息子が画像やら動画やらいろいろ溜め込んでいたPC、ものすご~く時間がかかる。で、足元に落ちていたこの本を読んだのだ。PC立ち上げの時間を快適に過ごさせてくれた。「読んだのかよっ!」悪いか。そりゃあ、親に読まれて気まずい気がする内容だが、それを勧めてるのは、誰だ。
「聞いてくれよ、これのアニメを見たんだけどさあ…」息子は、アニメ版に文句があるらしい。最初言っていたのは「エロがどんどんカットされたんだよ!この漫画からエロを抜いたら、何ものこらねえだろ!」……それはいささか失礼だ。私は少ししか読んでいないが、クールに同人誌世界を洞察しながら、きれいに入れるエロ要素がおもしろくさわやか、というくらいで「エロだけ」では決して無い。言うとしたら「この漫画から毒を抜いたら何も残らない」だろう。
とか何とか議論しながら、なんとなくアニメ1話を見せられた。まだ、これだけでどうこう言うのもなんだが、「変に媚びているな」と思った。
たしか後から出てくるキャラクターを、この独特な世界も描ききれないうちに登場させてしまっている。「……で、この子は最初から出さないと視聴率が稼げないくらいの人気なの?」「違うよ!もちろん!人気キャラは美形変態男のジャスティスだよぉ」……だろうなぁ。男から見てもそうなんじゃないかと思う。
読んでない人のために、表紙絵だけで軽く解説すると、後ろのベレー帽ロリと銀髪男は変態同人。前にいる元気そうな女の子はこの二人の変態に触発されて同人世界に足を踏み入れる。変態男の腹話術人形のような少女は、途中から出てきて銀髪に取り入り、いろんな意味で元気女に嫉妬させる役どころだったと思う。…異論があるかもしれないが、ちょっと読んだ限りでは変態男女と元気女の3人が軸で、しばらくはトリオ漫才をやっていれば十分(ある種の人に)受ける内容。他にもあとからでるキャラを絡ませていたようだが、正直要らない…まずはこの3人で、妖しくおかしくHで、でも意外ときちんと同人の世界を描いている原作を沿って、いいんじゃないかと思った。しかし、もっと怖いものが後半にあった。よくはわからないのだが、可愛い声の女の子が二人出てきて、なんかこの二人が同人に挑戦ッとかいうようなのだが、息子が凄い勢いで画像をすっ飛ばした。…その気持ちがわかるような気がした。「で、え、もうエンディング……??」「そうなんだよ、これでエンディングなんだよ……」可愛い二人のおしゃべり画面から、すぐにエンディング。女性キャラが体操服で、ふりふりお尻を振りながら後姿で踊っていた。
「……なんか違う…」「違うだろぉ」「なんか、馬鹿にされてる気がする」「そうなんだよぉー!」このところアキバブームで、「萌え」とか「メイド」とか「スク水」とか…そんな言葉が本当に一般的になってしまったけど、「おまえら、こういうのが好きなんだろ?」というのが見え見えなのは正直、引く。そういうノリを、よりによってこの漫画のアニメで見てしまったか、と思った。何年か前にも、そのまんまアニメ化すれば間違いなしという原作を扱いながら、「深夜だから、女性キャラがいないと」と、あとから登場するはずのヒロインを無理やり出し、2つのエピソードをごちゃまぜにしてブーイングを食らった番組があったが、それと同じように感じた。中途半端なサービス精神はかえってオタクの興味を削ぐ。
「そこまでやるかw」というほどあざといか、そうとは見せず巧みにエロを見せるかのどちらか。
後者の、最近の好例は教育テレビの「電脳コイル」。親子揃って仲よく見られる内容ながら、「え…エロいな」「ママ、鼻血出ちゃったわ」と、読み取る人は読み取るくらいが最高。
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