最近気になること~スリッパを外履きにする人たち~
加賀百万石の前田家の血を引き、旧華族としていろいろな活動をしていた酒井美意子さんが、エッセイでこんなことを書いていたと思う。
幼少時をイギリスで過ごした美意子様は、帰国して日本で玄関にスリッパが出されるのが奇妙に思えたそうだ。あちらでは、スリッパというものは「寝室で使うもの」。無邪気な少女時代は、「ママ、こんなところにスリッパがあるわ!」などと嘲笑してしまったそうだ。
最近駅のエスカレーターで、前の人の足元が気になる。…これは、室内用のものではないのか。
駅というのは、そこそここの辺では「都会」であろうというところの話だ。デパートもあるし、とてもにぎやかな場所だ。無人駅などではない。
布製で、おまけにイボイボまである。足の持ち主は若い女性。服装も、私なら室内着、パジャマとしてとても便利なスウェットスーツのようなもので、家が火事にでもならなければ、私ならこの格好を人目に晒すことはないと思う。まして、ズボンの片方だけひざまでまくれてるなんていう姿、家族にもあまり見られたくない。
そんな格好で、素足で、どう見ても薄汚れた室内履きの、それもイボイボスリッパ。こんな女性が少なからず見られるのだ。
うちに最近入った人たちも、私には不思議だ。前述の3歳児クンは潔癖症らしく、会社の用意したスリッパは絶対に使おうとはしない。……まあ、それはかまわないけれど、マイスリッパで平気で外に出てしまう。うちの会社のフロアでスリッパ必須なのは2箇所。メインのフロアは、下足でお客様もお迎えするし、夏など社内ではサンダルに履き替える私でも、それはあくまでも「外履き」と認識してナースサンダルを使用しているのだが、彼はスリッパでそこに来てしまう。さらに弁当を買いに、とそこらのコンビニに行ってしまう。ついでにもう1人入った人も、平気でスリッパで買物に出る。自分の足が、他人の履いたスリッパで汚れるのはイヤだが、外の汚れを室内に持ち込むのは気にならない。そういうことだろうか。
100円均一ショップに寄ると、まさに駅で、あるいは他で見かける女性たちのはいていた履物が、たしかに「室内用」として売っている。いや、どう見たって、木綿でくるまれたこれは、室内だろう!
ついでに新しい社員さんのどちらかはわからないが、トイレの履物を玄関においてしまう。なんでだ。何でだよ!
平成の世。今は亡き酒井美意子様も予想だにしなかった事態が、日本に起きている。
☆ ☆ ☆
などとすっかり社会派を気取って日記を書いていたら、絶妙なタイミングで娘が話しかけてきた。部活で遠征したときのこと。体育館のトイレに皆で行ったら、トイレ履きがあまりにだらしなく散乱していて絶句したそうだ。「腐児子ちゃん、入らないの~?」と仲間に聞かれ、「……うん、うち、ここでスリッパ揃えているからいいわ……」とひたすら整理整頓したそうだ。
今日も息子は網戸にテープカッターを投げつけてぶっ飛ばすなどの暴行をしたが、もしも誰かが我が家に入ったら、(私はこれでも必死で掃除しているのだが)「ゴミ屋敷」と認定されるだろう。私も娘もこんなところでくつろげてしまうのに、よそのそんなことが気になるなんて。
やっぱり変だわ……
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