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2007年8月10日 (金)

いつしか、「精神科に詳しい人」扱い

「何で、あんな人がいるの?」

会社の3歳児クンについて、朝から社内で話題になっていた。普通の人には理解しがたいらしい。ある人は、前にいた会社で似たような人がいたけど、結局辞めることになった、と話していた。私もつい、口を挟んだ。「私も何人か、同じような人を(自分や子どもも含めて)見てますが、やはりそれなりに有名な大学出身で、新卒で、最終的には家から一歩も出られなくなって会社を辞め、精神病院に行った人がいたけど、今まで見たことがありませんか?結構いるでしょう?」と。

見たことが無い、とその場にいた人たちは言った。……それもある意味凄い…いや、私がある意味凄いのか。私の周辺は、そんな人ばかりだ。家族、親戚に何人いるかわからない。昔だってクラスに1人くらいは必ずいて、なぜか私にとっては当時そういう人しか「認識」できなかった。極端な話、そういう人だけが人間に見えて、他の「普通の人」はぼんやりとした影にしか見えなかった。そうか、その「影」の方がよほど多数で、むしろ私のような人が超がつくくらいに珍しいのか。

さらに社長に声をかけられた。「息子さん、どこの病院?」一応いろいろあるので、息子が精神病院に行っていることは話している。正直、紹介でもなければかかれないような有名どころだ。「3歳児クン、いい病院に行かせたいんだけど…」と、前にここでも書いたほかの地元の病院をあげてどんな感じか聞く。

「そこ、予約さえ取れませんでした」「えっ」「児童精神科と言うことで電話したんですが、予約さえ受けてくれませんでした」「えーっ」

数字には決して出てこないだろうけど、中学のクラスの数人が不登校というご時勢だ。うちの息子も本当にいろいろあって、大騒ぎに駆けつけたおまわりさんも「いやあ、もっと凄い子がいますよw」「うちの子もひどいですよw」と慰めてくれる。全然慰められない私だが、かなり深刻な青少年が多いご時勢なのは、私のピンクの脳細胞でもわかった。第一、息子のことで相談しに当時の中学に行くと、逆に「どこかいい相談するところはありませんか(他のクラスの親から聞かれるんですけど)」と先生に聞かれる始末だ。何かと難しい子が増えているのに、もはや対処さえできないのだろう。

「児童精神科だから受けてくれないのかもしれません。一応成人では大丈夫かも。ただ、いきなり精神科よりも、メンタルクリニックとか、心療内科とかの方が抵抗なく行けると思います」

なんせ、本人はこれだけいろいろやりながらも、いたってプライドは高い。自分が「失敗する」「無能だと思われる」ということが、まったく受け入れられないらしいのだ。恐らく昨日の日記に書いた「謎の失踪」は、内臓にきたのだと思う。同じフロアのトイレでは始末できず、慌てて適当な言い訳をして、どこか知る人の無いトイレにでも逃げたのだろう。そりゃあ、まず心療内科だ。そこからゆっくり問題点を探すことだと思う。

さて、社長はじめうちの社員はこれまで「精神科」などを身近に感じたことが無い人たちだ。「メンタルクリニック?」「心療内科???」と、いろいろ聞かれてしまった。会社のそばをはじめ、あちこちの駅前には最近たくさんできていて、どこも大盛況だ。宣伝しなくても山のように患者さんが押しかけているらしい。私もいろいろ調べたり、自分が通ったりしていたのであそこにここに、と情報を提供した。

幼い子どもを持つ社員が無邪気に私に聞いた。「ああいう風に育てないためにはどうすればいいの?」……ああいう風な子を持つ私に、ずいぶんな質問だ。

それは、私が聞きたいくらい。こういう家系で、自分がこんな風で、弟もこんな風で若くして自殺していて、生まれたのがそういう男の子で、赤ん坊の頃から…いや、生まれる前からどれだけ神経を使ったか知れない。育児書の言うとおり、「正しい方法」を実践し、社会性を育てるために、素直なのびのびとした子にするために……「そんなふうな子にしないように……」と。しかし、どうにもならないのだ。それは先天的なもの、遺伝的なものもあるのだから。

娘を産んで、これまでの自分の努力が無駄なものだと知った。「ああ、普通の人というのは、最初から普通なのだ」「そういう子は、どんなにがんばっても、そういう子なのだ」

一時期本当に絶望し、息子を幼稚園に無理やり送り出したあとは何の気力もなく、幼い娘とひたすらひきこもっていた。つまり娘は幼少時、ほとんど外に出ず人と関わることもなかったのだが、空気を読み、人間関係を上手にはぐくみ、幼稚園に通うようになってからは大変社交的な性格を見せた。普通に考えたら、うちの兄妹の性格は逆のはずである。

「普通にしよう」としても、こういう子は良い結果にはならないのである。

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コメント

今時心療内科など風邪で行くような病院と同じ、と思い込んでました。やはり自分が通った経験があるからでしょうか… 我が家の息子も不登校と同時に心療内科のお世話に。幸いすぐに観ていただけましたが、私の後に予約を入れた方は半年待ちでした。仕方なく子供専門ではない心療内科に通い、あちこち流れ歩いているうちにお子さんの状況は悪くなってしまったようです。子供専門の心療内科は少ないのに、そこを必要としている子供は多いのが現状ですね。
我が家の妹の方(中学生)も場の空気・雰囲気を読むのが上手いです。アスペの息子と比べて「これだけ読めるとはすごい! 天才か?」と思っておりましたが、落ち着いて考えてみるとごく当たり前だったことに気付きました(笑
つい何でも息子基準に考えてしまうので、勉強しなくても出来て当たり前、そのくらい記憶していて当たり前的に考えてしまいます。場の空気も読めなくて普通…と(笑
そういえば私も息子を幼稚園に無理やり送り出してたなぁ。今思えば何でそこまでムキになって幼稚園などやってしまったのかと後悔なのですが。。。

投稿: 葡萄 | 2007年8月11日 (土) 17時35分

葡萄さんようこそ~……って、今日は漢字??
やはり、どこも悩む子はいるのに受け入れる病院は少ないのでしょうか。
それに、本当に「こういう子」って、普通の人から見たら「しつけが悪いのだろう」「ちゃんと育てられてないのだろう」と思えるんですよね……この私でさえ、まだまだ「なんとかなるんじゃないか」と育児書を片手に思い込んでいましたから。娘がこの環境なのに「普通」でよかったと思います。「ああ、これはもって生まれた性格だ、どうしようもないんだ」とすがすがしくあきらめられて。そうでなければ、無理心中とか、そういう方向に向かってたかも……。

投稿: 闇鍋奉行 | 2007年8月11日 (土) 22時53分

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