CCの最中ですが食育について考えた
さんまは今がまさに旬。
丸々太って、ぴかぴか新鮮なものが1尾100円を切る価格で手に入る。いつものように半身を塩焼き、半身を酢の物にして秋の味覚を楽しんでいたところ、娘が「調理実習で、いわしのかばやきを作るはずだったんだけど、旬だからって、さんまになったの」と話題にした。
子どもたちに「旬」を教えるのは良いことだ。安くて、おいしくて、栄養価も高い。冬にスイカを食べるとなるとエネルギーも無駄に使うが、旬のものならそんなこともない。大地の恵み、四季の喜び。これらに感謝しつつ「一番おいしいもの」をいただくようにしたい。しかし
「でもね、時間が無いから魚をおろさないの。おろしてもらったのを、買ったの」
という娘に、私とアスペ息子は「ええええええええ」と叫んだ。「せっかくの調理実習なのに?」「それじゃ意味ないじゃない」
親の私の世代が子供の頃でも、「最近のお母さんたちは魚を調理しない」「目が怖いなどと言って焼き魚などをイヤがる子が増えている」などという話題が、新聞などで見られた。変わり者だった私は「それならば」と魚を捌くことに挑戦し始めた。……と言ったって、見よう見まねである。最初に自分で買ったのがにじますで、おなかに包丁が入らなかった。にじますは、エラから内臓をとるのだと知ったのはあとからだった。アジにも挑戦した。ぜいごをとって、おなかも出せた。三枚おろしにしたが、途中で背骨の反対側に突き抜けたり、どう考えても骨のほうにたっぷり肉がついていて、刺身の予定が「たたき」になったりもした。
いわしなんぞは、子どもにぜひ捌かせたい魚だ。包丁を使わず、手開きができる。自分の指で、魚の構造を理解し、結構簡単に捌ける。私は、バケツ一杯500円などという、いわし=足が速くて丸干しなどしかできない→輸送の進歩で刺身もいけるくらいのものが出始めたが、まだまだ価格は激安 という時代に幸運にも遭遇。試行錯誤をしながら、「自分で捌いた魚は安くてうまい!」という結論に達したのである。
という私は、同世代のママさんの中では少数派。つまり、今の子どもたちの多くは、お母さん、あるいはお父さんが魚を捌いて料理するところを知らず、ヘタをすると「魚キライだから」という親にあたれば、家で魚を食べることさえない子までいそうである。
だからこそ、の調理実習だ。
もはや家庭でできないことこそ、学校で教える機会を与えないだろうか。子どもたちがいろいろな食材、調理に触れる機会になる。得意げにほほほ、私は魚が捌けますのよ、とこんなブログを書く私だが、「生さんまはわたが一番美味!塩焼きが最上!」という人間なので良く考えればさんまの三枚おろし、かばやきなどというものは2,3回しかやってないとおもう。
どの家庭料理にも偏りはある。「こんな世界もある」ということを子どもたちに知らせ、世界を広げるのには、やはり学校の調理実習や給食が大切だと思う。
「でも、2時間で、下ごしらえと、後片付けと、試食もするし。ほかにポテトサラダも作るから……」
娘は言うが、私の子供の頃だって、そのくらいの時間で2、3品作って食べて片付けていた。ていうか、通常そのくらいの時間で調理しないと食事なんてやっていられないだろう。まずジャガイモを剥いてゆで、その間に他の野菜を切るなどする。さんまをおろし、調味料を合わせて焼き始め、じゃがいもをつぶしてポテトサラダを仕上げたら、味噌汁も作っとく。できる主婦なら、そこにおひたしや酢の物、浅漬けなども軽く作ってしまうだろう。
そういう手順を考えることを教えないと、きっと「料理は面倒。買ってくればいいや」になってしまう。
これは、料理だけの問題ではないのではないか。また引き合いに出して申し訳ないが、うちの、優秀な成績で大学を卒業した新人クンは、複数の仕事を効率的にこなすことがまったくできない。ついでに洗い物や料理などもう!完全に別世界のことと思っている。おかげで会社で「ありえない」と言われているが、こういう子どもたちがこれからどんどん出そうで怖い。
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