荒ぶる息子に応戦してみた~息子の金が尽きてきた
バイトを始めた息子には、毎月¥10000~¥15000を貯金して、あとは自分で考えて使うように指導している。このところは¥30000くらいと、祖父から受け取るPCメンテナンス・アドバイザー料¥5000、あとは私が必要なときに与えるお金が毎月の彼の可処分所得となる。
少なく見積もっても¥45000くらいはあるだろう。高校生として、さほど少ない額ではないと思う。
しかし彼はオタクである。それも実に守備範囲が広い。
アニメもゲームもマンガも好きだ、同人誌だって大好きだ、フィギュアもプラモも楽しいな、コスプレもいいな、パソコンも音楽もこだわりたい、好きなキャラは幼女からおばあちゃんまで、いや、かわいければ男でも萌えるぞ~~~~~!
双子もメイドもツンデレもスク水もニーソも……と、何にでも萌えあがる節操のなさなので、もしも欲しいがままにお金を使っていけば、月に何十万あっても満足できないだろう。
だが、満足してもらわなくてはいけない。欲望と現実と向き合い、今あるお金で本当に欲しいものを買い、大切にするというあたりまえのことができるようにならなくてはいけない。去年のように、「無ければ盗ればいい。くれない親が悪いんだから」と言わんばかりに、無理やり親の財布から資金を調達するようなことを、許していてはとんでもない人間になるだろう。
さて、前に書いたが私は「もう弁当は作らない」宣言をした。お金を大切にするためにも、工夫が必要だと毎日こしらえていた弁当だったが、ほとんどが手付かずで隠されたり捨てられ、ファストフードやカップ麺、スナック菓子で腹を膨らませていたのに怒ったのだ。
「お金が無いからとか言って、毎日食費をせがむのもいい加減にして。ちゃんと弁当を食べていれば十分足りる額を持っているんだから。どうしても弁当は要らない、作らない、よそのを食べるというなら、自分で稼いで」と突き放した。
さて、給料日から半月ほどの昨日、「金が尽きた。明日は昼食抜きになる」とか言い出した。友達と出かけるからなどと言ってはちょこちょこと親にせびって、これだ。しかし、ここでハイハイ、とお金を渡してはいけない、と思った。十分な額を浪費して、親にせびればなんとかなる、では前述の困った親戚と同じである。
「じゃあ、ちゃんと早く起きて、自分で食べられるだけの弁当を用意しなさい」
「起きられねぇって言ってんだろ」
「ご飯は用意してあるし、冷凍食品だってある。ちょっと早く起きておにぎり握って電子レンジ使えばそんなに手間もかからないよ」
「だーかーらーっ!俺は起きられないって言ってんだろ?あんた頭悪いな!聞いてンのかよ!俺は学校とバイトで疲れてるんだ!」
私は仕事と内職で疲れているが、それでも痛い体を引きずるようにしてなんとか食べられるものをと用意したのを、生ゴミにされたんだよね。楽をしないと体を壊す…と、冷凍食品をいっぱい買ったけど、それじゃあかわいそうだからと、張り切っておかずをつくったのも、なぜか冷蔵庫の奥で発見された。そんなことをした君が、おにぎり握る手間も惜しむか。人にはさせておいて。
やはり連想するのは、先日解雇された3歳児クンだ。彼は人一倍ヒマなくせに、本当に必要なことを何ひとつやらなかった。あまりにも使えないので、せめて忙しい総務の代わりに雑用を、と申し付けるのだけど「できません。忙しいです」とぴしゃり。やりたくないことは人任せ。自分は特別な人間で、雑用なんかやってられない、ボクにはふさわしい(おもしろい)仕事があるはずだ……とでも夢想している、あるいはそうして生きてきたのだろう。
結局、何一つできない人間になってしまってもまだ、現実をわかっていない。
そんな人間にしたくないから、ここはひけない。
怒った息子は、例のごとく手当たりしだいモノを投げ始めた。そのとき私は調理中で、鍋には轟々と火がかかっていた。鍋に当たれば大変だ。と、火を止めようと伸ばした手にもモノが飛んでくる。
「危ないでしょう!」
「関係ないね!あんたがわけわかんないのが悪いんだ!」
私よりも背の大きな息子は座った目でこちらに来た。私はとっさにそこにあったフライパンにも対応☆32センチ万能鍋蓋を手に取り、これを盾にした。
RPGの初期装備か。
「じゃあ、どうすればいいのかな!ママが作った弁当は食べたくない、お金は無い。あんたはどうすればいいのか考えなさいよ!」
「知らねえよ!」
「だから、考えなさいよ!もう、ママは作らないよ。ママだって、疲れてるんだから。食材だってタダじゃない。これだけ稼ぐのにどれだけがんばらなきゃいけないか。とにかく食材だけは用意してあげてるんだから、あとは自分で何とかしなさいよ!お金は無限に湧いてくるんじゃない!」
小競り合いの結果、なんとか息子は落ち着き、口実をつけておじいちゃんのところに行くと言い出した。おじいちゃんのところに行けば、結構高確率でお小遣いをもらえるからだろう。私は親に甘やかさないでと言っているが、まあ、そういうところに頭を下げに行くのもひとつの能力だろうと思い、認めた。私自身は人に頭を下げたり甘えられなくて、それが欠点だとも思っているから。
最近杖を突き始めたおじいちゃんを見て、自身の甘えに気づくこともあるだろうし。
どうやらお小遣いをもらえなかったらしく、息子は「なあ~明日本当に金ねえよ~飯食えねえ~」とぼやいて帰ってきた。食えなくは無いのよ、自分がきちんとすれば。
あけて今日、テレビでお笑いタレント麒麟の田村を、二人で見ながらご飯を食べた。今をときめく話題の人だが、諸事情があり親に捨てられ、中学生でホームレス、ダンボールにかじりつくほどの飢餓の経験を持つ人だ。ケロロ軍曹のEDテーマも、それを知るといよいよ味わい深いものがある。息子は、一連のエピソードに感動し、「自分の子には、屋根だけは与えたい」という言葉に深く感銘を受けていた。まあ、うちもパパが出て行ってしまって大して違いの無い家庭。まさに「屋根だけは」と私ががんばっているの、わかってるんだろうか。少しでも、テレビの彼に学んでいるんだろうか。
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