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2008年1月24日 (木)

シェフと日本の未来を憂いてみた~生活設計ができない日本~

今日も仕事で多くの人にお会いした。人付き合いが超がつくほど苦手だった私だが、人の数だけドラマがあり、心があるのがわかるにつれ、だんだんおもしろくなってきた。

とあるシェフとお話できた。人気のフランス料理店で、とても人格者であるシェフ。そのお店が、「人手不足」に悩んでいるという。

「さっきも求人情報の営業がきてたけど、何度求人しても、まったく人が来ないんだよ」

えっこんな人気のお店が?と思う。お客も一流人、ときには超有名シェフなんかも食べに来る。ここで修行すれば、どこででも通用するくらい勉強させてもらえるのに。

一方、近くのお店でちょっと求人を出したら100人もの応募があったというところもある。とても個性的なお店なので詳細は避けるが、とても「趣味的なお店」で、楽しそう、である。はきゅ~~ん、私もこうやって遊びながらお給料もらえたらサイコー♪とか思う。

「結局、今の人たちの考え方が違うんですよ。目先のことしか考えていない」シェフは嘆く。この方も同僚が夜中に逃げ出すほどの辛い修行に何度か出て、ここまでになった。お客様には最高の味と接客でもてなすと定評のお店ではあるが、御用聞きで裏側に伺うことの多い私は、そこがどれだけ厳しい世界なのかを知っている。最初は本当にびびったくらいだ。しかしうちの会社もそうだし、どこもきっちりしたところはそうだろう。お客様には笑顔を、若いものには鬼のように。

うちの息子は、親として恥ずかしいところがたくさんあるが、近所の「ラクで、高時給(しかし、なんだかダレている)」ところを「あそこはダメだ」と言い、「時給は安く、服装、髪型、接客態度などにものすごく厳しい」ところを選んだのが、私のひそかな自慢である。「バイトかったりぃー」とよく愚痴っているが、それでもかれこれ半年以上がんばっている。正直、不登校仲間でもう少し割りのいいところに行っている子もいるが、「単純作業で」「マニュアルどおりで」「時給がよい♪」というのに軽々しく飛びつかず、どんなに厳しいことを言われても負けずに応えようとしている。私も、そりゃあいろいろあったけど必死でがんばっている姿を見せてきたが、それが報われた思いだ。

「やっぱり、ラクで時給がいいとか、そういうことばかり考えているんでしょうか?」と私が問うと、シェフはがっくりとうなずいた。「僕ら(世代)なんかは、『おなかいっぱい肉が食べたい』とか、そういうことでがんばってきたんだけどね。ほしいものはそんなにないし、親元にいればいいし、とりあえず時給がいいとか、ラクだとか。怒鳴られるような職場はゴメンだと……」

もうこれは、教育や社会そのものに問題がある、と私も思った。かつての年功序列、学歴社会の弊害が取り除かれた一方で、誰も労働者の一生なんか保証しない社会になってしまった。若いうちは、まあいい。うるさい会社に縛られずフリーターで渡り歩く、パートなんかよりも高い時給で派遣社員。わずらわしい責任もないし人間関係に悩むことも無い。

ある程度の年齢を超えると、多くは先が見えなくなるのに。

もう、「自由」ですませていい問題だろうか、とさえ思う。ここのところ人材派遣業者でいろいろ問題があった。「人材派遣」は、労働者の権利を奪い、都合のよい奴隷化に走りやすいものなので、かつてはかなり規制があった。それが緩和された今では、労働者を都合よく使い、雇用者の責任をあいまいにするばかりか、若者の労働意欲や教育の機会を損なう状態になっているのではないか。

このお店では、たしかに最初は厳しい条件である。昔なら、「修行期間」として、当たり前だった。丁稚奉公、なんて封建主義は私も大嫌いであるが、若いうちは「勉強させていただく」ものであり、最低限の報酬で怒鳴られ、叱られ、下積みをしながら仕事を覚えていく。それはマニュアルなんかで一朝一夕にできるものではないので、「親父にもぶたれたことがないのに」と臍をかみながら、逃げ出すか、それでも先輩の動きを吸収していくかで自分の道を決める。

「これまでもバイトとして入って、でも志のある人はちゃんと正社員になりましたね。うちはこういう業界では珍しいけど、ボーナスも出してるし、東京やフランスの店に紹介してさらに活躍の場を与えている。なんで来ないかなあ……」

ほんと、なんで来ないかなあ……である。「若いうちの苦労は買ってでもしろ」なんて死語か? まずは自分的に最高の条件(=一流)のところで修行して、あわよくば一流の道に、なんて考えられないのか? 「どこででも通用する」人材になって、30代40代以降勝ち組になってやる!なんて夢を見られないのか?

こんな状態では、とても他国に対して競争力はなくなるでしょうね、今の日本の隆盛は、とにかく勤勉だった先人のおかげであって、それにあぐらをかいているあいだにどんどん子どもたちが無能で怠惰になっていく。

そんなことを憂いながら、今日の商談終了。

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コメント

現在就職活動をしている自分にはなんとも耳が痛いお話です…
でも「若いうちの苦労は買ってでもしろ」という言葉は、素晴らしい教訓を秘めていると僕は理解しているつもりです。本当の自信は、キツすぎるくらいの特訓をした末に獲得できるものですし。

RPGでも、冒険の初期にたくさんレベルを上げるのは清々しいです。これと同じかなと、勝手に思っています…

投稿: たいち | 2008年1月26日 (土) 19時04分

たいちさん、ようこそ~!
就職活動中ですか、お若いのですね。若いうちなら多少の失敗を恐れず、また先輩や上司の苦言、お客さまのクレームなどをしっかり糧にして成長してほしいと思います。私もやっぱり、思えばラクな道ばかり選んでいた気がします。この年になって「こんなこともできないの」と笑われ、怒鳴られるのは本当につらいです……一方で、高校生の頃さんざん怒鳴られ、耐えた経験が、ののしられても失敗しても食らいついていける力になった気がします。
RPGに例えるなら…スライムやゴブリン狩りの単調さに文句を言うな、一方「ガーデンそばの森の中の怖い恐竜」や「はぐれオチュー」に挑むことを恐れるな、ですね。
……と一見かっこいいことを書いた後で、「そういやFF8って、シード試験では戦闘不能で寝っころがってて、ライバルキャラにさんざんバトルさせ、ドローさせたりGF育てさせ、あとは学食でのんびりカードゲームしてた主人公の方が、こつこつバトルしてレベル上げしてた主人公よりはるかに強くて高収入だよな」なんて思いだしたりw
まあ、ずーーーーっとゴブリンやスライム相手にしていてもダメ。やっぱり、頭を使い、傷つくことを恐れず、前に進まないと……ですね。

投稿: 闇鍋奉行 | 2008年1月26日 (土) 20時50分

自分は派遣社員でやってますが、やっぱり生涯年収でかなりの差はでるだろうなと思っています。
それでも正社員登用試験を受けようとしていないのは、今の気楽さがいいからでもあり、、
甘えてるなぁとは思いますね。責任ある立場に立ちたくないという気があります。でも後輩が入ってくるとやっぱり教える立場になるわけですし、若いうちに失敗もして経験知を上げていかないと、後で辛くなりますからね。
それにしても闇鍋奉行さんが上司なら、部下に人気ありそうですよね、例えが若いというか面白いです(笑)

投稿: Newtype | 2008年1月28日 (月) 02時19分

Newtypeさん、ようこそ~!
私も派遣で働いていたことがありますが、事務職などは若いうちはいいけれど30、40になると仕事がなくなるとよく聞きます。私は40手前で始めて、そこは比較的年齢が高くなっても仕事はありそうでしたが、自分の生活設計よりも企業の都合が優先されるので、今の仕事にしました。しばらくして病気で入院、手術することになり会社には迷惑をかけてしまいましたが、つくづく「正社員でよかった」と思いました。
責任を負うのが面倒だとか性に合わないとかは、私もそうですが、もしも正社員登用の途があるのなら、今のうちにチャレンジしておいたほうがいいと思います。
派遣のお仕事って、自分が責任を負わないように、企業も社会もあなたの生活に責任を負わないのです。

投稿: 闇鍋奉行 | 2008年1月28日 (月) 18時29分

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