ヤバい世界に足を突っ込みました~FF4レアアイテムの旅~
禁断の世界に入ってしまった。
と、思った。FF4「プリンプリンセス狩り」の世界である。
ゲームの世界にはレアアイテムだのレア召喚獣だの、プレイヤーの心と時間を激しく奪うものが存在する。1パーセントにも満たない確率に踊らされ、人生を削っていくプレイヤーたち。ライトなFFファンの私は「とりあえず、ストーリーが最後まで見られればいいの。レアアイテムとかアイテムコンプリートとか、隠しボスとかにかまっている余裕はないわ」というスタンスで遊んでいる。
「FF4のプリンプリンセス狩り」というのは昔から有名だ。極稀に「ピンクのしっぽ」というレアアイテムを落とし、それが大変強力な防具になるので躍起になるプレイヤーは数知れない。がしかし、そのアイテムのドロップ率が極めて低い上に、プリンプリンセス自体が普通にうろうろしていてもお目にかかることがないというレアモンスター。彼女たちに会うためには、ラストダンジョンの地下5階の小部屋で、「アラーム(3000ギル)」を使用するしかないといっても過言ではないのである。
DS版では、隠しボスがいるので強力な武器防具が欲しいところ。おまけにネミングウェイの旅の途中、プリン族が落とす「虹のプリン」がどーーーーーしても欲しくなる。「それにはプリプリ狩りですよ」と誰もが言う。「ピンクのプリンか……ちょっと、見てみたい気がする……」好奇心が強いのは私の美徳だと思っているが、時に好奇心が身を滅ぼすことがあるのを知らない年でもあるまいに。
で、本当に馬鹿だと思うのだが、また1周目のデータを引っ張り出したのである。まだまだ、取り損ねた素敵なデカントがあったのと、順調に進んでいた2周目で、うっかりヤンのデカントを貰い忘れたのが原因である。ああ、私の22時間。
ラストダンジョンを楽しく歩けるレベル80台のパーティは、かいはつしつや磁力の洞窟に残っていたデカントを回収し、ハミングウェイから「アラーム」を大人買いした。かいはつしつで再会した、デバッグウェイ氏に微妙な気分。あんな致命的なバグが発覚して、「もはやデバッグウェイにあらず!」のせりふがシャレにならなくなっている……
そして出会ったプリンプリンセス。いっしょにおどりましょう!とかいいながら高らかに王女の歌を歌い、こちらを全員バーサクにしてくる。あとは打撃を繰り返してくるが、これがかなり厳しい。生半可なレベルではすぐに全滅するだろう。また、ラストダンジョンで手に入るクリスタルメイル(バーサク無効)がなければ、ラスボスを倒せるうちのメンバーでも為すすべなく嬲り殺されるだろう。
歌は途中でも歌ってくるようだし、このメンバーはタコ殴りでもそこそこ戦える。「ほしのすな」を使う攻略法などもあるようだが、私はクリスタル装備のセシルが回復・補助役(時々カウンター)に徹し、他のメンバーに殴り殺させる方法をとることにした。
だって、アラームが3000円、プリンプリンセス×3を倒して得られるのが1524ギル。
これだけで赤字!慌ててセシルの「たたかう」を「ギルハント」にしたところでも2000ギルちょっと。とても3800ギルの「ほしのすな」なんて使えない。試してみたが、セシルがほしのすなを使う頃にはたいてい1体倒しているのでなんかもったいない。もう、たこ殴りでいいです。
さあ、これからは単純作業である。テレビでも見ながら、時々「全体プロテス」「全体ケアルラ」。多少は経験値も入るし、アラーム使い切ったらリセットしないでそのまま進むことにする。しかし、油断していると怖い。「これが最後のアラーム」というとき、バトル開始後、唯一正気のセシルが集中砲火をくらった。このタイミングでセシルが倒れたら、確実に「ぜんめつ」だ。必死で自分にケアルラ!
結果、96体倒して得られたのはいくつかのエーテルドライとエリクサーのみ。何体倒せば出る、というものではないので運しだいだし、この結果はごく普通。「レインボープリンだけでも欲しかったのだけど……」と思うが、それは神仏か、自分を恨むしかない。
「次こそは、大当たりするんじゃないかしら」
私はまたアラームを買いに行き、いそいそとその小部屋に向かっている。
パチンコにはまって身を滅ぼす人が、こういう人である。
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