セシルは王位簒奪者か~歴史の真実に触れる~
というスレッドをなんとなくのぞいた。(以下ネタバレ注意)
FF4のラストシーンはセシルとローザの結婚、セシルの戴冠を中心に大団円のハッピーエンドである。しかし、セシルは月の民の子でバロン王国の王族の出ではない。王位を受ける資格がないのになぜ次期国王に??という疑問からたてられたらしいネタスレである。
そんなん、ゆうしゃがわるいてきをたおしておひめさまとけっこんしておうさまになりました、めでたしめでたしのファンタジーの王道物語なんだから別にいいじゃないかと笑っていたが、数人が真剣に語っていてなかなかおもしろくおもえてきた。ことに、「王位簒奪などの歴史を隠蔽するために、セシルが月の民の子孫と言う神格化で後世に伝えられた英雄譚が、FF4のストーリー」という説が飛び出したときには感銘を受けた。
たしかにこのエンディングはいろいろ異様だ。ここにはいくつかの国があり、そのほとんどが王制のようである。
主人公はバロン王に拾われた捨て子で、実は月の民とバロン王にゆかりがあるかもしれない女性との子・セシル。彼の親友でバロン竜騎士隊長の息子カイン、バロン貴族の娘ローザの3人の三角関係が物語の軸になる。ほかにダムシアンの王子ギルバート、エブラーナの王子エッジ、ファブールの僧長で後にファブール王になるヤンなどが仲間となり、悪と戦う冒険談であるが、このエンディングで実に4つもの国が新たな王を迎えて再生するのである。
とくに不思議なのはヤンだ。前王は健在で、何の理由もなさそうなのに国が譲られる。そこではたと気づくのだ。このファブールだけでなく、どこも王がいても王妃や他王子、王族などの存在が希薄な国だらけである。王たるもの、まずは後継者を作るのが大事な仕事。そうでなければ他の王族や有力貴族たちが王位を主張するのが普通である。ギルバート、エッジはともかくヤンや、ましてセシルに王位がまわってくるなんていうことは絶対にありえない。
王位簒奪。
たしかにそんな気がしてきた。
それじゃあエッジは問題ないかというと、そうでもない。エッジはエブラーナの第一王子のようだが、化け物になった両親を倒すというシーンを見ると、ここにも王位簒奪の影を見る。前王を残虐非道であったなどと貶めて記すのは、王位簒奪者の常套手段。実はこのシーンに、歴史の真実が隠されているのではないか。
エッジはちせいやすばやさが高いが、せいしんが非常に低い。女好きで、あろうことか盗癖もある。「これは王にふさわしくない」と前王らが廃嫡を考えていたと考えれば、どうだ。親の懐からも何かを盗もうとして「何ももっていない!」にがっくりくるようなモラルの低い(いや、それほどまでに親のすねをかじりまくったのではないか?親は泣いてるぞ!)王子が、実は両親である前王と王妃を殺し、まんまと王位につきながら「先王はもはや人ではなかった」と伝えた……としたら。
軟弱王子・ギルバートも気になる存在である。自国がバロン王国に爆撃され、肉親も国民も死亡、壊滅的な状態になりながら、案じているのは恋人・アンナのことだけである。しかも本人だけはなぜか無傷。「かくれる」最強。ここに、陰謀のにおいがする。
軍事国家バロン王国は、セシルの実兄であり、セシルを王国に捨てたゴルベーザに事実上のっとられていた、と歴史は語る。
だがそれも、すべて仕組まれていたことだとすれば。
ゴルベーザが、実弟セシルと一見対立するようにしながら、実は兄弟でバロン王国を完全にのっとるために画策していたのでは。「クリスタルをゴルベーザに渡すな!」というお話のはずなのに、どう見ても彼らは、クリスタルを守る人々をたくみに欺きながらまんまとゴルベーザにクリスタルを渡そうとしているようにしか見えない。
華やかなセシルの結婚・戴冠式。新王の親友でありながら「裏切り者」としての自分を恥じ、遠くからひっそりと見守るカイン。本来ならばバロンの由緒ある出身で人望も厚く、どこの馬の骨とも知れないセシルよりはまだ、王位を主張してもおかしくないように思えるのに、自ら歴史の表舞台から消えてしまった。だがもしも、これもゴルベーザとセシルの陰謀の結果だとしたら。
この「世界同時多発王位交代」には、いろいろ裏がありそうである。黒幕は誰か?
賢人テラが、何かを知っていて消された気がする。
異常に「ちせい」が高く、超人的な役割でこの物語に深く関わるリディアなる女性も怪しい。
「ファイナルファンタジータクティクス」は、平民の出身ながら武功により、乱れに乱れたイヴァリース国を安定させ、王女オヴェリアの愛も得て結婚、イヴァリースの王になった「英雄王ディリータ」の英雄譚の歴史の真実を暴くという物語だった。ディリータは巧みに世を渡り、すべてを利用しながらその地位に就いた。当時絶対的な権力を持っていた教会も、主人公でディリータの親友だったラムザを、教会の「真実」を知るため「異端者」として記録を封印。結果的にディリータの英雄譚つくりに加担することになった。歴史はいつも捏造され、改竄され、新たな権力者の都合のよいようにつくられていく。
FF4とFFTが表裏の関係にあるように思えてきたら、妙に楽しくなってきた。
ええ、もちろん、プリンプリンセス他レアアイテム狩りのストレスがたまりまくりのための私の妄想ですとも!
☆☆追加☆☆
2/14現在、有志がスレをまとめつつ小説にしてスレ内で発表中。2/18のFF4続編月の帰還までに間に合わせる!とがんばっているようなので静かにご鑑賞を。
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