平貝(たいらぎ)を捌いた~料理とかがくは紙一重~
昨夜のメニューは、スミイカと平貝の御造りと、ほうれん草とスミイカ(ゲソ)とエリンギのソテー、ミネストローネだった。
なんで御造りにミネストローネかと言うと、わが息子が味噌汁を食べない非国民だからだ。ビタミンやミネラルの補給に汁物を作る我が家としては、育ち盛り、アレルギー体質なのにジャンクフードばかり食べる息子に困っている。その前の日までは、おばあちゃんががんばって作った手作り味噌で、あごやカツオブシ、煮干などで結構素朴だけど懐かしい味を再現していたのに、手もつけない。まったくもう~
さて、スミイカはともかく、平貝を捌くのは私も初めてだ。30センチはあろうかという貝に、直径10センチくらいの見事な貝柱。魚屋で見るたび気になっていたのだが、閉店間際でなんと1個300円で買えた。わーい解剖解剖♪ じゃなかった、今日はごちそう~~♪
うちはホッキ貝やホタテなど、活きた貝を格安で手に入れる機会が多いため、最初は普通のデザートナイフで捌いていたのを、思い切って専用の貝剥きナイフを購入。「おお、気持ちよく剥ける♪」と張り切っていたところだ。
しかし、平貝とはなんともデカイ。貝剥きナイフじゃ短くて奥まで届かない。
「違うところから攻めてみようかな」と、貝のちょうつがいのところも襲ってみた。まさに悪戦苦闘。
「お」
平貝は、カラスガイの巨大化したような形をしており、基本的にはホタテのように大きな貝柱を刺身などにして食べる。私はそんな知識だけで挑んだのだが、貝殻のとがったところに、小さな…(いや、もちろんそれだけで小ぶりのホタテ貝柱くらいの大きさなんだけど)貝柱を発見した。
あら~。やっぱりこれも当然、二枚貝。
アサリやハマグリのように、一対の貝柱に水管やあしや、内臓があって……というかたちが、徐々に一方の貝柱を大きく、片方を小さくさせて進化していたのを想像した。
「とすると、ホタテにもどこかに、消えた貝柱の痕跡とか、あるのかしら」
これまでたびたびホタテを剥いてきたが、そういうのがあったようななかったような。ホタテは大きく肥大した一本の貝柱で「泳ぐ」ことさえする二枚貝だ。その進化の過程で犠牲にしてきた貝柱が、あるはずだ。……あ~あったような気がする。ほんの、タコ糸のようなのが。
「じゃあカキなんかどうだったんだろうか」
殻付カキ様は滅多に食卓にのぼってくれないが、剥いたことがないと言うわけではない。ほとんど運動しないカキ様は、内臓がほとんどで、一応ひとつ、貝柱はあるけれど……という認識だ。海で自生している状態のカキ様を見たこともあるが、どーやって岩や橋げたについているのかさえ私はよくわかっていない。けれど、これも二枚貝なのでアサリのような形と共通点があるはずだ。今度チャンスがあったらよく見てみよう。
一方、子供の頃は大好物だったが、今は拝むことさえ難しいアワビ閣下。平べったいけれど巻貝の仲間だというのは、もちろん知っている。子供の頃も、貝殻の小さな渦を見ていたし、その頃からアニメーションのようにサザエのような巻貝がぺったりと広がっていくような進化の様子を想像していた。
で、なんとなく思ってしまった。
二枚貝と巻貝って、同じ「貝」でいいわけ?
両方ともおいしいけれど、体の構造がずいぶん違うんじゃないか。でんでんむしとサザエとアワビが同じ仲間なのはわかるけど、ホタテとは違いすぎる。殻を持つ軟体動物ってだけで、全然違うってくらいの生き物のように思えてきた。
私は息子と同じく、今で言えば「アスペルガー」に分類されそうな子で、幼稚園の頃から百科事典を飽きることなく眺め、雑誌だって大人向けの漢字だらけの文章を読み、「ものしり」「かしこい」と言われる博識幼女だったのだが、それが本当に知能が高いのではなく、発達に著しく偏りがあるだけだったのだ、と気づいたのが大人になってから。
生き物の解剖図を楽しく覚えて、得意げに二枚貝はね、巻貝はね、と親に話していても、全然その意味なんか考えていなかったのに気づいたのが、40すぎのまさに今だ。
日ごろ息子を「3歳児」と言っているが、私、「年長さん」から「小学2年生」くらいになれただろうか。
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知り合いの理数の先生が、最近注目されるようになったらしい。ずっとこの先生をかげながら応援していただけに、すごくうれしい。また、そのことをいち早く私に教えてくれたのも。
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