ニコニコはどこに行くのか~才能とコミュニケーションの集うところ~
このところ、ニコニコ関連のニュースが多い。
「あさっての方向に行く」とか、「ここからまた大ヒット曲の予感」とか。
たしかに、「ニコニコ動画」は本当に熱い。大小さまざまな才能、玉石混交の新しい表現、コメントという形での表現……著作権問題などいろいろな問題を孕んでいるので、切り捨てるのか、利用するのか、とプロ側も考えどころだろう。
映画や番組そのまま流すのはいかがなものか。完全な著作権侵害だ。DVDなどの売り上げ、放送時のCM効果に響けば制作側はやっていられないだろう。
しかし、その場でわいわいとどこのだれとも知らない者たちがコメントするのは、ユーザーとして楽しい。私はDVDまで持っていてとっくに見飽きた!細部まで覚えてるぜ!というアニメ映画でさえ、ここで見た。皆で一緒にわいわいと騒ぎ、笑い、驚き、怖がり、「すげえええ」と言う初心者に「こんな低画質でそれかよwここはDVDで見てよ」と思わずコメント宣伝するひととき。
プロ並みとまでは言わないけど、いやこの作者、鬼太郎のアニメ1~5期から漫画、墓場、ウエンツ版まで盛り込んで、本当に好きなんだよな、などとマニア心をくすぐらせる作品もある。
これまで全然興味が無い、…ていうか、イラネとさえ思っていた某テニス漫画のミュージカル版も、ここでおもしろさに目覚めた。
体を張って表現する人たちも数多い。息子が、裸でウマウマダンスしたいというのを、今必死で止めているところだ。
一方、こんな可能性もある。
先月末から話題の動画だ。大学の卒業制作作品で、音楽、歌、作画すべてを1人でやったといわれる。新海誠の再来か、というような才能に、「プロになれ」「事務はもったいない」などとコメントが書かれる。
ここからプロに、というのはどうなのかわからない。が、ここを登竜門にして、いくらも歌手や声優、漫画家などがいくらも出てきそうだ。しかしここでぱっと花を咲かせて、ぱっと散る才能もあるかもしれない。「これで全部出し尽くしました」なんていうこともあるかもしれない。とにかく、ここでは有名無名関係なく、気になる画像や表現が並び、おもしろさが試される。プロの誰もが見逃した才能も、素人の目に触れて再評価されることもある。ひとつの可能性ではあるが、「ひとつ」は、ゼロよりもはるかに大きい。
この動画をどう評価するかなんて私にはわからないけれど、最後のほうで、無数の「さかな」が泳ぎ始める。これは、動画を見た人たちが、そのクオリティに敬意を表し、文字で「さかな」を泳がせているのだ。最高のリアクションではないか。ここで本気で涙が出た。
こういうことのできる場を、守らなくてはいけないんじゃないか。
追記:このニコニコ動画は現在削除されており、こちらで見ることができます。
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