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2008年3月16日 (日)

「若い世代」を語ってみた~モンハンどんどん怖いイメージに~

今日の朝日新聞声欄「若い世代」に、先日書いた猫いじめゲームの話題が盛り込まれていた。(以下緑字は引用)息子と同世代のその人は「小学生が猫を切り刻み、それを大人が作っていることや」などと、昨今の世相を憂い、愛猫とのふれあいを語り「両親は一貫した教育方針で私たち姉弟にゲーム機を買い与えなかった。このことに改めて感謝している。猫などの弱い命を粗末に扱う人たちから、わが家のミッチーをしっかりと守っていこうと思う」としめている。

おーーーい息子~~!この間の投書、やっぱり真に受けられてるぞ~~!

ゲームをさせないのは素晴らしい教育方針で、私も実は昔そうだった。世の中すべてがゲームをやっていたとしても、わが道を行くことは大切だ。「小さくて可愛くて、心地よいぬくもりがあって、なんともいとおしい存在」を守ろうと思い、命を粗末に扱うすべての人に憤りを覚えるのも当然。

しかし、やっぱり私でさえこの投書を読んで「一体どんな恐ろしいゲームが子どもたちに流行っているのかしら」と震えてしまう。ゲームなんか知らない世の純朴な朝日新聞読者は、「やはりゲームを子どもにやらせてはいけない」「利潤追求のために動物虐待ゲームを売る企業を糾弾せよ」くらい言い出しそうである。

ゲーム名は書いていないけれど、私も、ゲームに詳しい息子も「モンスターハンター」のことだと推察している。発売元は、ゲーム大手のカプコンだ。「またカプコンか」と、つい私は漏らす。カプコンは、数々のヒット作を世に送り出しているメーカーだが、ストリートファイターシリーズ、バイオハザードシリーズなど、ヒット作の影に「暴力的」「残酷」などの批判も生んでいる。

だけど、多くの人を魅了するソフトを出しているのは間違いない。このモンスターハンターなんか、これまでの「問題作」に比べてもそんなに問題なさそうに見えるんだけど。私は最近の、新作バイオハザードは黒人殺しゲーム、という話題について、ムービーを見た限りでは非常に不快感を覚え、息子と激しい討論になったばかりだ。しかしモンハン自体はとってもコミカルで、動物虐待なんていう恐ろしげなイメージとは程遠い。

そこでモンハンプレイヤーである息子に聞いてみた。「あんた、黙ってていいの?こういうところから、あれこれ禁止されたりすることが多いんだよ?」と。

息子は改めて、前の投書と、今日の若い世代の投書を読み「……これって、原稿用紙とかに書かなきゃダメなの…?」と言い出した。やはり、思うところはあるらしい。あるのだが

「猫を殺すゲームか?と言われれば、そうとも言えるし、そうでないとも言える」

「猫嫌いの人が、このゲームで好んで猫を虐待しないかといわれれば、オレは否定も肯定もできない」

「そういう素因を持つ人が、幸いこのゲームで満足して、実際に虐待しなくなるかもしれないし、逆にこれで刺激されて実際に猫を虐待するようになるかもしれない。俺は、それをどうということもできない」

なんか歯切れが悪い。要は非常に自由度の高いゲームであって、行動はプレイヤーに任される、ということだろう。まあ、とりあえず、本来猫いじめ、動物虐待が目的のゲームではない、というだけでもメーカーやソフトは救われるよ。

「俺は、もともと猫好きだったけど、このゲームで、ますます猫が好きになった」

恐らく、そういうプレイヤーが多いと思う。シーンによってはこんにゃろー!と攻撃することもあるかもしれないが、「切り刻む」というような生々しいことはないだろう。

「俺は、子どもの虚構と現実の区別をつける力を持たせるのは親のやることだと思う。そういう区別がつかない人間が、こういうゲームをやってどうなるかなんて、俺には責任持てない」

うん、それも20年くらい前から言われていることだ。テレビゲームができるはるかにずっと前から、子どもっていうのはかなり残酷な御伽話なんかで育ってきたわけで、フィクションを楽しみながら、ちゃんと得るものは得て、大人になっていたもの。その後、テレビや漫画、アニメ、ゲームと、刺激の強い表現がたくさん出てきたが、育児教育をよほどテレビなどに任せっぱなしでない限り、子どもはちゃんとするものだと信じたい。

息子は言う。

「俺は、どうしても客観的に見てしまうんだ…。世の中にはいろんなヤツがいるから、これで何かするやつが出ないとは、どうしても言えない」

そうか。それもそうだな。

まあ、私も未プレイだし、カプコンやモンハンに何っの義理も無い。声を上げるかどうかは当のプレイヤーしかいないんだから、あとは当人たちに任せるしかほかはない。ネットの、仲間うちであれこれ言ってても、そんなの見ない人たちに声が届かないと、なんにもならないからね。

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