営業職は、趣味の広さが強みです~コミュニケーション障害が輝くとき!
仕事上、いろいろな人に会い、いろいろな話をする。
子供の頃はほとんど会話をすることなく、本やテレビ、想像の世界だけを友にして育ち、現実にいる近所の人や、クラスメイトは顔を覚えることさえ困難だった私、営業だなんて、考えたことさえなかった。しかし、最近意外と楽しくなってきた。
今日はフレンチのシェフと商談。この方は本当に偉大な方で、厳しく、やさしく私を育ててくださる。最初は怖くて落ち込んだものだが、このところ雑談を楽しんでくださるようで、私もお話しやすい。
シェフの意外な趣味がヘラブナ釣りだとは前に伺っていたが「今、釣り仲間から電話が来たんですよ。桜が咲く頃にシーズンが始まるんです」と語らってくれた。私は釣りはほとんどしたことがない……釣り糸を垂れたことは何度かあるけれど、まったく釣果は得られないでこの年になったが、子供の頃読んだ「釣りキチ三平」や、アクア系の本で、そのおもしろさはわかる。「ヘラブナは、酔っ払って釣り糸を垂れるだけじゃ絶対にひっかかってくれないんです」「賢いそうですねヘラブナは。そこが、日本の伝統的なスポーツフィッシングと言われるゆえんですね」「もう何度もひっかかったやつと勝負するのがねぇ…」シェフの釣り談義は止まらない。それを私も、本気で楽しんでしまう。そのへんが、意外といいらしい。楽しく商談終了。
その店の近所の薬局の若旦那は、私のアクア仲間だ。店に熱帯魚の水草水槽があり、たちあげの頃に飛び込んで「水槽立ち上げですか」と声をかけ、魚が入ってからもあれこれ談義をしている。高校時代からのアクアリストである若旦那とは、話が本当に合う。その頃って私が「アクアライフ」を読みながらお魚を飼う夢を膨らませていた頃。お魚の知能指数についてもよく語った。
私たちが「お馬鹿」と決めて盛り上がったのは、やはりめだか関係だ。とにかく殖える!うざいくらい殖える! 彼もかつてプラティやグッピーを飼ってみたが、あまりに殖えるのでほいほい大型肉食魚水槽に投げ込んだと語った。あーかわいそう、とは言いつつも、つい笑ってしまった。日本のめだかもそうだが、熱帯めだかも本当にお馬鹿で、目の前の動くものなら、自分が生んだばかりの子でもばくばく食べる。生んでは食い、負けずに生む。生むために食う。そして、他の生き物に食われる。こいつは、食われるために生まれてきたのか、さすが、食物連鎖の下のほう!と絶賛するしかない。こういう生き物がいてこその生態系だ。私は結構、こんなめだか類のお馬鹿なところを愛している。
賢い魚、というとうちの水槽ではフグ類だろう。あれは、魚類でもちょっとどこか違う気がする。動きや反応が本当に他の魚と違うのだ。うちはナマズやドジョウ、カラシンなどいろいろ入れていてそれぞれに個性的だが、フグの個性にはかなわない。あれは、人との関わりをものすごく意識しているようなのだ。
植物の「蘭」が、動物的だといわれるように、フグは魚類と言うよりはどこか哺乳類的だ。なつくし、すねるし、飼い主とのコミュニケーションやかけひきを楽しんでいるようだ。猫に似ている。媚びてメロメロにさせるようでいて、決して飼い主に忠誠なんか誓っておらず、むしろ飼い主に奉仕させるような。寝姿なんか、猫そのもの。きゅっと丸まっている姿を幸運にも見かけると「あ~ここに小さな土鍋でも入れて、そこで寝たら『ふぐ鍋』で大人気ブログ間違いなしだわ!」などと馬鹿なことを考える。
と、超愛犬・愛猫家の女性クライアントに語ってみた。この方とも結構長いお付き合い。最初飛び込んだときはけんもほろろに追い払われた。見た目も少し怖いのだが、私はどこかで「この人とはうまくいくんじゃないか」と感じた。負けずに顔を出し、雑談をしていたらお仕事をもらえた。なぜか、ライバル会社にも「こんなすごい人材がいるのよ」と紹介してもらえたw。無駄に知識(だけ)があるのが、興味を引かれたようだ。すでに犬、猫をたくさん飼い、これ以上ほかの生き物になんか手を出せないわ、ダンナが怒るし、という彼女だが「あなたが言うと、フグ飼いたくなってくるわ~~!」と目を輝かせてくれる。その前に、新しい契約くださいよぉ…という気もあるけれど、あの当時のけんもほろろを思い出すとどうでもよくなってしまう。人間、どんなことでも評価されるとうれしいものだ。
学歴も資格も無いが、無駄な知識はけっこうあるオタクな私。塾の先生、文学青年、歴史趣味の人、生き物好き…などには妙に愛されることに気づいた。昔ツアーの企画などをやっていた人にはひょんなことから「タダモノじゃないねw」とお褒めいただいた。それで契約ゲット!
ああ、今まで生きてきて良かったなあ。恥の多い人生だけど、どこかで私を面白がってくれる人はいるんだなあ。
……今のお仕事が、長く続けられますように……(子どもにさえ『ママの会社潰れそうだね』と言われるけど)
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