ミドリフグに川海老を与えてみた
地獄の水槽からわが家に来たフグはとってもご機嫌。水質も安定していて、いい感じである。赤虫を元気についばむ姿は本当に可愛い。しかし一方で、「赤虫だけでは栄養が偏るというし」と、そろそろ違うえさを与えたくなる。
わが家の近くには安い鮮魚店があり、運がよければ激安で活き貝などが手に入る。それを捌いて刺身などでいただくのだが、貝殻に残った肉の切れ端、ひもの切れ端などでもきっとフグにはいいご馳走になるだろう。
そして店に赴くと、貝類はそこそこだが、新鮮そうな川海老100グラム398円が半額になっていた。
半額で、グラム199円か。肉・魚類は基本グラム100円以内のわが家にとっては目玉が飛び出る高級食材である。が、熱帯魚たちのえさはもっと高額なのが普通だ。今使っている「テトラミンスーパー」は、安売り店で買っても100グラム当たり1100円を越す。赤虫は安価であるが、肉食魚の生餌は値段よりも命というプライスレスなものを扱う。
たとえフグが気に入らなくても、我々人間がかき揚などでおいしくいただける川海老が、このお値段ならよいではないか。
小さな海老をつまんで、水槽に突っ込んでみた。飼いはじめて4日、ミドリフグは私の顔と、海老を交互に見ながら、そろそろと寄って来た。
「私のこと、エサをくれる人くらいにしか思ってないんだろうなあ」なんていうレベルではない、と私は思っている。
「私なんて、エサの一部だと思ってるんだろうなあ」で、正解。
私は今日、海老を指でつまんで水面に突っ込んだ。…フグには、いつものようにピンセットがないのが不思議なようだった。私の顔と、指を見て、ゆっくり観察。たぶん、ピンセットは私の体の一部だと思ってるのだと思う。エサよりも、ピンセットを齧ってることもあるし、あのきらきら輝くものの先に、おいしいものがくっついてくる、という認識だろう。
じっくり、じっくり川海老と私を観察しながら、慎重に、海老の頭の付け根にかぶりついた。ふーん、足とか触覚とかからじゃないんだ……いきなり肉。殻や頭も食べさせたいんで、しばらくそのままじっとする。
危険がないとわかると、すごい勢いでついばみ始めた。ウマーーーーー!という声が聞こえてきそうである。
ある程度、肉がなくなったところで海老を放し、しばらく観察。おっとついでにカメラを……ブログ用にも、もう待ちうけとか、会社のパソコンの壁紙にも、この子を使いたくてたまらないのだ。親ばか全開と笑わば笑え。育児を終了した人は、ペットで親ばかするものなのだ。
しかし。カメラを出すとよよよよ~っと隠れてしまう。引っ込めると、出てきて海老をついばむ。再びカメラを出すと……ああ、カメラ嫌いなのね……orz
小さな海老だと思ったけど、完食するには厳しそう。ちょっとお肉を食べただけでもおなかがふくれてきたし、しばらく尻尾を齧ったりしているのを見ていたが、ころあいを見て引き上げた。ついでに、ころがっていた大きな糞をスポイトで吸出し、念のため亜硝酸チェック。もう、朝泣くのはいやだから。
☆ ☆ ☆
「このフグ、こういう理由でつい買っちゃったんだ」と、休日に話した。瀕死のフグたちの中で、ひとり勝ち誇ったように笑っていた男……いや、性別わからないけど、そういう少年漫画的ストーリーを子どもたちに語ったのである。
「だから、蟲毒の『こど』って名前にしようかと」と、私。
「やだー! だったら『ドク』がいいなあ」と娘。て、なんかそれ毒々しいし。
「おいおいフグの名前は『グフ』と相場が決まってるんだぜ?」と無駄にいい声で息子。
……これまでまったく無関心で、世話のひとつもしなさそうなのに、なんで命名権だけ主張しやがりますか、お子様方。
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