へうげものを息子に見せてみた~私の可愛い玩具~
ついに、「へうげもの」大人買いの愚挙に走ってしまった。戦国時代の物語、おおまかなストーリーなど分かりきっているというのに、「つ、次の巻はどうなるのっ」の連続で、そわそわしてしまうのだ。そして分かりきっているはずの展開が「うぐぅ」という予想の斜め上につながってしまう。そして、キャラクターそれぞれの動向が気になって仕方がない。そして、いとおしい。
歴史モノ大嫌いの息子にも、ちらちらと見せ始めた。漫画数奇者の母者が何を浮かれてあのように読みふけっているのだろう、と息子も気になっていた様子。なんだかんだで、母オススメのミツルギ様の虜であるし。
「それ何?」「ああ、前から読みたかったんだけどさー」
カバーをはずして、表紙をちらりと見せる。
「あ、へうげもの…」
ひょうげ、ではなく素直にへうげと読んだ。息子も、本屋などでその怪しげな表紙が気になっていたようだ。
「いやもう、本当にすごいわ、この数奇へのこだわり。BGMにロックが流れていてもおかしくないようなモダン。今そこにあるような息遣いもたまらないよ。それになんと言っても表情の豊かなこと」
と、古田などのこれはと思う表情を見せてやった。息子、「この表情はいいわ」と感心した。
他のキャラクターも味わいがあるが、ことに古田の顔はいい。駆け出しの頃の、素直な驚愕の表情。信長が愛でたこの顔に、まずはほれなくては。
欲しい、羨ましい、と天を仰ぐ顔もいい。唇をかみしめ、目を細め、ヒゲを蓄えているというのに子どものままのようなこの顔。
数奇を極めるためには出世をしなくては、と官位を得、大名に名を連ねることになった古田。狡猾な顔にも磨きがかかり、一方でよいものを見たときの恍惚の表情がまたなんとも。
そんないろいろな顔を息子に見せてやったら、こちらもおもしろくなった。
息子、いちいちその表情を真似するのだ。
目をむき、細め、口を尖らせたり大きく開いたり。おもしろいので高山の顔を見せたら、あのラブリーな口をまねていた。ほれほれ、この長益を見よ。おお、なんとなくせくしいな眉と口元をまねるではないか。
「あんた、俺に何をさせたいんだよ!」
いや、別にあんたが勝手にやってるんだし。この勢いでのだめカンタービレでも見せれば玉木宏くらいにはなるかもしれん、なんていうようなことは微塵も考えてない。
| 固定リンク
コメント