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2008年4月 9日 (水)

息子を叱ってみた~入社試験で焼き魚定食~

息子のテーブルマナーは本当にひどいものである。

これでも箸の用い方、食べるスピードなどきちんと指導したつもりだが、死んでも守ろうとはしないで16年。私がノイローゼになって16年でもある。

今日も「いただきます」のあとは、好きなものだけ「ばっかり食い」。そしてPSPで遊び始めてしまう。テレビや新聞のながら食事でもいかがなものかなのに、ゲームは、絶対にないと思う。いつものように注意し、いつものように無視された。これで改めるくらいなら、有名大学病院精神科にまで相談することもないのである。しかし今日は、ちょっと変わっていた。

「週刊誌に、変わった就職試験の記事が出ててさ」

これまで、デート、見合い、会社などでの食事で人柄が見られるからきちんとしなさいと言われて十余年の息子。だが「……で?」と、聞いてきたのである。

「入社試験で焼き魚定食を食べさせる会社があるんだって」「へー」

意外とおもしろがって聞いてくる。他にも、技術系で「電球のデッサンをさせる」とか、「カラオケをやらせる」とか、「受検者同士でゲームをやらせる」など。器用さ、観察力、忍耐力、コミュニケーション能力、問題解決能力、またピンチのときの反応などで本当の能力を引き出し、必要な人材を見極めるのだそうだ。世はまさに、「11人いる!」状態。

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「焼き魚は、わざとちょっと生焼けにしてあるそうだ。魚嫌いでも、あきらめずに食べるかとかと見るらしい」「へー」

たしかに焼き魚定食はものすごく人柄が見えてきそうだ。箸が使えるか、骨をきちんと処理できるか、残さずきちんと食べる、残った骨をキレイにまとめてご馳走様が言える、という人物には好感が持てる。

「そういえば、前に聞いた話だけど」「何」

「結婚を前に、彼女の家に招かれた男が、ふるまわれた刺身を見てこう言ったんだって。『これは刺身じゃないですね。ただの魚の切れ端です。ボクは魚にうるさいんですよ』」
「ちょwww」

私もその話を聞いて呆れ、笑った。何、そのリアル山岡士郎。結局破談になったそうだが、たしかに私もそういう人と親戚になりたくない。黙ってその宴を楽しんだ上で、後で自分がさりげなく真の刺身をご馳走すればよい話だ。

「焼き魚定食試験の最中に『この焼き魚は出来損ないだね、食べられないよ』とかw」
「『女将を呼べ!』とか『この焼き魚を作ったのは誰かあ!』とか」
「しかし、『う、うまい、こりゃうまいです』と気づかずむしゃむしゃ骨ごと食べるのもどうよw」

いきなり厨房に押し入り「見ててください。本当にうまい焼き魚定食をご覧に入れますよ」という学生がいたらどういう評価になるんだろうか。

「俺、山岡が会社にいられるとかが不思議だ」

その前に、あんたが社会人になれるかの方が心配だ。

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