人は貌に惹かれて動く~息子の貌~
昨夜の続き。
息子がいちいち「へうげもの」に描かれるおもしろい表情をまねするのがおもしろくてほれほれと見せていながら思った。
数奇者ながら、まだまだ若くて地位も低い古田に、何かとモノを見せたりじらしたりする信長。目を剥いて驚き、独特の表現をする古田を、読者ばかりでなく信長も愛していたようだ。
思えば、私も幼かった息子の表情を変えるのだけを楽しみに育てていた気がする。
息子は生まれたときから変わり者だった。もともとの顔が、いわゆる「泣き顔」ということもあり、いつも悲しそうな顔で、砂やアリを見つめているようなイメージだった。
育児に自信が持てず、この子は自閉症なのではないかと悩みながらもそうという確信に至るほどでもない、微妙なラインの息子にイラついた日々。
しかし、息子が「表情を変える」ことにはなんともいえない嬉しさを感じたのである。
息子を笑わせたい、驚かせたい。
何をやってもどこに行っても、私は少しおもしろいものを見つけると「息子~!見てご覧!」と見せた。それに興味を持ち、小さな目を見開いて見入るだけでもうれしさを感じた。もっともっと息子が喜ぶ姿が見たい!と動物園や水族館、公園などに連れ出したし、本でもテレビでもおもしろそうなものはじゃんじゃん見せるようになった。サル山から離れなくなるような子ではあったが、とにかく息子が刺激を受け、興味を持ち、驚いたり笑ったりするのが、自分の喜びであった。
今でも「これおもしろいよ」などと本や画像などを見せるのはそのせいか。しかし、あれほど表情が乏しかった息子だが、今「へうげもの」の顔真似ができるくらい、顔の筋肉をフルに使い、普通以上に豊かな表現ができるようになっているのにも気づいた。
最近の息子と来たら、ちょっとしたものでも「すげー!」と面白い顔で喜ぶ。それが可愛げあるので、なんとなく人に好かれ、可愛がられているようだ。
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コメント
こんばんは。
こちらで「へうげもの」を知り、早速買って置いておいたところ…
やっぱり息子がハマりました。
他に欲しい本がたくさんあったので、一巻だけ買ったのですが、
『なんで一冊だけなのさぁ… 続きが読みてぇ!』
だそうです(笑
本屋でちょっと気になる一冊だったそうで大変喜んでおりました。
ついでに嫌いな歴史にも目覚めてくれないかなぁ。
というのは方向違いの親の欲ですね(笑
私も大変楽しく読ませてもらいました。
絵も好きです(^.^)
投稿: 葡萄 | 2008年4月12日 (土) 23時28分
葡萄さん、ようこそ~!
「へうげもの」、私も表紙で気になりネットの評判で気になり…で、ようやく今おおはまりです。年号なんか書いてないし、大胆な物語にしているけれど、歴史に興味を持つには最適ですよね(笑)。
意外と中毒性があるので要注意かもですが、親子ではまれば怖くない!
投稿: 闇鍋奉行 | 2008年4月13日 (日) 00時29分
突然すみません
へうげもの担当者です
ご愛読ありがとうございます
顔マネしていただけるとは、作者もさぞ喜ぶことでしょう
ご子息にくれぐれもよろしくお伝えください
投稿: 藤沢学 | 2008年4月13日 (日) 03時14分
藤沢学さん、ようこそ~!
って、ええっ!ご担当の方にお越しいただけるとは……(平身低頭)。
息子は反射的に真似してしまったようですが、私も電車などで読んだとき、同じような顔をしていないか心配になってきました。……少なくとも、にやにや顔をほころばせてしまっていたのではないかと恐ろしくなります。でも、電車どころかエスカレーターなどでもつい読みふけるほど、おもしろかったです。山田先生ともども、ますますのご活躍に期待しております。
投稿: 闇鍋奉行 | 2008年4月13日 (日) 17時56分