娘と毒物について話してみた
「うち、農薬入りペットボトル飲んだかもー」
友達の家から帰るなり、娘が言った。遠くのスーパーで買ったペットボトル飲料が、なんとなくかちっと音がしないくらいふたが緩く、なんだか気持ちが悪いという。
「味は?」
「初めて飲んだやつだからわからない」
最近話題の農薬は、口にすればすぐ異常がわかるもののようなので大丈夫だとは思うが、「農薬の中には、飲んだ直後はなんともないのに、あとになって確実に死ぬ、というようなのもあるらしいよ。本当にふたがおかしかったの?」と話したら、娘は不安になったらしい。捨てたボトルを探そうか、とか、今近くのスーパーで同じものを買ってきて、比べてみようかという。ちょうど夕方の買い物の時間になったので、一緒にスーパーに行き、同じものを買ってあけてみた。
「あ、……こんな感じだった」あーそれはよかったね。
その買い物に行く途中、娘が、サイトめぐりをしているときの話をしはじめた。「その人は自殺未遂したことがあってね」……やっぱり、そういうところに行ってたか。娘は前に、リストカットが目立って学校からも注意するよう言われたのだ。
「親とけんかして、かっとなって薬を飲んだんだって。で、気持ち悪くなって、親に見つかって……救急に連絡したら、たくさん水を飲むように言われて、胃洗浄したらしい」
ものによっては水を飲まないほうがよい異物もあるけれどね。娘は自分が毒を飲んだかもという不安で、水を飲んだほうがよいかと思っているようだった。そしてさらに言う。
「胃洗浄って、おもしろそう」
はあ? おもしろいものではないと思うけど。
「やれば、二度とやりたくないと思うんじゃないかしら」
年頃の娘って、ヘンなものにあこがれるもんだ。悪いが、自殺や自傷などの「乙女の夢」はひとつひとつ、現実的に覚めさせてしまわなくては。
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