息子よ、それは違う!
息子の学校から三社面談のお知らせが来た。
いや、事実上の「保護者呼び出し」というやつだ。
これまでもいろいろ案じてきたが、息子の言動が目に余ってきた、ということだ。
先生方の要求は「成績は大変良い。進路についていろいろ真剣に考えたほうがいい」と「授業、テストなどでの態度が目に余る。とりあえず大人しくしてて」だ。私も激しく同意した。
一応整理するが、息子が通うのはとりあえず高校卒業資格がとれる!職業訓練もできる!というところで、中学のとき不登校であったとか、授業についていけないとか、その職業が好きとか、いろいろな子がお世話になっている。そうなると学力は千差万別で、息子をはじめ数人がものすごくできる子たちだが、一方まったくそうでない子もいる、という状態だ。先生方も大変だと思う。
で、息子はゆるい授業、納得いかない仕事をする一部の先生に反発、授業がわからないという子に教えてやって「闇鍋が教えてくれたほうがわかりやすい!」と言われてる、と言う話を聞いて、とりあえず友達思いの息子に「なんていい子なのかしら」とうるうる感動してたのだが、お話をよく伺うと、息子が友達に「授業」をするのは、授業の最中なのだという。
え( ゚д゚)
そ れ は な い
まあ、教師にもいろいろあって、できる人できない人はいると思う。しかし、まずは静粛に授業を聞くというのが、最低限のルールだと思う。授業中の私語が厳禁、せいぜい小声で「え?今何ページって言った?」てなことを話すのが限度だと、私(1980年代、新世代と言われた世代)の常識だ。
つまらない授業、わけわからない授業があっても、とりあえず静粛に聞き、休み時間や放課後などで「全然わかんない…」「つまりこれは…」「おしえて~」などのやりとりはあった。なので私は素直に休み時間や放課後に、授業についていけない友達に教えてあげたのだと思っていた。
けど授業中~? それは、どんなに正しかろうが授業妨害だ。ある意味正しく、おもしろく、わかりやすいほど妨害だ。先生の面目丸つぶれだし、授業という、先生対生徒たちの関係を損なう。しかし、息子は言う。
「はあ? なんで休み時間だの放課後だのにそんなことやるんだよ。おまえ、頭おかしくね?『わかんない』って思ったときに教えてやんなきゃ、わからないだろ? 休み時間には、皆そんな授業のことなんて忘れてる」
……たしかにそうかもしれない。けれどそれで授業中に生徒が勝手に講義をしていいものではない。
「それはけじめをつけて。授業は先生と、生徒たちそれぞれの関係が大事なの。あんたはそれを断ち切って割って入っている。立場を逸脱しているのよ。あんたの話で分かる子もいるだろうけど、授業の流れを止められて、困っている子もいるわけよ」
たとえば、映画館や劇場で、「え?今のどういうこと?この人死んだのに?」「ここは回想シーンで、主人公の思い出の中なのよ。その記憶が交錯してきて…」なんて声高に話している人がいたら、迷惑以外の何者でもないだろう。とりあえず黙って見よ。わからなければ、終わってから語り合え、だ。
授業と言うのも先生方にとっては「劇場」のようなもので、なんとか盛り上げよう、わからせようと、それぞれに工夫していらっしゃる。それで「教室が凍りつくようなダジャレを連発した授業」とか「趣味に暴走した授業」とか「どーせおまえらわからないんだろ的に独走した授業」など、空回りすることもある。
しかし、とりあえず拝聴しろ!
自分がこの学校を選んだんだから。
なんてことを話して、私は今も息子によく殴られるが、何か違うか? 中学で不登校になったときに、いろんな人がそういう話をしたはずだ。成績はもちろん、出席日数や生徒会活動、部活動、検定など、そんなことで進路は開かれる。二日連続で朝起きられない状態では受験もできず、受験なしで即入学許可のこの学校のおかげで、なんとか居場所を確保できたのである。先生方の能力に疑問を感じるのはわかるのだが、まずは生徒として敬え。授業を妨害するな。他の子たちにも迷惑だ。
「は?わけわかんねー! なんで友達に勉強教えちゃダメなんだよ。マジわかんね!」
だから、それは休み時間にと
「休み時間に、なんで勉強しなくちゃいけないんだよ! そんなやついねえよ! おまえ頭悪くね?」
先生方の前で、どんどん増長する息子。
私と先生方は、それなりにいろいろなたとえ話で説得した。息子は、授業をいちいち聞かなくてもほとんどを理解するし、テストはあっという間に終わる。学力が乏しい子にあわせた授業なので仕方がないが、テストや授業中派手に遊び始めるので、これは他の子にもよい影響を与えないだろう。本人は「だって時間の無駄だしー!大人しくじっとしているなんてできないしー!はあ?想像?妄想?時間の無駄!」という態度。座禅だと思え、などと言っても聞き入れない。私はこうたとえてみた。
「バイトでは、どんなにお客さんが来なくてヒマでも、落書きしてていいとかそういうことはないでしょう?」
……私の恥を晒すが、私はこの子の年くらいで、そういう間違いをしていたのだ。ヒマだしー、こんな時間をクロッキー(という名の落書き)に使う私って勤勉♪みたいな。バイトは時間を売るものなので、どんなにヒマでも、もったいなくてもやっていいこと、悪いことが、社会にはある。
息子は答えた。「あったりまえだろ? バイトっていうのはお金をもらってるんだから!」
……息子のほうが、私よりしっかりしている。けれど私はとっさにこう答えた。
「学校にはお金払ってるんだから、しっかり勉強しなさいよ!」
モンスター親子、現る……。一瞬、先生方もひるんだ。
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