娘との「社会科見学」として、今日は皇居の一般参賀に出かけてみた。
皇居とは、元は江戸城として成立し、現在は天皇皇后両陛下をはじめ、主要な皇族方がお住まいの地である。今日は一般公開していないものの、あの「松の廊下」跡もあり、江戸~東京のさまざまな名残をとどめるほか、貴重な武蔵野の自然を残し、風水的にも未曾有のパワースポット、おまけに平将門の首塚がそばにあるというミステリーも楽しめる場所である。
今日は、普段は眺めるだけの二重橋を渡り、皇居のほんの入り口ではあるが、新宮殿前の広場に出向き、皇族方のお出ましを待つのを中心にした。
娘は小さい頃、たしか楠公像のあたりくらいに連れてきてやったことがあるが、覚えていないらしい。駅を出るといきなりお堀、江戸城の名残を残す世界に驚いていた。
人、人、人。
観光バスが何台も乗りつけ、ぞろぞろと老若男女が二重橋を目指す。
「うち、人ごみキライなんだけど…」娘は不機嫌。
「けどあんた、コミケは喜んで行くじゃん」
「コミケは別なの」
正直、コミケより数は少ないはずだけど…。
道路を渡るとき、皇宮警察の方だろうか、馬にまたがって警備をされていた。さすがに娘はこれに驚いた。そう、ここは別世界。馬、馬車、ティアラ……作り物じゃない、本物の、夢の世界だ。
厳重な手荷物検査とボディーチェック。しまった、ゲーム機をわんさか持ってきてしまっていた。特に何も言われなかったけれど、本当に丁寧にチェックされるので「余計なものを持ってこなければよかった」と後悔。娘は「キレイな婦警さんにタッチされた(*゚∀゚)」と、喜んでいる。……変態を持ち込んだのも、後悔…。
今日は天気もよく、お堀も門も美しい。立ち止まって写真を撮る人も多かった。正門の前に、ひときわ美しい制服に身を包んだ皇宮警察の方が、微動だにせず立っておられた。
「人形かと思った…」
本当、瞬きさえしていないかのごとき立ち姿も、美しさも人形のよう。こんな方々に守られるこの先は、いかに神がかっているのかと期待がいや増す。コミケにも、さすがにこんなスタッフはいないと思う。
とくに外国からこられたらしい方々が、次々にその方にカメラを向けた。ロンドンやバチカンでも見られそうなものだけど。やはりシャッター音にも微動だにせず、見事に「観光資源」になられていたのに感服。
正門をくぐった。私も、こんなところまで来たのは初めてだ。ゆっくり見ていたいけれど、人の流れを妨げてはいけない。
すぐに、新宮殿前の広場についた。12時すぎ。次のお出まし13時までには随分時間があるが、すでに正面の位置は人でいっぱい。
向かって右側が秋篠宮ご夫妻、左側が皇太子ご夫妻に近い。さあ、どちらから拝見するか。
娘は、普通に話題の皇太子ご夫妻(妃殿下がお出ましかどうかは不明だけど)を選んだ。あんまり、秋篠宮家の「キャラ」も知らないらしい。…実のところ、私は数年前に自転車に乗って秋篠宮殿下とすれ違っていたこともあるし、まあ素直に、皇太子様側へ。
お出ましまで、まだまだ40分以上。「…まじかよ…」と、娘は不機嫌。まあ、ディズニーランドなら、行列しながら隠れミッキーを探したり、プレイベントを楽しんだり、いろいろさせるけど、ここはガチで何も無い。ひたすら、人ごみの中でお待ちするしかない。これは、それなりの忍耐力を要する。
だが、これは格好の人間ウォッチングの場でもある。
こんなイベントに足を運ぶ人々とはどういう方々か。
多くは、皇室ファンの善男善女である。しかし思ったよりも年齢層や人種は幅広い。ベビーカーを押す人が、砂利道(ベビーカーどころか、ハイヒールでも歩けないぞ!)を避けた特別ルートから何組も入ってきたし、白人、黒人、いろいろいる。思ったより「いかにも右翼」な雰囲気も無い。小さい子連れのご家族も、みなお行儀よくそのときを待っている。
私が気になったのは、前方に陣取った背の高い男性数人だ。国籍は不明。東洋人らしい背の高い男性が、どこのカメラ小僧だよ!という超望遠レンズを携えている。仲間らしい赤毛の白人男性も、同様だ。
「見えないわ」「見えないわね」……後ろから、ご婦人方の不満そうな声が聞こえてくる。身長160ほどの私達親子でも、あの人やこの人が前に来ると見えないわ~な状態だったのに、後ろの、とても熱心な皇室ファンの奥様方は150以下のお背に見え、なんだか申し訳なく体を縮こませてしまった。ディズニーシーもそうだけど、広場をすり鉢上にしてくれれば後ろの人も見やすいのに……。
さあ、お出ましだ。天皇皇后両陛下のお姿に、日の丸が振られる。私もつい、「きゃあ♪」と声が出て、配られた日の丸を振る。しゃわしゃわしゃわ。声は無くとも、日の丸の振られる音だけで、蝉時雨のよう。
見えません。
身長云々の前に、見えません><
「陛下のお言葉」に旗が静まり、ようやく天皇皇后両陛下、皇太子同妃殿下、秋篠宮同妃殿下のお姿が見られた。
天皇陛下は、決して予断を許さないご病状ながらも、しっかりと笑顔で、国民の窮状を憂うお言葉を発せられた。皇后美智子様は、世界最エレガントな笑顔とお手振り。
秋篠宮ご夫妻も、非常にエレガントにお手振り。紀子さまは優美なピンクのスーツをお召し。両陛下と、こちらの両殿下は、非常に息のあったお手振り。
皇太子さまは、残念ながら位置が悪く柱の影になってお顔が拝見できず。
雅子様は、なんと6年ぶりに新年の一般参賀全部ご出席とか。遠めには、とてもお元気そうに見えた。白のドレスが眩しく……あの、事前にお打ち合わせとか、無いのでしょうか。皇后美智子様が白のドレスをお召しに見えましたが、何か他の色で、少なくとも皇后様よりは控えめに行かないと失礼なのでは……
いや、いろいろ2ちゃんの「噂」が本当かもと思った次第でございます。
さて、件の長身男性グループ、なんと皇族方のお出まし!の時にくるりと背を向け、皇族方でなく、我々参賀者にレンズを向けた。「この人たち何???」と思っていたのは私たちだけでなかったようで、「うわ、こっち撮るよ!」「隠れろー!」の声多数。
私も、こちらにレンズを向けられて思わず日の丸で顔を隠しました。何に使われるか、わかったもんじゃないですし。
娘はいろいろ不満たらたらで、「旗でばしばし叩かれて不満」
あー私も、前の人の迷惑にならないように振ったよー。ママも叩かれたよー。けど、叩かれつつ振りまくる、なんかここは旗貰って振りまくったほうが勝ちなんだわな。おまけに、怪しいジャーナリスト?の視線も防げるのよ!
というわけで、皇室の皆様との感動的なふれあいがあったのか無かったのか、
よくわからないながら娘の機嫌をとりつつ秋葉原へ。
……娘も、いつかは、この体験を「貴重なものだ」と気づいて欲しい。
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