青少年と有害図書
息子が不登校中学生だった頃、一緒に学校に行ったことがある。
小雨交じりの学校には、こんなたて看板があった。
「青少年を有害図書から守ろう」
息子はこれを見てつぶやいた。
「有害図書を、青少年から守ろう、だろ」
息子は大馬鹿野郎ではあるが、やはり天才だな、とそのとき思った。
そう、青少年がむやみやたらと激しい性や暴力の描写の本に触れていたら、そういう表現をする本が規制されてこの世から無くなってしまう。「青少年から、有害図書を守れ!」これが正しい。
有害図書というのは、例えて言うならたっぷりと酒を含ませたお菓子のようなもの。それを、子どもの手が届かないところにおいておく、というのが大人の役目。
子どもは成長につれ、そんなお菓子を欲しがるようになるが、手が届かない。手が届くまで待つか、早く手に入れられるように背伸びをしたり、台に乗ったりして工夫をするか、「おまえ、これ食べてみろよ」と与えてくれる兄貴に手助けされるかは本人次第。
だけど、そんなお菓子は、子どもの手の届かないところにあるべきである。
かなり性描写の激しい同人誌を作っている友人が、18禁(18歳未満禁止)と書いてある本を眺めながら「16なんですけどぉ、買ってもいいですかぁ?」と言うバカがいる! とぼやいていた。
「そんなこと、なんで聞くんだろう。そう言われたら売るわけには行かない。それで売ったら、こちらの責任になる。責任を、大人に押し付けるな、こういうのが欲しいと思うのなら、自己責任で買え」と。
この子どもに有害なお菓子は、本当に曖昧な状態。建前では、子どもはダメ。けれど、適当に高いところに置きながら、その柵を自分で乗り越えてきたら、食べてもよい、というような。大人と子どもの境界線が曖昧なように、有害図書の類も曖昧な戸棚に隠されている。
しかし、なあ。
息子がパパの部屋に隠した…というか、堂々と置いてあるエロ漫画雑誌って一体。
ぱらぱらと見ると、延々ファックシーンばかりでつまらない。
私の子供の頃のエロ漫画は、絵は今より野暮ったいが、ストーリーくらいはちゃんとあったぞ。
| 固定リンク
コメント