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2009年7月16日 (木)

心を持たない人間に心は手に入れられるのか~これが涙?泣いてるのは私?

昨日の朝、富士山の落石事故のニュースを息子と見た。

ちょっと前まで息子は「朝6時か8時までネット」を楽しみ、就寝。どう考えても8時半には家を出なくてはいけない身分なので、私もぎりぎりまで怒鳴り声をあげていたが、ここ数日は「もういっそ寝ない♪」で、学校で寝る、という態度に出ている。もちろんしかりつけたが、息子の言い分も分かる気がする。

授業のレベルの低さはまあ、いい。もともとまともな学校に行けない子が多数来るところなんだから。
しかし間違いを指摘するとキレられるのには、息子もキレた。……いや、キレるな、先生にも面子はあるんだから…と、あれこれ攻防してきたのはこれまでにも書いている。

が、この教師は何度も息子に正論を吐かれて完全にぶちきれたらしい。授業は、息子のいない側の席にだけ顔を向けて行われるようになって久しいらしい。息子のそばの級友達も一緒に無視か。ずっと見られる側も、大変である。

さらに、この学校では実習所などにバスで移動するのだが、息子が校内にいるのにバスを発進されたという。息子はもちろん、置いてけぼりだ。

さらにかなりとんでもないこともあったが、それはまたの機会に出すかも。

とにかく息子は、中学とは違った形で学校にたてついている。諭せば怒鳴る、暴れる。息子の好きな漫画やゲームの話で機嫌をとるものも、寝起きには難しい。

が、徹夜明けは機嫌がよく、このときのニュースも息子は「うわあ、こんなの落ちてきたら…ひでえ」と心底驚き、犠牲者に同情していた。いろいろあるが、良い状態のときはとてもいい子だ。

私が息子とそれほど変わらない年頃の頃、富士山で大規模な落石事故があった。家族連れも多い夏休みのことで、死者12名、負傷者31名の大惨事だった。私はそのときのことをふと思い出し、この極限状況にあった逸話を息子にした。記憶が曖昧で、正確ではないかもしれないが。

多くの犠牲者が出る中で、全員無事だった一家があった。巨大な岩が大量に降り注ぐ恐怖の瞬間、その家のお父さんが家族を、守った。
「どうやって?」息子も興味を持つ。
子ども達を自分の後ろに並ばせ、お父さんが山頂を見、ひたすら岩の動きを見ながらよけてやりすごしたのだ。
妻子はお父さんの背中だけを見て、一緒に動く。それで、全員岩の直撃を免れた。もしもてんでばらばらに逃げていたら、果たして無事でいられたか。
シューティングゲームを好む息子にはそれがありありと想像できたようで、「その父ちゃん、まじぱねえええ!」と絶賛。もうひとつ、記憶に残る逸話を話した。

現場は阿鼻叫喚の状態。重軽傷者が多数蠢くところに救助が来たが、とても一度に運べる状態ではなかった。誰を先に運ぶか? 誰も、私を先に、うちの子を先にと訴えるところ。救急隊員は、瀕死の重傷者をまず運ぼうとした。するとその重傷者の親が言った。

「うちの子はもうダメです。他の、急げば助かりそうな人を先にお願いします」と。

これには息子も胸を打たれたようだ。
極限状況にあって、こういうことが言える人って。

……あれ……? なぜか、私の目から液体が出てきた。え???

というのも、この事故には個人的な記憶がまつわりつくのだ。
登校日だったと思うが、担任の先生がこの事故の話をされ、一人一人に感想を聞いた。同級生達はそれぞれに、気の毒だ、感銘を受けた、などと語っていた。そのとき、一人の男子がこういった。

「…別に。人口が少し減ったかな、と思いました」

先生は絶句し、怒りに震えて叱責し、結局私に発言の番はまわってこなかった。

が、実のところ私もその程度の感想しか持っていなかったのである。

その男子と私はよく似ていた。成績はよろしいが情緒面で問題があり、友達も少ない。今だったらどういう診断が下るか、というところだ。

息子は、家を破壊したり私や娘に暴力を振るったり不登校になったりといろいろ困った症状を見せるが、その年齢だと母の私のほうが人格の障害は重かったと思う。私は小学校の頃あまりしゃべらなかったし、高校の頃に「笑えない」ことに自分で気づいた。比較的大人しくて本が好きで知識もいろいろ蓄えるが、コミュニケーションがとれない。そうかと思うと感情が爆発するし、何も悪さをしていなくても「何を考えているかわからない」とよく恐れられた。

これでは、いけないのではないか。

それでいろいろ自己分析して「心」を手に入れようとしたのだった。

そんな、忘れていたようなことが思い浮かんだ。そして今、私はこの事故の話で泣けるようになっている。

今、私は人に自閉症だなどとは思われないだろう。さわやかな営業スマイルで豊富な雑学を披露し、信頼してくださる顧客も多い。たくさん本を読み、叱られながら普通の人はこう考える、こう感じるということを学び、適切な受け答えをするようになった。相変わらず人の顔をおぼえるのが苦手で、1対1ならともかく複数いると混乱するとかいろいろあるが、結構社会に適応している。そうなれたと思えたのが人生の半分くらいの年だ。おそっ!

治らないのが自閉症、障害ではあるが、本人が自覚し、その人なりに理解しやすい方向で努力すれば、そこそこ空気が読めたりコミュニケーションがとれたりできるのではないか、と私は思う。

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コメント

色々考えさせられる日記ですね。

うちの子供達はどうだろう…

投稿: たかきち | 2009年7月18日 (土) 19時09分

たかきちさん、ようこそ~!
こんな私ですのでキングダムハーツ2でノーバディの皆さんが「我々には心がぬぁい」とか言っているシーンで共感してしまったりしますw

投稿: 闇鍋奉行 | 2009年7月18日 (土) 22時04分

この記事へのコメントは終了しました。

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